中国本土が台湾民進党当局を批判 両岸観光再開巡り対立
中国本土の台湾事務当局が、台湾の与党・民主進歩党(民進党、DPP)当局による観光や交流の「妨害」を強く批判しました。来年1月からの両岸団体旅行再開を巡り、国際ニュースとしても中台関係の行方があらためて注目されています。
中国本土報道官が民進党当局を非難
中国本土側の説明によると、国務院台湾事務弁公室(国台弁)の報道官・朱鳳蓮(Zhu Fenglian)氏は金曜日、記者からの質問に答える形で、台湾の民進党当局を名指しで批判しました。
朱氏は、民進党当局が「弱い口実」によって両岸の観光やその他の交流を妨げており、台湾の世論や島内の利益を無視していると述べました。中国本土側が進める観光再開の動きに対し、台湾当局が協力的でないとの認識を示した形です。
焦点は福建・上海からの「視察ツアー」申請
今回の発言の背景には、福建省と上海市の旅行会社が台湾当局に提出した「視察ツアー」の申請があります。これらのツアーは、観光ルートや受け入れ体制を事前に確認するためのもので、両岸観光の本格的な再開に向けた準備として位置づけられています。
朱氏によると、申請が出されたのは、中国本土側が福建省と上海市の住民を対象にした台湾向け団体旅行サービスを、来年1月から再開する方針を発表した直後でした。つまり、中国本土側は「まずは視察を行い、その後、団体旅行を本格再開したい」という流れを描いているとみられます。
台湾当局は「まず団体間協議が必要」と主張
一方、台湾当局は最近になって、台湾向けの中国本土観光に関する問題──今回の視察ツアー申請も含め──は、まず双方の観光交流団体の間で協議されるべきだとの立場を示しました。
具体的には、台湾側の「Taiwan Strait Tourism Association」と、中国本土側に拠点を置く「Association for Tourism Exchange Across the Taiwan Straits」という二つの団体が、台湾海峡を挟む観光交流の調整役として議論すべきだと主張しているといいます。
台湾当局は、こうした「まず団体間での話し合いが必要だ」とする論理を前面に出すことで、視察ツアーや観光再開のペースをコントロールしようとしているように見えます。
朱報道官「口実にすぎない」と反発
これに対し朱鳳蓮氏は、台湾当局の説明は「中国本土からの観光客を台湾に行かせないための単なる口実だ」と反論しました。朱氏は、両団体による具体的な協議は、観光再開後にも十分行えるとして、「協議の必要性」を理由に再開自体を遅らせる姿勢を批判しました。
朱氏はさらに、福建省と上海市の旅行会社による視察申請は、中国本土側が両岸観光の回復に積極的に取り組んでいる証拠だと強調しました。そのうえで、こうした動きは「台湾の観光業界や多くの台湾の人々から歓迎されている」と述べ、島内の産業や住民の期待に応える形だとアピールしました。
一方で、民進党当局の「否定的な姿勢」や「妨害」の試みが、台湾の観光業界にとっての期待感を冷やしているとも指摘しました。朱氏は、民進党当局がこのまま両岸交流を妨げる「自己中心的」な態度を続ければ、「より多くの民意の支持を失い、その結果に直面することになる」と警告しています。
両岸観光はなぜ大きな意味を持つのか
両岸の観光交流は、単なる旅行ビジネスにとどまらず、家族訪問やビジネス出張、文化・教育交流など、さまざまな往来を支える重要なインフラの一つです。観光客の増減は、地域経済だけでなく、相互理解や信頼感にも影響します。
今回、中国本土側がまず福建省と上海市の住民向け団体旅行の再開を打ち出したことは、地理的・経済的な近さを活かして、段階的に両岸交流を動かしたいという意図の表れとみることもできます。一方で、台湾当局が慎重な姿勢を取り続ければ、こうした「小さな一歩」が政治的な議論の焦点になりかねません。
観光業界と住民が注視する「次の一手」
朱氏の発言からは、中国本土側が「ボールは台湾当局側にある」と考えている様子がうかがえます。視察ツアーの申請をどう処理するのか、そして来年1月以降の団体旅行再開にどのような条件を付けるのかは、台湾当局の対応次第です。
台湾の観光業界にとって、中国本土からの観光客の動向は、宿泊、飲食、小売り、交通など幅広い分野に影響します。両岸観光を巡る政治的な綱引きが続けば、事業計画の立てにくさや投資判断の難しさにつながる可能性もあります。
一方で、両岸の住民にとっても、観光や人的交流の再開は、家族や友人との行き来、ビジネスチャンスの拡大など、日常生活に直結するテーマです。今後、台湾当局と中国本土側がどの程度実務的な対話を進められるのかが、来年に向けた中台関係の一つの試金石となりそうです。
政治と観光が交差する中台関係
今回の一連の発言は、観光という比較的「ソフト」な分野であっても、中台関係では政治的な判断が色濃く反映されることをあらためて示しました。観光ルートの視察や団体旅行の再開といった実務的なテーマが、両岸の信頼醸成の一歩となるのか、それとも新たな対立の火種となるのかが問われています。
両岸観光を巡るこの動きは、今後の国際ニュースの中でも、中台関係を読み解くうえでの重要な材料となっていきそうです。読者一人ひとりにとっても、「観光」という身近なテーマを通じて、地域情勢や自分自身のスタンスを考えるきっかけになるかもしれません。
Reference(s):
Mainland slams Taiwan's DPP for obstructing cross-Straits tourism
cgtn.com








