地球から16万キロ先で発見 中国主導チームの宇宙コーラス
地球から約16万キロも離れた宇宙空間で、これまで地球近くでしか起きないと考えられてきたコーラス波が見つかりました。中国の研究者が主導する国際チームによる発見で、宇宙天気の予測やオーロラのしくみを理解する手がかりとして注目されています。
地球から16万キロ先で宇宙コーラス
英科学誌『ネイチャー』に掲載された最新の研究によると、中国の研究者が主導する国際チームは、地球からおよそ16万キロ離れた場所でコーラス波を観測しました。これは従来、地球の双極子磁場が強く働く領域の近くでしか発生しないと考えられてきた現象です。
研究チームには、中国、米国、スウェーデンの研究者が参加しました。太陽と地球のあいだの宇宙空間を詳細に観測する探査計画Magnetospheric Multiscale Mission(MMS)が集めた膨大なデータを解析した結果、遠く離れた宇宙空間でのコーラス波の証拠が見つかったとしています。
鳥のさえずりのような宇宙の合唱
論文の筆頭著者である中国のBeihang UniversityのLiu Chengming(リウ・チェンミン)氏によると、観測したコーラス波は周波数が100ヘルツ未満でした。これを聞こえる音に変換すると、まるで鳥がさえずっているような宇宙の合唱が浮かび上がると説明しています。
地球の磁場は宇宙空間へと長く伸びています。この磁場の中を、高エネルギーを持つ荷電粒子が通過すると、朝の鳥のさえずりに似た周波数特性を持つ電磁波が励起されます。こうした波がコーラス波であり、宇宙空間でもっとも強い電磁ゆらぎのひとつとして、長年、宇宙物理学の重要な研究対象となってきました。
想定外の場所で見つかったコーラス波
これまでコーラス波は、地球の双極子磁場が支配的な、比較的地球に近い領域でのみ発生すると広く信じられてきました。今回、地球から約16万キロも離れた場所で同様の波が確認されたことで、その常識を見直す必要が出てきています。
研究チームは、非線形と呼ばれる複雑な波と粒子の相互作用が、遠方でのコーラス波の発生を引き起こしているとする理論的な説明も提示しました。観測と理論の双方から、宇宙空間での電磁現象の理解を一歩進めた形です。
宇宙天気・オーロラ・宇宙飛行への影響
コーラス波は、地球周辺の宇宙空間で起きる基本的な問いを解く鍵を握っているとされています。研究によれば、これらの波は地球の放射線帯に存在する高エネルギー電子の加速に関わり、極地方で見られる脈動オーロラの生成にも深く関係しています。
さらに、コーラス波は宇宙天気と呼ばれる宇宙空間の環境変化にも影響し、宇宙船や探査機の安定した運用、そして宇宙飛行士の健康を脅かす要因となる可能性があります。今回の成果は、こうした宇宙天気を精密にモデル化し、将来の変化を予測するための理論的な支えになるとされています。
遠い宇宙の音が私たちにもたらすもの
地球から大きく離れた場所で鳴り響く宇宙のコーラスは、私たちの生活からは遠い出来事のように思えるかもしれません。しかし、宇宙空間の現象をより正確に理解することは、通信や観測などを担う宇宙機の安全性を高め、将来の宇宙探査のリスクを減らすことにもつながります。
静かに広がる宇宙のさえずりを聞き取ることで、宇宙物理学の教科書だけでなく、私たちの宇宙との向き合い方も少しずつ書き換えられていくのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








