クジラの歌と人間の言語に共通構造 国際研究が示す意外なつながり
クジラの歌と人間の言葉は、思っているよりも似ているかもしれません。国際的な研究チームが、ザトウクジラの鳴き声と人間の言語が、同じような構造パターンを共有していると報告しました。
クジラの歌と人間の言語、意外な「共通構造」
今回の国際研究によると、ザトウクジラの出すさまざまな音と、人間の言葉を構成する音や単語には、共通した構造パターンが見られるといいます。研究チームは、この共通性が、人間とクジラという、進化の系統が大きく離れた生き物同士に共通するコミュニケーションの仕組みを示している可能性に注目しています。
ニュージーランドのオークランド大学でクジラの遺伝学を専門とする海洋生物学者、エマ・キャロルさんは「クジラの音と私たちの言葉は共通のパターンを持っている」と述べ、この発見を「本当に魅力的だ」と語っています。
南太平洋ニューカレドニアで8年間の歌声を記録
研究チームが分析したのは、南太平洋に位置するニューカレドニアで、8年間にわたって録音されたザトウクジラの歌です。そこには、さまざまな種類の鳴き声が含まれていました。
- うめき声のような低い音(groans)
- うなり声(moans)
- 笛のような甲高い音(whistles)
- 吠えるような音(barks)
- 悲鳴のような鋭い音(shrieks)
- 短く高い鳴き声(squeaks)
こうした多様な音が組み合わさって、ザトウクジラ特有の長い「歌」が形づくられます。研究チームは、この歌の中に現れる音の並び方や繰り返し方を精査し、人間の言語と共通する構造パターンがないかどうかを探りました。
「言語」そのものではないが、進化と学び方にヒント
とはいえ、今回の結果は「クジラが人間と同じような言語を話している」という意味ではありません。キャロルさんも、クジラの鳴き声をそのまま人間の言語と同一視することには慎重です。
しかし一方で、クジラと人間のコミュニケーションシステムが「どのように進化してきたのか」「どのように学ばれるのか」という点で、共通する特徴を持っている可能性を示していると指摘します。進化的に遠く離れた二つの種に似たパターンが現れているなら、それは生物が情報をやり取りするうえで有利な仕組みが、独立にたどり着いた結果かもしれないという視点も生まれます。
人間の言葉を捉え直す視点に
今回の研究は、人間の言語が本当に「人間だけのもの」なのかを考え直すきっかけにもなります。もちろん、文法や意味、文化的な使われ方まで含めれば、人間の言語は非常に特別なシステムです。それでも構造の一部が、他の生き物のコミュニケーションと重なり合うとすれば、「言語らしさ」はどこから生まれるのかという問いがより立体的になります。
クジラの歌と人間の言葉の共通点を手がかりに、今後は次のような問いが研究のテーマになっていくかもしれません。
- 構造パターンの共通性は、他の動物の鳴き声にも見られるのか
- クジラの子どもは、どのような過程で「歌」を学んでいくのか
- 人間の子どもが言葉を覚えるプロセスと、どの程度似ているのか
こうした比較を通じて、人間の言語の起源や、コミュニケーションの進化についての理解が一歩進む可能性があります。日常生活からは遠く見える海の中の歌声が、私たち自身の「ことば」を考え直すヒントになりそうです。
Reference(s):
Scientists find whale song, human language share same structure
cgtn.com








