中国春節の帰省列車 深セン北駅から見えた「ふるさと」への思い
中国の春節シーズンには、記録的な規模の人の移動が起きます。今年も、南部の都市・深セン北駅では、ふるさとへ向かう人びとの物語が静かに始まっていました。
早朝5時半、深セン北駅から始まる春節の旅
午前5時30分。南部の都市・深センにある深セン北駅で、家族とともに列車を待っているのはWang Huiさんでした。彼女が乗り込むのは、午前6時8分発の西安市行き高速鉄道の始発列車です。
まだ夜の名残が残る時間帯ですが、Wangさんの表情は明るく、これから始まる長い旅路を前に、どこかうれしそうにも見えました。
大都市に暮らしても消えない「ふるさと」への思い
Wangさんは母親であり、この大都市・深センの住民として日々の暮らしを送っています。大学進学をきっかけに深センに移り住み、今では自分の家族も持つようになりました。
それでも、春節が近づくと胸に浮かぶのは故郷の光景だといいます。「大学からずっと深センにいて、今は自分の家族もいます。それでも春節が近づくと、毎年やっぱり故郷に引き寄せられる気持ちになります」と、早朝にもかかわらず笑顔で話していました。
長い移動が控えていても、その笑顔からは「帰れる場所」があることへの静かな喜びがにじんでいました。
10年以上の深セン生活でも薄れない郷愁
もう一人の乗客、Zhongさんは、中国中部・湖南省にある故郷の町Chenzhou(チェンジョウ)へ向かうところでした。深センでの生活はすでに10年以上。街はこの間にめざましいスピードで発展してきました。
しかし、その変化が春節のたびに感じる郷愁を薄れさせることはなかったといいます。「この旅は1か月前から計画してきました。春節は家族と一緒に過ごして、私たちをつないでいる伝統を大切にしたい時期なんです」と語りました。
都市でのキャリアや便利な生活がどれだけ整っても、年に一度、「原点」に帰りたいという思いは消えることがない――Zhongさんの言葉からは、そんな感情が伝わってきます。
記録的な移動、その一人ひとりの理由
春節シーズンには例年、鉄道や道路、空港で記録的な規模の人の移動が起きます。今年もその傾向は変わらず、深センのような大都市から各地の故郷へ向かう人びとが長距離の旅に出ました。
早朝の始発列車に乗り込むWangさん、1か月前から綿密に旅程を組んできたZhongさん。記録的な移動の数字の裏側には、このような個々の事情や思いが折り重なっています。
- 都市で生活の基盤を築きながらも、春節には故郷に帰るWangさん
- 10年以上同じ都市に暮らしても、故郷への郷愁が薄れないZhongさん
- 家族と伝統を確かめ合う時間としての春節
どの物語にも共通しているのは、「どこで暮らしていても、心のどこかに帰りたい場所がある」という感覚です。
文化としての春節を見つめる
春節は、単なる大型連休や帰省シーズンではなく、人びとが家族や友人と過ごし、世代を超えて受け継がれてきた習慣や価値観を確かめる機会でもあります。まさに「文化の饗宴」としての側面を持つ行事だといえるでしょう。
華やかな行事や食卓の風景だけでなく、早朝の駅で交わされるささやかな会話や、長い旅路にもかかわらず浮かぶ笑顔。その一つひとつが、中国の春節という文化の豊かさを形づけています。
グローバルに人の移動が進むいま、「自分にとってのふるさととは何か」「どんな時間や習慣が自分を支えているのか」を考えるきっかけとして、春節の帰省列車に乗り込む人びとの姿を見つめてみるのもよさそうです。
Reference(s):
China's Spring Festival: Record-breaking travel, cultural feast
cgtn.com








