中国の遺伝子編集でトウモロコシ矮化 高密度栽培へ新手法
中国の研究チームが、トウモロコシの草丈を遺伝子編集で低く抑える新しい方法を開発しました。密植(高密度栽培)に適した背の低い品種を短期間で作出でき、倒伏に強いトウモロコシづくりにつながると期待されています。この国際ニュースは、トウモロコシ生産と食料安全保障の将来像を考えるうえで重要な意味を持ちます。
世界最大の穀物、トウモロコシと食料安全保障
トウモロコシは、世界で最も生産量の多い穀物で、家畜飼料や加工食品、バイオ燃料など幅広い用途を持ち、世界の食料安全保障を支える存在です。
収量を増やす代表的な方法の一つが、畑あたりの株数を増やす高密度栽培です。しかし、背の高いトウモロコシは風や雨で倒れやすく、一定以上の密植には限界がありました。
中国の研究機関が共同で新手法を開発
今回の研究は、中国農業科学院バイオテクノロジー研究所を中心に、安徽農業大学と華南農業大学が共同で行いました。成果は植物科学分野の専門誌 Plant Biotechnology Journal に掲載されています。
Br2遺伝子を標的に草丈をコントロール
研究チームは、トウモロコシの草丈に関わるとされる Br2 遺伝子に着目し、狙った遺伝子の働きを壊すノックアウト用ベクターを設計しました。これを用いてトウモロコシ自殖系統(インブレッドライン)に導入し、性質の異なる7種類の変異系統を得ました。
これらの変異系統と、優良な自殖系統を交配して得た28種類の雑種第一代(ハイブリッド)を調べたところ、いずれの組み合わせでも、草丈の低い矮性の子孫が得られたと報告されています。
2世代で固定できる育種スピードアップ技術
さらに研究チームは、育種にかかる時間を短縮するため、半数体育種と遺伝子編集を組み合わせた仕組みを構築しました。これは半数体育成系統を誘導する特殊な系統を利用し、遺伝子編集を行った半数体植物を、2世代以内で安定した倍数体系統(ダブルハプロイド)に変換するというものです。
この方法を用いて処理した3つの優良自殖系統では、いずれも草丈が大きく低下したとされています。背の低い性質を短期間で固定できるため、実用的な品種育成に直結しやすい点が特徴です。
- 狙った遺伝子だけを迅速に改変できる
- 異なる遺伝的背景の品種にも応用しやすい
- 少ない世代数で性質を固定できるため、育種期間を短縮できる
研究者「多様な品種背景で精密な改良が可能」
論文の責任著者である中国農業科学院の研究者、王宝宝氏は、この方法により、さまざまな遺伝的背景を持つトウモロコシで草丈を迅速かつ精密に改変できると述べています。密植に適した倒伏しにくい品種の開発を支える重要な技術基盤になると強調しています。
今後の注目ポイントと広がる議論
今回の成果は、トウモロコシの収量向上や安定生産だけでなく、気候変動や人口増加を背景とした世界の食料安全保障にも関わる可能性があります。背の低いトウモロコシは、強風や豪雨に対して倒れにくく、極端な天候が増えるなかでリスク分散につながると考えられます。
一方で、遺伝子編集作物をどのように受け入れ、管理していくかという点は、各国や地域の制度や社会の議論に委ねられています。2025年現在、遺伝子編集技術は農業分野で急速に広がりつつあり、その利点とリスクをどうバランスさせるかが大きなテーマとなっています。
高密度栽培に最適化されたトウモロコシは、どの地域で、どのような条件のもとで普及していくのか。今回の中国の研究は、農業技術と食料政策の両面から今後も注目されそうです。
Reference(s):
China develops gene-editing method to reduce corn plant height
cgtn.com








