春節もペットが主役に 中国で広がる「愛犬・愛猫と祝う旧正月」
2025年の春節シーズン、中国本土ではペットと一緒に旧正月を祝う動きが存在感を増しています。ペットを単なる「飼い犬・飼い猫」ではなく家族の一員として扱う価値観が、春節の消費や過ごし方を静かに変えつつあります。
ペットも家族だから 春節のごちそうとおめかし
中国中部・安徽省の合肥市に住む呉静さんは、春節を前に愛犬のための新しい服を用意し、大晦日には特別なごちそうまで準備しました。
呉さんは中国メディアの取材に対し、愛犬の夕食に大きな鶏モモ肉と高級な缶詰フードを用意したと語り、ペットも家族の一員として、みんなで幸せな年越しをしたかったと話しています。
こうした「ペットも一緒に祝う春節」は、呉さんだけの話ではありません。中国各地で、数え切れないほどの飼い主たちが、工夫を凝らしてペットを春節の主役の一人にしている様子が伝えられています。
SNSで広がる「ペットも春節を祝う」ムーブメント
中国のSNS、RedNote(中国語名・小紅書)は今年、ペットと春節を楽しむユーザーの投稿で大きな盛り上がりを見せました。同社は「ペットも春節を祝う」と題したキャンペーンを展開し、ペットと過ごす旧正月の様子を共有するよう呼びかけています。
スローガンは「ペット以上、家族として一緒に良い年を迎えよう」。この呼びかけに応じる形で、利用者はペット用の春節コスチューム、特別おやつ、自宅でのプチ撮影会など、さまざまな工夫を投稿しています。
中国の報道によると、このキャンペーン関連の話題を検索すると、200万件を超える投稿が見つかったといいます。長距離ドライブでペットと一緒に実家へ帰省する様子や、きれいにトリミングされた犬が田舎の畑で泥だらけになって遊ぶビフォーアフター写真など、ペットと人が共に楽しむ春節の風景が次々と共有されています。
春節消費を変える「ペット年夜飯」と新サービス
春節の時期には本来、人間用の大晦日のごちそう「年夜飯」が欠かせませんが、今やペット向けの年夜飯も一大トレンドになりつつあります。ペット産業の拡大にともない、春節に合わせて新しい商品やサービスが次々に登場しているのです。
中国のネット通販サイトでは、ペット向けの年夜飯セットが人気を集めています。ラインナップには、フカヒレや海鮮などを贅沢に使った中国料理「仏跳牆(ブッダ・ジャンプス・オーバー・ザ・ウォール)」風のメニューや、あわびご飯、ウェリントンステーキ風のメニューなど、飼い主顔負けの豪華な品々が並びます。
報道によると、特に上海や北京、新疆、浙江、江蘇といった地域では、ペットの年夜飯に積極的にお金をかける傾向がみられるとされています。
中国の大手ECサイト・淘宝網(タオバオ)でペット事業を担当する孫黎明氏は、猫用の年夜飯の売上は犬用の2.34倍に達しており、しかも犬用の方が平均価格で12元ほど高いと説明しています。つまり、単価が高い犬用ごちそうよりも、より多くの人が猫向けの年夜飯を購入している構図が浮かび上がります。
年夜飯だけではありません。ペット用のお年玉として紅包(赤いポチ袋)に入れた「おこづかい」を用意したり、春節限定おやつや「開運おもちゃ」をプレゼントしたり、プロのカメラマンによるペット写真撮影を予約する飼い主も増えています。
若い世代が支える「ペット優先」消費
街のペットショップも、この流れを敏感にとらえています。ある店舗の張店長は、春節前にペット用の年夜飯、縁起物のおやつ、春節デザインの服やおもちゃなどを大量に仕入れたと話します。
張さんによると、これらの商品は予想以上の売れ行きを見せ、特に「ペット向け年夜飯セット」が好調だといいます。購入者の多くは都市部で働く若い会社員や、1990年代以降生まれの消費者層で、ペットの生活の質を重視し、支出をいとわない傾向があるとされています。
ペットを家族の一員と考える価値観の広がりは、数字にも現れています。春節という一年で最も伝統的な行事において、あえてペット向けの商品にお金と手間をかけることは、単なる「かわいがり」を超えた、ライフスタイルの選択ともいえます。
春節のペットブームから見える、家族観とつながりの変化
ペットと一緒に春節を祝うという中国の動きは、単にユニークな国際ニュースとして眺めるだけではもったいないテーマです。その背景には、人と人との関係の変化や、家族のあり方の多様化といった、より大きな社会の流れが透けて見えます。
都市部で忙しく働く若い世代にとって、ペットは癒やしの存在であると同時に、日々の暮らしをともにする「相棒」でもあります。春節に実家へ連れて帰り、親や親戚に紹介することは、ペットを正式に家族として迎え入れるという象徴的な行為にも見えます。
日本でも、お正月にペット用おせちや限定グッズが話題になることがありますが、中国本土で見られるような「年夜飯セット」「お年玉」「SNS映えする春節コスチューム」などの組み合わせは、今後さらに多様化していくかもしれません。
ペットと人との距離が近づくことで、私たちの消費行動や祝日の過ごし方も変わります。中国の春節で起きているペットブームは、アジアの都市生活者がどのように「家族」と「つながり」を再定義しているのかを考える、ひとつのヒントになりそうです。
Reference(s):
Pets stealing the show: How furry friends celebrate Chinese New Year
cgtn.com








