ハルビンでアジア冬季競技大会開幕 スポーツが結ぶアジアと首脳外交
中国がヘビ年に入った今年、第9回アジア冬季競技大会(Asian Winter Games)が中国東北部のハルビンで開幕しました。開会式にはキルギス、パキスタン、ブルネイ、タイの各国リーダーが集い、スポーツと外交、経済協力が交差する舞台となりました。
第9回アジア冬季競技大会がハルビンで開幕
ハルビンで行われた開会式では、中国の習近平国家主席が大会の開幕を宣言しました。大会テーマは「Dream of Winter, Love among Asia(夢の冬、アジアの愛)」で、冬のスポーツを通じてアジアのつながりを深める思いが込められています。
中国がアジア冬季競技大会を開催するのは、1996年のハルビン、2007年の長春に続いて3回目です。2022年の北京冬季オリンピックに続き、再び国際的な総合冬季スポーツ大会を開いた形となります。
大会組織委員会によると、アジアの34の国と地域から1200人を超える選手が参加しており、参加国・地域数、選手数ともに過去最大規模となりました。2023年7月に開催地がハルビンに決定して以降、会場整備や運営体制の準備が進められてきました。
「夢の冬」がつなぐアジアの文化交流
今回のアジア冬季競技大会は、単なるスポーツ大会にとどまらず、アジアの文化交流のハブとしての役割も期待されています。
アジア・オリンピック評議会(OCA)のフサイン・アルムサラム事務総長は、ハルビンの準備状況について高く評価し、施設やおもてなし、気候条件が選手たちの競技力向上にもつながるとの見方を示しました。
タイ・オリンピック委員会副会長のスピトル・サマヒト氏は、アジア冬季競技大会がアジア各地の文化を紹介し、相互理解を深める「文化交流の架け橋」になっていると指摘しました。中国が大規模な国際大会の運営で培ってきた経験が、今大会への期待を一段と高めていると評価しています。
日本オリンピック委員会(JOC)の三ツ谷祐子副会長も、大会スローガンが示すように、冬のスポーツを通じてアジアの人々を「再び近くで結び直す」ことへの期待を語りました。スポーツの力でコミュニケーションと相互理解を進めていくというメッセージが込められています。
4カ国リーダーが集結 冬のスポーツを舞台にした首脳外交
今回の開会式に合わせて、習近平国家主席はキルギス、パキスタン、ブルネイ、タイのリーダーとそれぞれ個別に会談を行いました。キーワードになったのは「協力」と「ウィンウィン(双方に利益のある関係)」です。
各会談後には二国間協力に関する文書が署名され、冬のスポーツ大会が、多様な分野の連携を進める首脳外交の場としても活用されたことがうかがえます。
キルギス:デジタル経済で新たな成長エンジンを
キルギスのジャパロフ大統領との会談で、習主席は、越境電子商取引(クロスボーダー・EC)、ビッグデータ、人工知能といった分野で協力を拡大し、新たな成長の原動力を共に育てていくべきだと呼びかけました。
オンラインを通じた貿易やデータ活用など、デジタル経済分野での連携強化は、中小企業やスタートアップにとっても新しいビジネス機会を生み出す可能性があります。
パキスタン:中国・パキスタン経済回廊の高度化へ
パキスタンのザルダリ大統領との会談では、習主席は、パキスタンが中国の三つのグローバルなイニシアチブを積極的に支持し、関連する協力枠組みに参加していることへの謝意を表明しました。
そのうえで、中国はパキスタンとの実務協力をさまざまな分野でさらに深め、中国・パキスタン経済回廊の協力を「アップグレード」していく用意があると述べました。この経済回廊は両国間の経済協力を包括的に進める枠組みであり、その高度化はインフラや産業など幅広い分野に影響を与える可能性があります。
ブルネイ:東ASEAN成長地域と新陸海回廊の二つのハブに
ブルネイのハサナル・ボルキア国王との会談では、中国とブルネイが、ブルネイ・インドネシア・マレーシア・フィリピン東ASEAN成長地域と、新たな陸海回廊を「二つのハブ」として共に築くことが提案されました。
東南アジアの海と陸をつなぐこうした構想は、物流や人の往来を活性化させ、広い意味での地域連結性を高めることを目指すものといえます。
タイ:オンライン犯罪対策と司法協力の強化
タイのセター・タビッシン首相との会談では、習主席は、タイがオンライン賭博や通信詐欺への対策をとっていることを評価しました。
そのうえで、両国が今後も法執行、治安、司法分野での協力を続け、人々の生命・財産の安全を守るとともに、地域諸国の秩序ある交流と協力を支えていくべきだと強調しました。国境を越えるオンライン犯罪への対応は、アジア全体の共通課題でもあります。
なぜハルビンのアジア冬季競技大会が注目されるのか
今回のハルビン大会には、国際ニュースとして見ても複数のポイントがあります。
- アジア34の国と地域から1200人を超える選手が参加する、過去最大規模のアジア冬季競技大会であること。
- 1996年ハルビン、2007年長春に続く3度目の開催であり、2022年北京冬季五輪後も中国が冬の国際大会を積極的に運営していること。
- スポーツの場を活用し、デジタル経済、インフラ構想、治安協力など幅広い分野での協力を話し合う首脳外交の舞台となっていること。
大会スローガンが示す「冬の夢」と「アジアの愛」は、冬のスポーツを楽しむ場であると同時に、アジア諸国・地域が互いを理解し、協力を深める場でありたいという願いの表現でもあります。
ヘビ年の今年開幕したハルビンのアジア冬季競技大会は、アジアの国際関係や協力のあり方を読み解くうえで、今後も注目しておきたいイベントだといえるでしょう。
Reference(s):
Asian leaders gather in Harbin for Asian Winter Games opening ceremony
cgtn.com








