中国、米軍艦の台湾海峡通過を非難 主権と安全リスクを強調
今年2月、米軍の駆逐艦と調査船が台湾海峡を通過したことについて、中国軍と外交当局が一斉に強く非難し、米側の行動は「間違ったシグナル」であり安全保障上のリスクを高めると警告しました。
米軍艦2隻が台湾海峡を通過
中国人民解放軍東部戦区の報道官である李熙(Li Xi)上級大佐は、水曜日に発表した声明で、米軍艦2隻が今年2月10日から12日にかけて台湾海峡を通過したことを明らかにしました。
通過したのは、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦 USS Ralph Johnson と、パスファインダー級測量艦 USNS Bowditch です。両船は数日にわたり台湾海峡を航行しました。
中国軍「全行程を追尾監視し、有効に対処」
李報道官によると、中国人民解放軍東部戦区は、米軍艦の通過に対して海軍と空軍の部隊を組織し、航行の全行程にわたって追尾監視を行いました。
東部戦区は、米側の動きに「有効に対応し、適切に処置した」と説明しています。また、同戦区の部隊は「常に高度の警戒態勢を維持し、国家主権と安全、そして地域の平和と安定を断固として守る」と強調しました。
外交部「台湾問題は航行の自由ではなく主権の問題」
同じ水曜日には、中国外交部と国務院台湾事務弁公室もこの問題に同時に言及しました。中国側が軍事と外交の両面からメッセージを発信した形です。
外交部の報道官である郭嘉坤(Guo Jiakun)氏は、台湾は「中国領土の不可分の一部」であり、台湾問題は「航行の自由」ではなく、中国の主権と領土一体性に関わる問題だと指摘しました。
郭氏は、いかなる国であっても「航行の自由」の名目で中国の主権と安全を脅かす挑発的な行動をとることに、中国は断固反対すると述べました。
台湾事務弁公室「一切の外国干渉を決して許さない」
国務院台湾事務弁公室の報道官である朱鳳蓮(Zhu Fenglian)氏も、台湾問題は中国の「核心的利益」に関わると強調しました。
朱氏は、中国は「一切の外国による干渉に断固反対し、決して容認しない」と述べるとともに、国家主権と領土一体性を守るための「確固たる意志、十分な自信と能力」を持っていると表明しました。
さらに朱氏は、米国側に対して、一つの中国原則と三つの中米共同コミュニケを順守し、台湾関連の問題を特に慎重に扱うよう求めました。そのうえで、いわゆる「台湾独立」勢力に対していかなる誤ったシグナルも送らないよう米側に促しました。
中国が発信したメッセージは何か
今回の一連の発表からは、中国が台湾海峡の安全保障環境を極めて重視していることがあらためてうかがえます。軍の東部戦区だけでなく、外交部と台湾事務弁公室が同じタイミングでコメントを出したことは、台湾問題をめぐる米国の行動に対し、中国が組織横断的に対応していることを示しています。
郭報道官の発言は、「航行の自由」そのものを否定するというよりも、その名目で行われる行動が中国の主権や安全を損なうと中国側が判断する場合には、強く反対する姿勢を示したものといえます。
また、朱報道官が台湾問題を中国の「核心的利益」と位置づけ、「一つの中国」原則と中米間の合意文書の順守を重ねて求めたことからも、この問題が中国の対外政策全体の中で最も優先度の高いテーマの一つであることが伝わってきます。
今後の焦点と読みどころ
今年2月の台湾海峡通過をめぐる今回の非難は、単発の出来事としてだけでなく、今後の地域情勢を考えるうえでもいくつかのポイントを示しています。
- 米軍艦が台湾海峡を通過した際、中国軍は海空両面で追尾監視を行い、警戒態勢を誇示したこと
- 軍事部門だけでなく、外交部と台湾事務弁公室が同時に発信し、台湾問題を国家の核心的利益として位置づけたこと
- 中国が米国に対し、一つの中国原則と既存の中米共同コミュニケの順守を改めて強く求めたこと
- こうしたやり取りが続くなかで、台湾海峡周辺での誤解や偶発的な事態をどう防ぐのかが、今後の大きな課題となること
台湾海峡をめぐる動きは、日本を含む東アジアの安全保障環境にも間接的な影響を与えうるテーマです。各国がどのような言葉を選び、どのような行動を取るのかを丁寧に読み解くことが、ニュースの一歩先を考える手がかりになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








