中国の大型水陸両用機AG600M、3機同時試験飛行で認証へ前進
中国の大型水陸両用機AG600Mが3機同時の試験飛行を行い、航空当局による耐空性証明(エアワースネス認証)に向けた重要な一歩を踏み出しました。消防や海上救難などに使われる新型機として、国際ニュースでも注目を集めています。
3機同時の試験飛行、認証プロセスへ前進
中国の航空機メーカーである中国航空工業集団(AVIC)は、独自開発した大型水陸両用機「AG600M崑龍」3機が、最近、新たな試験飛行のラウンドを完了したと発表しました。これにより、実運用に必要な耐空性認証に向けたプロセスが一段と進んだとしています。
試験飛行は、中国北西部の陝西省蒲城にあるAVICの民間機試験飛行センターで月曜日に実施され、およそ500人規模の研究・試験チームが支援にあたりました。AVICによれば、結果は木曜日に公表されています。
今回のフライトでは、以下のような厳しい評価試験が行われました。
- 飛行制御系統の故障を想定したシミュレーション
- 着氷(機体に氷が付着する)条件での性能確認
- アビオニクス(航空電子機器)システム更新後の点検
3機はいずれも任務を終えて安全に帰投し、AVICは「機体性能と安全性が検証され、今後の耐空性認証作業に向けた堅固な基盤が築かれた」と説明しています。
AG600ファミリーとは:防災・救難の「多用途プラットフォーム」
AG600シリーズの大型水陸両用機は、中国が防災・減災や海上救難能力を強化するうえで中核的な存在と位置づける機体です。民間航空の安全基準を満たすことを前提に設計されており、国産の大型特殊用途機として、次のような任務を想定しています。
- 森林火災に対する消火活動
- 沖合での海上捜索・救助
- 自然災害発生時の物資輸送や被災者救援
水上と陸上のどちらからでも運用できる水陸両用機であることから、滑走路インフラが限られた地域や、広大な海域での緊急対応で力を発揮できるとみられています。
AG600Mの主な性能:60トン級で長距離・大量輸送に対応
今回試験が行われたAG600Mは、AG600ファミリーの性能を高めた改良型にあたります。公表されている主な仕様は次の通りです。
- 最大離陸重量:60トン
- 一度にくみ上げられる水量:約12トン
- 航続距離:約4,500キロメートル
- 低速飛行や短い滑走路での運用に対応
このスペックにより、山岳地帯を含む広範囲の森林火災への迅速な消火投下や、陸地から遠く離れた海域での救助活動など、複雑な任務への投入が想定されています。
2022年から続く試験の積み重ね
AG600Mの開発と試験は、ここ数年にわたり段階的に進められてきました。プロトタイプ機は2022年5月に陸上での初着陸試験を完了し、同年8月には初めての水上着水にも成功しています。
今回の3機同時試験飛行は、そうした初期段階の試験を踏まえ、より実運用を意識した耐空性・安全性の検証フェーズに入ったことを示す動きといえます。
なぜ今、AG600Mが国際ニュースになるのか
近年、世界各地で大規模な森林火災や豪雨災害が頻発し、各国・各地域で航空機を使った消火や救難のニーズが高まっています。大型水陸両用機AG600Mのような機体は、こうした気候変動リスクへの備えという観点からも注目されています。
また、アジア太平洋地域では、海上交通量の増加や観光の拡大に伴い、海難事故や緊急医療搬送への対応力が重要になっています。長距離を一度に飛べる水陸両用機の運用は、地域の防災・安全ネットワークのあり方にも影響を与えうるテーマです。
今回の試験飛行の成功により、AG600Mが実際にどのような形で配備され、国内外の防災・救難体制にどの程度組み込まれていくのか。今後の認証プロセスの進展と運用の行方が、2025年現在の国際ニュースとして引き続き注目されそうです。
Reference(s):
cgtn.com








