北京で中国古代神話「山海経」を再解釈 彫刻とテックの展覧会 video poster
中国の古代神話書「山海経」を、彫刻と最先端テクノロジーで立体的に再解釈するアート展が、2025年12月現在、北京市石景山区の首鋼園(Shougang Park)で開催されています。伝統と現代が交差する現場は、デジタル時代の物語の伝え方を考えさせてくれます。
北京・首鋼園で進む「神話世界」の再構築
会場となる首鋼園は、北京西部の石景山区に位置し、文化イベントや国際的な催しが開かれているエリアです。その一角で開かれている今回の展覧会では、アーティストのQiu Qijing氏による彫刻作品が、最新の技術と組み合わさり、古代神話の世界が現代に再び立ち上がっています。
巨大な生き物や山々を思わせる立体作品が並ぶ空間に、光や音、デジタル演出が重ねられることで、来場者は単に作品を眺めるだけでなく、その内側に「入り込む」ような体験を味わえる構成になっていると伝えられています。
古典「山海経」とはどんな本か
展覧会の出発点となっている山海経は、中国で古くから知られる地理・神話書です。さまざまな山や海の情景とともに、奇妙な獣や神々、精霊などが描かれ、古代の人々が思い描いた世界観を豊かに伝えています。
現代の読者から見ると、山海経に登場する怪物や風景は、ファンタジー小説やゲームの設定資料のようにも感じられます。今回のプロジェクトは、こうしたテキストを、彫刻とテクノロジーという「別の言語」に翻訳し直す試みとも言えます。
彫刻×テクノロジーがもたらす新しい鑑賞体験
Qiu Qijing氏の作品は、物質としての重さを持つ彫刻と、デジタルならではの変化する光や音を組み合わせることで、古代神話に「時間の流れ」を与えようとしています。見る角度や距離、滞在時間によって、作品の表情が変わるよう設計されている点が特徴です。
デジタルネイティブ世代の来場者にとって、画面越しに消費されがちなコンテンツとは異なり、「身体を動かしながら神話世界を体験する」形式は新鮮に映るかもしれません。テクノロジーが物語を平面から立体へと押し広げていると見ることもできます。
なぜいま、古代神話をアップデートするのか
急速に変化する社会の中で、古い物語は「過去のもの」として棚上げされがちです。しかし山海経のような古典を現代の技術で再解釈する試みは、いくつかの問いを私たちに投げかけます。
- 古代の神話や伝承は、現代の不安や希望とどのようにつながるのか
- テクノロジーは伝統文化を置き換えるのか、それとも新しい見方を増やすための道具なのか
- アートは、異なる地域の物語への入り口としてどこまで機能しうるのか
こうした問いは、中国の物語に限らず、日本の神話や昔話、アジア各地の伝承にもそのまま当てはまります。北京で進むこの実験は、アジアの都市同士が互いの物語をどう共有し、更新していけるのかを考えるきっかけにもなりそうです。
日本の読者にとってのヒント
今回の展覧会は、中国古代神話という一見遠い世界を扱いながらも、「伝統をどう現在形で語り直すか」というテーマにおいて、日本社会とも多くの共通点を持っています。神社や祭り、昔話など、身近な文化資源をデジタル技術や現代アートと組み合わせたら、どのような表現が生まれるのか。北京の首鋼園で行われている試みは、そのヒントを示しているように見えます。
国際ニュースを日本語で追いながら、他地域の文化実験を自分たちの生活や仕事にどうつなげるかを考えてみる。その一歩として、この「山海経」をめぐるプロジェクトは、静かですが刺激的なケーススタディと言えそうです。
Reference(s):
Artist reimagines ancient Chinese myths through sculpture and tech
cgtn.com








