中国のネット利用者11億人突破 デジタル経済と生成AIの現在地
2024年末、中国のインターネット利用者が11億人を突破しました。急拡大するデジタル経済が、オンライン消費から観光、エンタメ、生成AIまで、生活と産業の姿を塗り替えています。
- インターネット利用者は11億人、普及率78.6%
- オンライン小売額は15.52兆元で、世界をリード
- マイクロドラマ視聴者は6億6200万人、約64万7千人分の雇用を創出
- オンライン旅行予約ユーザーは5億4800万人
- 生成AI利用者は2億4900万人、日常業務にも浸透
11億人がつながる中国のインターネット
中国インターネット情報センター(CNNIC)の報告書によると、2024年12月時点で中国のインターネット利用者数は11億人に達し、前年から1600万人増えました。インターネット普及率は78.6%に到達し、中国が国際インターネットに本格的に接続してから30年で、世界最大級のネット人口を抱える国になったことを示しています。
報告書は、中国が高度な通信技術を備えた世界最大規模のインターネットインフラを整備しているとし、これがデジタル経済の急成長を支えていると指摘しています。
オンライン消費とモバイル決済:生活の標準に
2024年末時点で、中国のオンライン決済利用者は10億人を超え、オンラインショッピングを利用する人は9億7400万人に達しました。2023年末から5950万人増えたことになり、ネット経由の消費が引き続き拡大していることがわかります。
中国国家統計局のデータでは、2024年のオンライン小売額は15.52兆元(約2.18兆ドル)と、前年から7.2%増加しました。このうち実物商品のオンライン小売額は13.08兆元で前年比6.5%増となり、社会消費小売総額の26.8%を占めています。つまり、消費支出のうち約4分の1以上がネット経由になっている計算です。
報告書は、中国がオンライン小売とモバイル決済の分野で世界をリードし続けているとしています。都市・農村を問わずスマートフォン一つで買い物と決済が完結する環境が、巨大な国内市場の活力を引き出していると言えます。
5Gとギガビット回線が支えるインフラ
こうしたデジタル経済の基盤となっているのが通信インフラです。2024年11月時点で、中国では5G基地局が419万カ所整備され、ギガビット(超高速)ブロードバンドの利用者は2億900万人に達しました。
安定した高速通信は、都市だけでなく農村部や高齢者にもオンラインサービスを広げています。CNNICによると、60歳以上のネット利用者のうち約70%がオンラインショッピングを利用しており、農村部のネット利用者では76%以上がネットで買い物をしています。単に若者向けではなく、幅広い層がデジタル経済の担い手になっていることが特徴です。
ショート動画とライブ配信が変える購買行動
中国のデジタル経済を語るうえで、ショート動画とライブ配信は欠かせません。CNNICのデータによると、ショート動画やライブ配信を視聴するユーザーの約71%が、視聴後に実際に商品を購入した経験があります。さらに、ユーザーの過半数が、ライブコマース(ライブ配信による販売)をよく視聴すると回答しています。
エンタメとしての動画視聴と、実際の購買が密接につながることで、従来の広告・販売の枠組みが大きく変化していることがわかります。特に農村部のネット利用者にとって、ライブ配信は都市部の商品やサービスにアクセスする重要な窓口になっています。
マイクロドラマ:数分の動画が生む新産業
ショート動画ブームの中から生まれたのがマイクロドラマです。1話数分程度と短いものの、起承転結のあるストーリーでユーザーを引きつける新しいドラマ形式で、中国のデジタル経済の中でも成長が著しい分野の一つとなっています。
2024年12月時点で、中国のマイクロドラマ視聴者は6億6200万人に達し、全インターネット利用者の約6割を占めました。この産業は、制作・配信・マーケティングなどを通じて、直接・間接を合わせて約64万7千人分の雇用を生み出したとされています。
中国ネット視聴番組サービス協会の見通しでは、マイクロドラマ市場は2024年に、中国本土の映画興行収入の合計を初めて上回る可能性があるとされています。短い時間で視聴できるドラマが、映画に匹敵する市場規模に成長しつつあるという構図は、コンテンツ産業の将来像を考えるうえでも興味深いポイントです。
オンライン旅行サービス、回復する観光需要を取り込む
観光分野でも、オンラインサービスの存在感が高まっています。2024年12月時点で、旅行サービスをオンラインで予約するユーザーは5億4800万人に達し、1年前から3935万人増加しました。インターネット利用者全体の49.5%がオンラインで旅行手配を行っている計算です。
観光市場の回復とデジタル経済の融合が進むことで、交通・宿泊・観光地のチケット手配までを一括してオンラインで完結させるスタイルが定着しつつあります。
生成AIの広がり:質問応答からオフィス業務まで
報告書は、AI技術、とりわけ生成AI(文章や画像などを自動生成するAI)が、オンラインマーケティング、スマート診断、カスタマーサービスなどさまざまな分野で広く活用され、中国の産業構造や経済成長に深い変化をもたらしていると指摘しています。
少なくとも3億3100万人、人口の23.5%が生成AIプロダクトを知っていると答え、そのうち2億4900万人が実際に利用経験があるとされています。主な用途は、質問への回答やオフィス業務の補助であり、日常的な仕事の裏方としてAIが浸透しつつある姿が浮かび上がります。
日本への示唆:インフラと利用シーンをどう組み合わせるか
2024年のデータが示す中国の姿からは、いくつかの示唆が読み取れます。
- 5Gやブロードバンドといったインフラ整備と、ショート動画やマイクロドラマ、オンライン旅行など具体的なサービス展開が同時並行で進んでいること
- 高齢者や農村部の住民を含む幅広い層が、オンラインショッピングやデジタル決済を日常的に利用していること
- 生成AIが、専門家だけのツールではなく、一般のユーザーにも広く認知・利用され始めていること
インフラ投資とサービス開発、そしてユーザー教育が連動することで、デジタル経済は大きな広がりを持ち得ることを、中国の事例は示しています。日本や他の国・地域にとっても、どの層にどんなデジタルサービスを届けるのか、AIをどう日常のツールとして位置づけるのかを考えるうえで、参考になるポイントが多いと言えるでしょう。
Reference(s):
China's internet users surpass 1.1 billion, powering digital economy
cgtn.com








