中国・雲南省で超大型レアアース鉱床を発見 ハイテク産業に追い風か
中国南西部の雲南省で、推定資源量115万トンにのぼる巨大なレアアース鉱床が見つかりました。中国自然資源部傘下の中国地質調査局(China Geological Survey、CGS)が金曜日に発表したもので、ハイテク産業と国際資源市場に影響しうる発見として注目されています。
雲南省で発見された「超大型」レアアース鉱床
CGSによると、今回雲南省で確認されたレアアース鉱床の潜在的な資源量は約115万トンに達し、「超大型」のイオン吸着型レアアース鉱床と位置づけられています。イオン吸着型とは、土壌や粘土鉱物の表面にレアアースが吸着した形で存在するタイプで、比較的低温での処理が可能とされる鉱床です。
重要元素だけで47万トン超
この鉱床には、とくに重要視されるレアアース元素が多く含まれているとされています。CGSによると、以下の4つの元素だけで資源量は47万トンを超えます。
- プラセオジム(Pr)
- ネオジム(Nd)
- ジスプロシウム(Dy)
- テルビウム(Tb)
これらはいずれも高性能磁石などに使われる「クリティカル・レアアース(重要希土)」で、電気自動車のモーターや風力発電機、各種電子機器など、現代のハイテク産業を支える基幹素材とされています。
レアアースとは?ハイテクを支える「縁の下の力持ち」
レアアース(希土類)は、周期表の中でまとめて扱われる一群の金属元素で、ひとつひとつの量は決して「極端に希少」というわけではありませんが、採掘や分離・精製が難しく、供給が限られがちな資源です。
用途の例を挙げると、次のようなものがあります。
- 電気自動車や家庭用電化製品に使われる高性能モーター用磁石
- 風力発電機などの再生可能エネルギー設備
- スマートフォンやパソコンなどの電子機器部品
- 精密光学機器や一部の医療機器
社会全体のデジタル化や脱炭素化が進むなかで、レアアースは「目に見えにくいが、なくては困る資源」として、その重要性が高まり続けています。
1969年・江西省以来の大きな節目
CGSは、今回の雲南省での発見について、1969年に中国東部の江西省で初めてイオン吸着型レアアース鉱床が確認されて以来の、重要な成果だと位置づけています。
1969年の発見は、中国にとってイオン吸着型レアアース資源を本格的に活用していく出発点となりました。今回の雲南省での「超大型」鉱床の発見は、その流れをさらに強める新たな節目といえそうです。
中国の資源優位とレアアース産業チェーンへの意味
CGSは、この新たな鉱床が「中国のレアアース資源の優位性を強化し、レアアース産業チェーンの改善にとって大きな意義がある」としています。
ここでいう「産業チェーン」とは、資源の探査・採掘から、選鉱・精製、素材加工、最終製品の製造に至る一連の流れを指します。レアアースの場合、
- 安定した鉱床の存在(資源)
- 精錬や分離の技術・設備(加工)
- 磁石や電子部品などの製造能力(製品化)
が一体となってはじめて、継続的な供給力につながります。
雲南省での超大型鉱床の発見は、資源面での安定性を高め、中国国内のハイテク産業にとって供給の選択肢を増やす可能性があります。また、鉱床を起点に、周辺地域で関連産業が育ち、レアアースに関わる産業チェーンが一層厚みを増していく展開も考えられます。
日本と世界から見た注目ポイント
今回のニュースは、中国国内だけでなく、日本を含む世界の資源政策や産業戦略にも影響しうるテーマです。国際市場では、今後次のような点が意識されそうです。
- 供給の安定性:レアアース資源が豊富に確認されることで、世界全体としての供給不安が和らぐ可能性があります。
- 価格動向:大規模な鉱床の発見は、中長期的には市場価格の見通しにも影響を与えうるため、企業や投資家にとっても重要な情報です。
- 脱炭素・エネルギー転換:電気自動車や再生可能エネルギー設備に不可欠な素材が確保しやすくなれば、各国のグリーン成長戦略にもプラスに働く可能性があります。
一方で、各国が自国のサプライチェーン(供給網)をどう多様化し、リスクを管理していくのかという議論も続いており、今回の発見はその議論の前提条件の一つを変えうる要素として受け止められそうです。
これからの焦点:技術、環境、ルールづくり
資源の発見はスタート地点にすぎません。今後の動きとして、次のような点が焦点になっていくと考えられます。
- 詳細な資源評価:実際にどの程度の量が、どのくらいのコストで採掘・生産できるのかという技術的な評価。
- 環境への配慮:採掘や精錬に伴う環境負荷をどう低減し、持続可能な形で資源を利用していくか。
- 国際的なルールや対話:レアアースを含む重要鉱物の安定供給に向けて、各国・各地域がどのように協調していくのか。
雲南省での超大型レアアース鉱床の発見は、中国の資源戦略にとって大きな一歩であると同時に、ハイテク産業とエネルギー転換をめぐる世界の動きを考えるうえでも、今後チェックしておきたいニュースといえます。
Reference(s):
cgtn.com








