中国の氷雪産業が経済をけん引 ハルビンに見る冬の成長戦略
2025年の春節(旧正月)連休、中国東北部の都市ハルビンでは「氷と雪」が観光と消費を大きく押し上げました。中国の氷雪産業が、今や経済成長の新しいエンジンとして存在感を高めています。
春節8連休で61万人超来場 ハルビン氷雪大世界のにぎわい
黒竜江省の省都ハルビンは、中国を代表する「氷雪の都」です。2025年1月28日から2月4日までの春節8連休には、雪と氷をテーマにした大型パーク「ハルビン氷雪大世界(Harbin Ice-Snow World)」が大きな注目を集めました。
色鮮やかなライトアップと精巧な氷像で知られるこのパークには、連休中に延べ61万人以上が訪れました。とくに2月1日には、1日あたりの来場者数が10万人を超え、単日として過去最高を更新しました。
寒さが厳しい時期にもかかわらず、多くの観光客が長時間滞在し、宿泊、飲食、土産物の購入など、地域の消費を押し上げたとみられます。
第9回アジア冬季競技大会が追い風に
ハルビンの人気をさらに高めたのが、2025年2月7日から14日にかけて開催された第9回アジア冬季競技大会です。これは、北京2022冬季オリンピックに続く、中国にとって2回目の大規模な国際的冬季スポーツイベントとなりました。
中国の習近平国家主席は大会の開会式に出席し、出席した各国の首脳らを招いて歓迎晩さん会を主催しました。ハルビンはアジア各国や地域からの選手団や観客を迎え入れ、都市としての知名度と国際的な存在感を高めました。
こうした国際大会の開催は、競技場や交通インフラの整備だけでなく、サービス産業や観光産業のレベル向上にもつながります。大会をきっかけに、冬季スポーツそのものへの関心が高まり、「見に行く」「体験する」という新たな需要も生まれています。
氷雪産業はなぜ中国経済の成長源になるのか
中国でいう「氷雪産業」は、スキーやスケートなどのスポーツだけでなく、氷像イベント、冬のテーマパーク、関連する飲食・宿泊・交通といった幅広い分野を含みます。ハルビンの事例は、この氷雪産業が地域経済にもたらす波及効果をわかりやすく示しています。
例えば、ハルビン氷雪大世界の来場者増は次のような分野に効果をもたらしたと考えられます。
- ホテルや民泊など宿泊需要の増加
- 飲食店やカフェ、屋台などの売り上げ拡大
- 空港・鉄道・観光バスなど交通機関の利用増
- 現地ガイドや通訳、イベント関連の雇用創出
- 都市ブランドの向上による長期的な投資・観光需要
中国経済はここ数年、「投資」から「消費」へと成長の軸足を移そうとしています。そのなかで、地域の特色を生かしながら観光とレジャーを伸ばす氷雪産業は、内需拡大の具体的な一手として位置づけることができます。
日本の読者にとっての示唆 「冬」を価値に変える発想
冬の寒さや雪の多さは、生活面ではしばしば不便さにつながりますが、ハルビンはそれを逆手に取り、「氷と雪」を都市ブランドと経済資源に変えています。この発想は、寒冷地域を多く抱える日本にとっても示唆に富んでいます。
地域の自然条件を強みとして再発見し、観光やスポーツ、文化イベントと結びつけることで、新しい来訪者や消費を呼び込むことができるのか。ハルビンの氷雪産業の動きは、そんな問いを私たちに投げかけています。
2025年の春節連休とアジア冬季競技大会を経て、中国の氷雪産業は今後さらに多様なビジネスや地域づくりへと広がっていきそうです。その動きを丁寧に追うことは、東アジア全体の観光や経済のダイナミクスを読み解く手がかりにもなります。
Reference(s):
China's booming ice and snow industry fuels its economic growth
cgtn.com








