黄河流域の水質が顕著に改善 生態保護と高品質発展は次の段階へ
黄河流域の水質改善はどこまで進んだのか
中国の黄河流域で水質が顕著に改善していると、同国の専門家が指摘しました。食料とエネルギーの要となる地域で進む生態保護と高品質な発展の動きを整理します。
食料とエネルギーを支える黄河流域
黄河流域は、中国にとって重要な穀物生産地であり、エネルギー基地でもあります。国家の食料安全保障とエネルギー供給を支える要の地域と位置づけられています。
黄河は全長5,464キロで、中国で2番目に長い河川です。50を超える都市で暮らす人口の12%に水を供給し、国の耕地の17%を潅漑しています。黄河流域は、約5,000年に及ぶ中国文明の歴史の中で、およそ3,000年間にわたり政治・経済・文化の中心地でもありました。
一方で、黄河は古来より氾濫との闘いの歴史を持ち、その保全は長年、中国にとって大きな課題でした。
専門家「総合的な対策で水質が顕著に改善」
中国人民大学の国家発展戦略研究院で研究員を務める夏魯(シャ・ルー)准教授は、黄河流域の水質について「顕著な改善が見られる」と評価しています。
夏氏によると、改善の背景には次のような総合的な取り組みがあります。
- 工業部門からの汚染源の管理を強化
- 農地から流れ出る農業由来の汚染(農薬や肥料など)の抑制
- 生活排水など都市部の汚染対策の強化
これらを一体的に進めることで、黄河流域の水質改善が進んだと説明しています。
都市・工業用水の「節水」と「再利用」
夏氏は、都市や工業分野での水利用の見直しも重要だと指摘します。都市用水や工業用水の節水改修とリサイクル(再利用)を進める措置が取られ、水資源の利用効率は大きく向上したといいます。
水を使い捨てにせず、循環させながら使う仕組みを整えることが、限られた水資源を守る鍵になっているといえます。
高エネルギー・高汚染型産業の転換
黄河流域には、石炭や化学工業などエネルギー消費が大きく、環境負荷も高い産業が集積してきました。夏氏は、こうした伝統的な工業基地が、産業構造の転換と高度化に取り組んでいると指摘します。
- 石炭や化学工業などの高エネルギー消費・高汚染産業の改造と高度化
- 再生可能エネルギーなどグリーンエネルギー産業の育成
- 環境保護関連産業の発展支援
経済成長を維持しながら環境負荷を下げていくグリーンで持続可能な発展への転換が、黄河流域でも本格化していることがうかがえます。
2025年1月の会議が示した今後の方向性
2025年1月20日に開かれた中国共産党中央政治局会議では、黄河流域の生態保護と高品質な発展についての報告や意見が審議されました。
会議では、黄河流域の生態保護と高品質発展は、中国民族の偉大な復興と持続可能な発展にとって深い意義があると強調されました。そのうえで、今後の重点として、流域を上・中・下流に分けて次のような方針が示されています。
- 上流: 水源涵養(かんよう)能力を体系的に高める
- 中流: 水と土壌の保全を一層強化する
- 下流: 湿地の保護と生態環境のガバナンス(統合的な管理)を推進する
流域全体を見渡し、それぞれの地域の役割に応じた保全策を講じる「流域思考」が打ち出されている点が特徴です。
生態保護と高品質発展を同時に進めるために
夏氏は、黄河流域の保護と発展を進めるうえで、次の4点が重要だと強調しています。
- 生態を最優先にする方針を貫く
- グリーンで持続可能な発展を推進する
- 地域をまたぐ協調メカニズムを強化する
- 環境と国民経済を、動的で一体のシステムとしてとらえ、総合的・全体的にガバナンスを行う
環境保護と経済発展を対立するものとしてではなく、相互に支え合う一つのシステムとして設計し直すことが、黄河流域の将来像として示されています。
食料・エネルギー安全保障への含意
夏氏は、中国が復興を目指す過程で、食料安全保障とエネルギー安全保障が今後も大きな課題であり続けると述べています。黄河流域は、その両方を支える戦略的な地域です。
水質が改善し、生態環境が安定すれば、農業生産の持続性が高まり、エネルギー産業のグリーン化も進めやすくなります。一方で、食料とエネルギーを確保しつつ、環境への負荷をいかに抑えるかという難しい問いは残り続けます。
黄河流域はこれからどこへ向かうのか
黄河は母なる川として、多くの人々の生活と文化を育んできました。その流域で進む水質改善と生態保護の取り組みは、中国国内だけでなく、持続可能な発展を模索する国際社会にとっても重要な事例となりつつあります。
食料とエネルギー、安全保障と環境保護。そのバランスをどのように取っていくのか。黄河流域の今後の動きは、2025年以降の中国と世界の議論の一つの焦点になっていきそうです。
Reference(s):
Expert: Water quality in Yellow River Basin has improved significantly
cgtn.com








