中国神話の若き戦神・哪吒とは?中国映画史上最大ヒットの主人公
2025年12月現在、中国神話に登場する若き戦士の神・哪吒(ナタ)が、映画館で前例のない存在感を放っています。アニメ映画『哪吒2(Ne Zha 2)』は公開からわずか2週間で興行収入10億ドルを突破し、中国で史上最高の興行成績を記録した作品となりました。伝説の神が、21世紀のスクリーンでどのように生まれ変わっているのでしょうか。
ベビーフェイスの戦神・哪吒とは?
中国神話の中で、哪吒は「ベビーフェイスの戦神」として語られる特別な存在です。幼い顔立ちとは裏腹に、強大な力と激しい気性をあわせ持つ戦士の神として描かれ、数ある神や妖怪の中でもひときわ異彩を放ちます。
伝説のなかでの哪吒は、次のような物語で知られています。
- ドラゴンを打ち負かす
- 父親を追って復讐を果たそうとする
- 猿の英雄「Monkey King」とともに妖怪を征伐する
こうしたエピソードが重なり、哪吒は「権威や運命に立ち向かう若き戦士」というイメージで親しまれてきました。可愛らしい見た目と過激な行動のギャップが、物語としてのインパクトをより一層強めています。
17世紀の物語が21世紀のスクリーンへ
映画『哪吒2』は、17世紀に書かれた小説をゆるやかに下敷きにした物語だとされています。古典に登場する哪吒の物語をそのままなぞるのではなく、現代の観客が共感しやすい成長物語(coming-of-age story)として再構成している点が特徴です。
物語の中心にあるのは、神として生まれた哪吒が、自分の運命や周囲からの期待とどう向き合うのかというテーマです。伝説に見られる「父への復讐」や「怪物退治」といったモチーフも、
- 親との関係に苦しむ若者の心情
- 自分の力をどう使うかという葛藤
- 世界のなかで自分の位置を見つけようとする試み
といった形で読み替えることができます。神話の英雄でありながら、「迷いながら成長するひとりの若者」として哪吒を描くことで、物語は21世紀の観客にも近いものになっています。
『哪吒2』が塗り替えた中国映画の記録
『哪吒2』は、アニメ映画シリーズの第2作目にあたる作品です。この続編が、いまや中国映画史上もっとも大きな興行収入をあげた作品となりました。
公開からわずか2週間で、興行収入は10億ドルを超えました。これは中国で公開された映画として史上最高の数字であり、哪吒という神話上のキャラクターが21世紀の「記録保持者」にもなったことを意味します。
記録的なヒットの背景には、
- よく知られた神話を大胆に再解釈していること
- 激しいアクションと感情のドラマを組み合わせた物語づくり
- 古典への親しみと、現代的なキャラクター造形を両立させた点
などがあると考えられます。観客は、スクリーンの中で暴れ回る哪吒の姿に圧倒されながらも、その内面にひそむ孤独や怒り、そして成長の過程に自分自身を重ね合わせることができます。
「神話」と「いま」をつなぐ物語としての哪吒
哪吒の物語は、単なる昔話や派手なアクションの材料にとどまりません。ドラゴンを倒し、父を追い、怪物と戦う伝説は、
- 権威との距離をどう取るか
- 家族との関係をどう築き直すか
- 自分の怒りや力をどうコントロールするか
といった、現代を生きる私たちにも通じる問いを投げかけています。
2025年のいま、中国の観客が熱狂している『哪吒2』は、古典文学や神話を「いまの言葉」で読み直す試みでもあります。スクリーンの中の哪吒を追いかけながら、私たち自身の「成長物語」について考えてみる――そんな鑑賞体験をもたらしていると言えるでしょう。
デジタル時代において、古い物語をどうアップデートし、次の世代へ手渡していくのか。哪吒という小さな戦神の大きな成功は、そのヒントを静かに示しているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








