深圳と香港がマングローブ湿地を共同保全 広東・香港・マカオ大湾区の挑戦
広東・香港・マカオ大湾区の中心で、中国本土の深圳にあるGuangdong Neilingding Futian National Nature Reserveと、香港特別行政区のMai Po Nature Reserveが、豊かなマングローブ湿地を共同で守っています。この行政境界をこえた環境保全は、アジアの大都市圏における気候変動対策と生物多様性保全のモデルケースになりつつあります。
広東・香港・マカオ大湾区のど真ん中にある湿地
広東・香港・マカオ大湾区は、深圳や香港などが集まる世界有数の都市圏です。その中に位置するGuangdong Neilingding Futian National Nature ReserveとMai Po Nature Reserveは、高層ビル群のすぐそばに広がるマングローブ湿地として知られています。
マングローブとは、熱帯・亜熱帯の海岸に生える木々の総称で、塩分を含んだ水辺でも育つのが特徴です。木々の根が複雑に張りめぐらされることで、泥や砂をとどめ、多くの生き物がすみかとする独特の生態系をつくり出します。
深圳と香港がマングローブを共同で守る意味
両方の保護区は、行政境界を挟みながらも連続したひとつの湿地帯を抱えています。そのため、どちらか一方だけが守ればよいわけではなく、深圳側と香港特別行政区側が連携して保全に取り組むことが重要になります。
「共同で守る」取り組みとして、例えば次のような協力が行われています。
- 渡り鳥や魚類など、生物多様性の定期的なモニタリング
- 水質や土壌の変化を共同でチェックし、汚染を早期に察知
- マングローブの植林や、生態系の回復プロジェクトの実施
- 市民や子ども向けの環境教育・観察会の共同開催
- 研究データを共有し、長期的な保全計画を話し合う枠組みづくり
こうした連携によって、湿地全体を一体として守る体制が整えられつつあります。
気候変動と生物多様性にとっての「防波堤」
マングローブ湿地は、気候変動が進む中で、その価値が世界的に見直されています。深圳と香港の湿地が共同で守られることには、次のような意味があります。
- 高潮や台風の際に、波の力を和らげて沿岸部の被害を軽減する自然の防波堤になる
- 海や沿岸の生態系に蓄えられる炭素を指す「ブルーカーボン」として、大量の二酸化炭素を吸収・貯蔵する
- 渡り鳥を含む多様な生き物の重要な生息地・中継地として機能する
- 都市に暮らす人びとが自然に触れ、環境を学ぶ場を提供する
広東・香港・マカオ大湾区のような人口密度の高いエリアで、こうした機能を持つ湿地を残し、強化していくことは、地域全体のレジリエンス(しなやかな強さ)を高めることにもつながります。
大都市圏どうしの連携が示すもの
深圳のような中国本土の都市と、香港特別行政区が、マングローブ湿地を守るために協力することは、同じ湾を共有する人びとの安全と豊かさを守るうえで理にかなった選択です。
環境問題は、行政境界では区切れません。水や空気、生き物の移動は、線引きとは無関係に広がっていきます。だからこそ、データの共有やルールづくりを含めた「越境する協力」が問われます。深圳と香港のマングローブ保全は、その一つの具体的なかたちだと言えます。
日本の沿岸都市へのヒント
東京湾や大阪湾など、人口が集中する沿岸は日本にも数多くあります。埋め立てや開発が進む一方で、干潟や湿地をどう残し、再生していくかは共通の課題です。
深圳と香港の取り組みは、日本の沿岸都市にも次のようなヒントを与えてくれます。
- 市区町村や都道府県の境界にとらわれず、湾全体をひとつの生態系として捉える
- 行政、研究機関、市民団体が協力し、環境データや知見を共有する
- 市民が身近な自然にアクセスしやすい保全エリアを確保し、学びと体験の場にする
深圳と香港が育てるマングローブの森は、急速に発展する大都市圏が自然と共に生きるための一つの答えを示しています。今後、このような共同保全の動きがアジアや世界の沿岸地域へどこまで広がっていくのか、注目していきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








