中国の農村振興計画2027年へ 食料安全と農業現代化はどこまで進む?
中国が、2027年までに「農村全面振興」と農業・農村の現代化を新たな段階へ進めることを目指す計画を示しました。2024〜2027年を集中期間とするこの方針は、中国の食料安全保障や農村政策の方向性を示すものとして注目されています。
2024〜2027年を区切る「農村全面振興」計画とは
この計画は、中国共産党中央委員会と国務院が打ち出したもので、2024〜2027年を目標達成の期間と位置づけています。2025年末の現在は、その4年間の中盤に差しかかるタイミングです。
計画が掲げる大きな柱は次の2点です。
- 農村の「全面的な振興」を図ること
- 農業と農村の現代化を新たな段階へ進めること
ここでいう農村振興は、単にインフラ整備だけではなく、産業、生活環境、社会サービスなどを含む広い概念として語られています。
食料安全保障の強化:数値で示された目標
計画のなかで特に強調されているのが、食料安全保障の強化です。中国は、国民の食料供給を「自分たちの手にしっかり握る」として、国内の農業生産能力を一段と高める方針を示しています。
具体的には、次のような目標が掲げられています。
- 国家の食料安全の基盤を一層強化する
- 全体としての農業生産能力を着実に引き上げる
- 中国の人口の食料供給を、自国の生産を軸に確保する
作付面積の安定化:穀物と主要農産物
計画は、穀物や主要農産物の安定供給を支えるため、作付面積についても明確な数値を示しています。
- 穀物の作付面積:おおむね175億ムー(約1億1700万ヘクタール)を維持
- そのうち、穀類の作付面積:約145億ムー
作付面積を「減らさない」ことを前提に、生産性の向上や品質の向上を進める姿勢がうかがえます。
生産能力の目標:1.4兆ジンという数字
穀物の生産能力についても、計画は具体的な数字を示しています。
- 穀物生産能力:約1.4兆ジン(約7000億トン)への安定的な引き上げを目指す
大規模な人口を抱える中国にとって、食料の安定供給は国内政策の最重要課題の一つです。こうした数値目標は、農地保全や灌漑設備の整備、技術導入など、今後の政策の優先順位を示すものといえます。
地域ごとの段階的な「農業・農村の現代化」
計画は、すべての地域が一律に同じスピードで農村振興を実現するとは想定していません。条件の違いを踏まえ、地域ごとの段階的な現代化を打ち出しています。
とくに次の地域が、2027年までに先行して現代化を達成する役割を担うとされています。
- 条件の整った東部の発達地域
- 中国中西部に位置する都市近郊の農村
都市へのアクセスが比較的良く、産業やインフラの基盤が整いつつある地域から先行モデルをつくり、その経験を他地域に広げていく構図が意識されていると考えられます。
2035年を見据えた農村の将来像
今回の計画は2027年を当面の節目としつつ、その先の2035年までを見据えた長期ビジョンも示しています。
計画によると、2035年までに目指す姿は次のように整理されています。
- 農村の「包括的な振興」で決定的な進展を遂げる
- 農業の現代化を基本的に実現する
- 農村が「現代的な生活」の基本条件を備えた場になる
ここでいう現代的な生活には、インフラ、公共サービス、生活環境など、都市と農村の格差を埋める要素が含まれるとみられます。2035年は、中国が複数の国家戦略で一つの節目として位置づけている年でもあり、農村政策もその時間軸のなかに組み込まれていることが分かります。
2025年の視点:日本の読者が押さえておきたいポイント
計画期間の2年目の終わりに差しかかる2025年現在、この方針を日本から見るうえで、押さえておきたいポイントは少なくありません。
- 食料安全保障の優先度:自国の食料供給を強調する流れは、世界的な供給網や国際市場にも影響し得ます。
- 農業・農村の現代化:農業技術やデジタル化、インフラ整備などの分野で、今後の動向が注目されます。
- 地域間のバランス:東部の発達地域と中西部の農村との間で、どのように経験や資源を共有していくのかも重要な論点です。
日本の読者にとって、このテーマは「中国の国内政策」という枠を超え、アジアの食と農、そして地域経済の未来を考える手がかりにもなります。農村振興や地方創生というキーワードで、日中それぞれの取り組みを比較しながら見ていくと、新たな視点が得られるかもしれません。
考えてみたい問い:これからの10年で何が変わるのか
今回の計画は、明確な数値目標と時間軸を示しつつ、農村振興を長期的な国家戦略として位置づけています。2035年という中長期のゴールを見据えるとき、私たちが考えてみたい問いは次のようなものです。
- 食料安全保障を重視する流れのなかで、各国・各地域はどう協力し得るのか。
- 農業の現代化は、農村の暮らしや文化にどのような変化をもたらすのか。
- 都市と農村の関係は、この先10〜15年でどう姿を変えていくのか。
2027年、そして2035年に向けて進む中国の農村振興は、アジアの一員としての日本にとっても、無関係ではないテーマです。ニュースとして動向を追うだけでなく、自分たちの社会や地域とのつながりを意識しながら、静かに考え続けていきたい問題といえるでしょう。
Reference(s):
China eyes substantial progress in rural revitalization by 2027
cgtn.com








