中国が米国のAI輸出規制に強く反発 企業の権益保護へ対抗措置も示唆
米国による人工知能(AI)関連技術の輸出規制が一段と強化されるなか、中国が強く反発し、自国企業の正当な権益を守るため断固たる措置を取ると表明しました。本記事では、中国外交部の発言内容と、その背景にある国際的なAIガバナンスの争点を整理します。
米国のAI輸出規制、何が変わったのか
中国外交部の郭家坤(グオ・ジアクン)報道官は、定例記者会見で、米国政府が高度なAI技術の販売を制限する新たな規則を発表したことを受けてコメントしました。新ルールは、先端AIチップや大規模AIモデルのパラメーターなどを対象に、輸出管理をいっそう強める内容とされています。
中国商務省によると、今回の規制は米国の域外でも適用範囲を広げ、第三国の企業が中国と通常の貿易を行う際にも障害となり、取引に干渉するおそれがあると指摘しています。
中国外交部「経済・技術問題の政治化」と批判
郭報道官は、米国が国家安全保障の概念を拡大し、経済や技術の問題を政治化・武器化していると強く批判しました。また、輸出管理という手段を乱用し、中国を悪意を持って抑圧していると述べました。
こうした措置は、市場原則や国際的な経済・貿易秩序を著しく損ない、世界の産業・サプライチェーンの安定にも深刻な影響を与えると主張しています。その結果、中国と米国のビジネス界だけでなく、多くの国や地域の企業の利益も損なわれると訴えました。
「AIは人類共通の資産」格差拡大への懸念
郭報道官は、AIは全人類が共有すべき資産であり、富裕な国家や一部の個人だけのゲームであってはならないと強調しました。また、AIが新たな発展格差を生み出す道具として使われるべきではないと述べています。
さらに、米国が人工知能分野に序列を持ち込み、自らの覇権を維持しようとしており、中国を含む発展途上国の技術進歩と発展の権利を事実上奪おうとしていると批判しました。
技術冷戦のリスクと米国内の反対の声
郭報道官は、米国のAI政策は各国が進める責任あるAI開発の共通利益に反する障害物だとし、米国が主導する新たな技術冷戦を引き起こす可能性があると警告しました。
一方で、多くの米国のテクノロジー企業や業界団体が、バイデン政権による今回の措置に明確に反対の立場を示しているとも指摘しました。中国側は、こうした米国内の懸念も踏まえ、規制の見直しを求める狙いがあるとみられます。
中国が掲げるグローバルAIガバナンス構想
郭報道官は、中国はAIのグローバル・ガバナンス(国際的なルールづくり)の積極的な提唱者であり、実践者でもあると強調しました。
- グローバルAIガバナンス・イニシアチブの提案
- 国連総会でのAI能力構築(キャパシティ・ビルディング)に関する決議の採択を推進
- AI能力構築に関する国際協力のための友好国グループの設立
中国は、こうした取り組みを通じて、開かれた、包摂的で、すべての国が恩恵を共有できる、差別のないAI発展の環境づくりを各国とともに進めていくとしています。
AIと経済安全保障をどう捉えるか
AI技術は、安全保障と産業競争力の両面で重要性を増しており、その輸出管理をめぐる米国と中国の応酬は今後も続く可能性があります。今回の中国の強い反発は、単なる二国間の摩擦にとどまらず、グローバルな産業・サプライチェーン、そして発展途上国を含む多くの国々のAI活用のあり方にも影響しうるテーマです。
規制強化によってリスクはどこまで軽減されるのか。一方で、イノベーションや国際協力はどのように確保されるべきなのか。AI時代の経済安全保障を考える上で、今回の動きは引き続き注目すべき論点と言えます。
(一部、新華社の情報を含みます)
Reference(s):
China vows action to safeguard interests against U.S. AI restrictions
cgtn.com








