中国の湿地面積が5635万ヘクタール超で安定 マングローブも純増
中国で湿地の保全と再生が進み、総面積が5635万ヘクタール超で安定していることが分かりました。マングローブ林の純増や外来種対策など、国際ニュースとしても注目される動きが相次いでいます。
湿地面積は5635万ヘクタール超で安定
中国国家林草局によると、中国ではこれまでに3700件を超える湿地の保護・修復プロジェクトが実施され、合計で100万ヘクタール以上の湿地が新たに保全・再生されました。その結果、国内の湿地総面積は5635万ヘクタール以上という水準で安定しているとされています。
あわせて、2200カ所以上の湿地自然保護区が整備され、重要な湿地の生態環境が大きく改善したと報告されています。湿地には渡り鳥の中継地や稚魚の育つ浅場、洪水を受け止める遊水地など、さまざまな役割があり、その保全は生物多様性と防災の両面で国際的な関心を集めています。
マングローブ保全で世界有数の「純増」
近年、中国はマングローブ林の保護と再生にも力を入れています。特別なマングローブ保全・修復イニシアチブのもと、過去5年間で8800ヘクタールを新たに造成し、8200ヘクタールを修復しました。
その結果、中国のマングローブ面積は現在3万300ヘクタールとなり、2000年代初頭より8300ヘクタール増加しています。全体としてマングローブ林が「純増」している国は世界でも多くなく、中国はその一つに数えられます。
マングローブは、高潮や津波などの自然災害から沿岸部を守るとともに、二酸化炭素を大量に吸収する「ブルーカーボン」としても注目されています。こうした生態系を増やしながら守ることは、気候変動対策と地域の暮らしの両方に直結します。
外来種スパルティナの拡大を抑制
湿地保全の現場では、外来種対策も大きな課題です。中国では、侵略的外来植物スパルティナ・アルテルニフロラが干潟などを覆い、在来種の生息環境を脅かしてきました。
当局によれば、2024年末までにこの植物について7万3300ヘクタールの範囲で管理を行い、当初目標の89.4パーセントを達成しました。これにより、スパルティナの無秩序な拡大は抑えられたとされています。
こうした取り組みを支えるため、中国は湿地保護に関する法制度を整備し、森林・草地・湿地を対象とした包括的なモニタリングも進めています。長期的なデータに基づく管理体制が、今後の保全効果を左右しそうです。
国家湿地公園制度は20周年、経済効果も
2025年は、中国の国家湿地公園制度が創設されてから20周年にあたる節目の年です。この20年間で、国家湿地公園は全国で903カ所にまで増え、合計240万ヘクタールの湿地がこの枠組みのもとで保護されています。
これらの公園は、生態系の保全だけでなく、地域経済にも貢献しています。推計では、国家湿地公園が周辺地域にもたらした経済効果は500億元(約70億ドル)を超えました。観光や環境教育、エコツーリズムなどを通じて、新たな雇用や事業の機会が生まれているためです。
また、およそ9割の国家湿地公園が無料で一般公開されており、多くの市民が身近な自然に触れ、湿地の価値を体感できる場にもなっています。
世界湿地の日が示すメッセージ
今年は第29回を迎えた世界湿地の日でもあります。今年のテーマは『Protecting Wetlands for Our Common Future(私たちの共通の未来のために湿地を守ろう)』で、持続可能な未来に向けた湿地保全の重要性が強調されました。
湿地は、
- 洪水や高潮のリスクを和らげる「天然の防波堤」
- 多様な野生生物のすみか
- 温室効果ガスを吸収・貯蔵する重要な場所
といった役割を持つ、地球環境にとって欠かせない存在です。
中国で進む大規模な湿地保全と修復は、国内の生態環境を守るだけでなく、地球規模での気候変動対策や生物多様性保全にもつながります。日本を含むアジア各地でも沿岸域や河口域の湿地が開発や気候変動の影響を受けている中で、こうした動きから学べる点は少なくありません。
日々のニュースの中では見過ごされがちな湿地ですが、長期的な視点で見れば、都市計画やエネルギー政策と同じくらい、私たちの未来を左右するテーマでもあります。今年の世界湿地の日のメッセージをきっかけに、自分の暮らしと湿地のつながりを考えてみることが求められています。
Reference(s):
cgtn.com








