中国民間伝承「白蛇伝」西湖で始まる恋の舞台
中国の代表的な民間伝承「白蛇伝」の一場面、西湖での出会いを描く Touring the West Lake。北方昆曲劇院の俳優たちによる舞台を通して、その魅力をたどります。
世代を超えて語り継がれる白蛇伝
白蛇伝は、中国で最も大切にされてきた民間伝承のひとつとされています。ロマンス、悲劇、そして超自然的な要素が混ざり合う物語で、長い年月をかけて世代から世代へと語り継がれてきました。
物語の中心にいるのは、人間の青年である許仙と、美しい女性の姿をとった白い蛇の精・白素貞です。ふたりの強い愛の物語が、現実と異界の境界を揺さぶるように進んでいきます。
西湖での初めての出会い Touring the West Lake
今回紹介する Touring the West Lake は、北方昆曲劇院の俳優たちが演じる一幕で、許仙と白素貞が初めて出会う西湖での場面を描いています。
白素貞と、緑の蛇の精である妹分の小青が湖のほとりを歩いていると、空がにわかに曇り、雨が降り出します。そのころ湖上には、一本の傘を手にした若者・許仙を乗せた小舟が浮かんでいます。
雨宿りの場所を求めた白素貞と小青は、舟を止めてほしいと船頭に声をかけ、舟に乗り込みます。そこで許仙は、二人に向かって自分の傘を差し出します。ささやかなこの行為が、物語全体を動かしていく出会いの瞬間として描かれます。
雨と傘がつなぐロマンスの始まり
突然の雨、行き場を失った二人の女性、そして一本の傘を持つ青年というシンプルな状況は、白蛇伝が持つロマンスや悲劇性、超自然性を凝縮したような構図です。
人間である許仙と、蛇の精である白素貞と小青。舞台上では、傘を差し出すさりげないしぐさを通して、互いの世界が静かに交わり始めます。観客は、この一瞬から、後に続く強い愛の物語を予感することになります。
- 突然の雨が生むドラマ性
- 舟という限られた空間がつくる緊張感
- 傘を分け合う行為に込められた思いやり
舞台が伝える物語の手ざわり
このような出会いの場面は、舞台では多くの場合、派手な仕掛けではなく、人物同士の距離感やしぐさ、視線の動きなど、細かな表現によって描かれます。短い時間のなかに、互いへの興味や遠慮、期待と緊張が重ね合わされていきます。
中国の民話にあまりなじみがない人にとっても、雨宿りのために舟に乗り込み、傘を分け合うという日常的な状況は理解しやすいものです。その分、登場人物が実は蛇の精であるという超自然的な設定が、より印象的に浮かび上がります。
国境を越えて共有される物語
白蛇伝のような物語が舞台として表現されることで、中国の民間伝承の世界観や、価値観の一端に触れることができます。恋愛や自己犠牲、異なる存在同士のつながりといったテーマは、文化や言語を超えて共感を呼びやすいものです。
今回紹介した西湖での出会いの一幕は、そうした物語世界への入口として、多くの人に開かれています。記事や写真などを通じて伝えられることで、離れた場所からでも、その雰囲気や余韻に触れることができます。
日々さまざまなニュースが行き交うなかで、古くから語り継がれてきた物語の一場面に立ち止まってみることは、自分の価値観や物事の見方を静かに見直すきっかけにもなります。
Reference(s):
cgtn.com








