中国春節映画、前売り6億元突破 2025年の興行シーズンを読む
2025年の春節連休を前に、中国の映画市場で前売り記録が更新されました。春節シーズンの興行収入は、中国映画産業と中国経済の勢いを映す指標として世界から注目されています。
7日間で前売り6億元、過去最速ペース
2025年1月19日に始まった春節映画の前売りは、開始からわずか7日間で累計6億元(約8300万ドル)を突破し、過去最速でこの水準に達したと興行データが伝えています。ある日曜日の午前11時38分時点でこの記録に到達したとされています。
春節連休は2025年は1月28日から2月4日までと通常より1日長く設定され、この期間は毎年、中国本土で最も映画館がにぎわう書き入れ時とされています。当時の計画では、旧正月初日にあたる1月29日に6本の国産映画が一斉公開される予定でした。
トップ3は武侠、神話、シリーズ最新作
興行データサービスの灯塔によると、前売りランキングの上位はすべて中国映画が占めました。首位は、中国の武侠小説を原作とするアクション大作「射鵰英雄伝:大英雄」で、前売りは2億4300万元余りに達しました。2019年に大ヒットしたアニメ映画「哪吒」の続編「哪吒2」が約1億600万元で2位、人気シリーズ「唐人街探案」の最新作「唐人街探案1900」が1億300万元超で3位につけました。
多様なジャンルと長尺化が特徴
2025年の春節映画ラインナップは、武侠、神話、アニメーション、アクションなど、ジャンルの幅広さが特徴とされています。前売り上位5作品だけを見ても、世界観もターゲットも大きく異なる作品が並びました。
一方で、上映時間は全体として長くなる傾向にあり、春節公開作品の平均上映時間は137分を超え、歴代の春節シーズンで最も長くなったとされています。観客にとっては物語にじっくり浸れる一方、劇場側にとっては上映回数の調整が求められるシーズンでもあります。
SNSで広がる家族で映画ムード
今回の春節映画は、中国のSNS上でも早くから話題になっていました。ライフスタイル系アプリRedNoteでは、多くのユーザーが「哪吒2」を子どもと一緒に見たいと投稿し、春節連休の家族イベントとして映画鑑賞を位置づける動きが目立ちました。
中国版SNSの新浪微博でも、「射鵰英雄伝:大英雄を家族みんなで見に行きたい」といった声が相次ぎました。とくに1970〜80年代生まれの視聴者にとっては、過去のテレビドラマ版を見て育った記憶がよみがえるノスタルジー作品として受け止められているようです。
映画データアナリストの王淑氏は、中国メディアの取材に対し、前売り初日から3人以上のグループで映画を見ると回答した観客が全体の4分の1を超え、前年より5ポイント高かったと述べました。家族や友人同士での鑑賞ニーズの高まりが、今年の春節映画の特徴だと分析しています。
過去最強ラインナップが映す文化の自信
脚本家で映画監督の向凱氏は、今年の春節映画について、この時期としては史上最強のラインナップだと評価し、それぞれの作品が持つ文化的な厚みを強調しました。武侠や神話といった伝統的な題材に、現代的な映像表現やストーリーテリングを組み合わせた点を高く評価しているといいます。
向氏はまた、作品の多様性と文化的な豊かさは、観客のあいだで高まる中国文化への自信を映し出していると指摘しました。春節という家族が集まるタイミングで、文化的なテーマを持つ娯楽作品を共有すること自体が、一種の文化体験になっているとも言えます。
政策支援と市場期待が後押し
中国国家電影局は、映画市場の活性化を目的に、2月末まで一般の観客向けに総額6億元の補助金を投じる消費促進キャンペーンを展開しました。あわせて、広東省や湖北省、江蘇省など各地の地方政府も、映画館で利用できる数千万元規模のクーポンを発行し、劇場への来場を促しています。
こうした政策支援と作品ラインナップの充実を背景に、2025年の春節シーズンの興行収入は、前年の約80億元という過去最高額を上回ると予測されました。海外の投資銀行モルガンスタンレーは、人気作の投入と旺盛な市場需要が重なれば、春節期間の興行収入が88億元に達し、前年比9パーセント増となる可能性があると見込んでいます。
春節ボックスオフィスから見える中国映画の現在地
中央財経大学文化経済研究院の魏鵬舉院長は、今回の前売り記録は文化発展と経済成長の相乗効果を反映しており、中国の映画産業にとって明るく持続的で競争力のある未来を示していると評価しています。
春節映画の動向は、中国本土の内需や消費マインドをうかがう窓口として、海外の映画関係者や投資家からの関心も集めています。2025年の春節シーズンで示された前売りの勢いと文化志向の強さは、中国映画がこれからどのような物語を紡ぎ、どのような形で世界とつながっていくのかを考えるうえで、注目すべきシグナルと言えそうです。
Reference(s):
China's Spring Festival box office pre-sales surpass 600 mln yuan
cgtn.com








