アリババ、春節初日に新AIモデル DeepSeek対抗「Qwen 2.5-Max」発表
2025年の春節(旧正月)初日、中国のアリババが自社の生成AIモデル「Qwen 2.5-Max」を公開しました。注目を集めるDeepSeek-V3を含む競合モデルを上回ると主張し、中国発の生成AI競争が一段と加速しています。
アリババの新モデル「Qwen 2.5-Max」とは
文章や画像などを自動生成するAI(生成AI)の分野で、中国のIT大手アリババが新たな一手を打ちました。春節初日であり水曜日にあたるこの日、同社は大規模言語モデル「Qwen 2.5」の最新バージョンとなる「Qwen 2.5-Max」を発表しました。
アリババのクラウド部門は、公式のWeChat(微信)アカウントで「Qwen 2.5-Maxは、ほぼあらゆる評価項目でGPT-4o、DeepSeek-V3、Llama-3.1-405Bを上回る」と説明しています。ここで言及されているGPT-4oやLlama-3.1-405Bは、米OpenAIと米Metaが提供する先進的なオープンソースAIモデルです。
前日の火曜日には、視覚情報を扱うAIモデル「Qwen 2.5-VL」をオープンソースとして公開し、外部の開発者や企業が活用できるようにしました。テキストだけでなく画像・映像を含むマルチモーダルなAI基盤を広く開放することで、エコシステム拡大を狙った動きといえます。
さらにアリババは、同じ日に行われた中国の大型テレビ番組「春節聯歓晩会(Spring Festival Gala)」の生放送に対して、クラウドコンピューティングの技術支援も提供しました。この番組は、音楽、舞踊、オペラ、武術、コメディなどを組み合わせた毎年恒例のバラエティショーで、国内外の多くの視聴者を引きつけています。
DeepSeekの台頭とシリコンバレーへの衝撃
こうしたアリババの積極的な動きの背景には、中国のスタートアップDeepSeekの急成長があります。2025年1月10日、DeepSeekは自社のAIアシスタントを発表しましたが、その中核となっているのが大規模言語モデル「DeepSeek-V3」です。
その後、DeepSeekは新たな「R1」モデルも公開し、複数の性能ベンチマークでOpenAIのモデル「o1」と肩を並べると主張しました。また、最新の画像生成モデルを投入したタイミングでは、米国のテック株が下落し、シリコンバレーに少なからぬ衝撃を与えています。
特に注目されたのは、DeepSeekのモデルが「開発・利用コストの低さ」を強みにしている点です。低コストで高性能なモデルの登場により、投資家の間では、米国の大手AI企業が進める巨額の投資計画に対して「本当にそのコスト構造でよいのか」という疑問も生まれています。
DeepSeekの成功は、中国国内の企業にとっても大きな刺激となりました。報道によれば、国内の競合各社は自社のAIモデルを急ピッチでアップグレードしており、アリババの「Qwen 2.5-Max」も、まさにその流れの中に位置づけられます。
ByteDanceも参戦 OpenAI「o1」に対抗する動き
生成AIをめぐる競争には、動画アプリTikTokを運営するByteDanceも加わっています。DeepSeekのR1モデルが発表されてから2日後、ByteDanceは自社の主力AIモデルをアップデートしました。
同社は、この新バージョンが、マイクロソフトが支援するOpenAIのモデル「o1」を、AIMEと呼ばれるベンチマークテストで上回ったと説明しています。AIMEは、AIモデルが複雑な指示をどれだけ理解し、どの程度適切に応答できるかを測る指標として用いられるテストです。
この主張は、DeepSeekがR1モデルについて「OpenAIのo1と複数の性能ベンチマークで肩を並べる」としていた発言と呼応するもので、中国テック企業が次々と最新モデルの優位性をアピールしている構図が浮かび上がります。
何が変わりつつあるのか 性能とコストの新局面
アリババ、DeepSeek、ByteDanceという主要プレーヤーの動きを並べて見ると、2025年の生成AI市場について次のようなポイントが見えてきます。
- DeepSeek-V3やR1の登場をきっかけに、AIモデルの競争軸が「性能の高さ」だけでなく、「開発・利用コストの低さ」へと広がっていること
- アリババの「Qwen 2.5-Max」が、OpenAIやMetaの先進モデルをほぼ全面的に上回ると主張することで、中国企業が国際的なAI競争の中心にいることを強く印象づけていること
- DeepSeekの動きに呼応する形でByteDanceもモデルを強化し、国内外の企業が短期間でモデルの世代交代を進めていること
- 米国のテック株の下落や投資家の反応から、AIへの投資規模やビジネスモデルの妥当性に対する見方が揺れ始めていること
利用者・企業側から見ると、複数のプレーヤーがしのぎを削ることで、より多様で高性能な生成AIサービスが登場する可能性があります。一方で、どのモデルをどのような目的に使うのか、コスト、信頼性、安全性などを含めて見極める力がこれまで以上に問われる局面に入りつつあります。
春節初日に発表されたアリババの「Qwen 2.5-Max」は、DeepSeekやByteDanceとの競争のなかで、今後どこまで存在感を高めていくのか。中国発の生成AIが国際市場の力学をどう変えていくのか、2025年の残りとその先の動きにも注目が集まりそうです。
Reference(s):
Alibaba drops AI model to rival DeepSeek on Chinese New Year's Day
cgtn.com








