パリAIサミットで約60カ国が共同声明 包摂的で持続可能なAIへ
フランス・パリで開かれた人工知能(AI)アクションサミットで火曜日、中国を含む約60カ国が「人と地球のための包摂的で持続可能な人工知能」に関する共同声明に署名しました。AIを人権尊重・人間中心・安全で信頼できる技術として育てるための国際ニュースとして、今後のAI政策やビジネスにも影響しうる動きです。
パリのAIアクションサミットで何が決まったのか
今回の国際会議「人工知能(AI)アクションサミット」の最終日に採択されたのが、「人と地球のための包摂的で持続可能な人工知能に関する声明」です。署名した約60カ国は、このサミットを通じて、AIの開発と利用を進めるうえでの共通の方向性を示しました。
声明では、サミットが「オープン」で「マルチステークホルダー(多様な主体が参加)」かつ「包摂的」なアプローチを打ち出したことを確認し、その枠組みのもとでAIを人権尊重・人間中心・倫理的・安全・セキュア(安全性の高い)かつ信頼できるものにしていく方針が強調されています。
キーワードは「人権」「包摂性」「信頼性」
今回の共同声明で示されたAIの方向性は、単なる技術論ではなく、人間と社会にどう役立てるかに焦点を当てています。特に次のような視点が前面に出ています。
- 人権に基づいたAIの開発と利用
- 人間中心(人の尊厳や福祉を最優先)であること
- 倫理的で、安全かつセキュアであること
- 透明性と説明責任を重視し、信頼できること
- 特定の国や企業だけでなく、多様な主体が議論に参加できる包摂性
こうした方向性は、AIが社会インフラに近い存在になりつつある中で、「技術を誰のために、どのように使うのか」という問いに国際的な合意の枠組みを与える試みだといえます。
SDGsとデジタル格差解消をAIで後押し
声明はまた、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献も明確に位置づけています。各国は、AIを公共の利益のために活用し、デジタル技術へのアクセス格差、いわゆるデジタルディバイドを埋めるための具体的な行動に乗り出すとしています。
教育や医療、環境保護、インフラ整備など、SDGsに関連する分野ではデータや予測技術の活用余地が大きくあります。今回の声明は、こうした分野でAIをどのように活用していくかを議論する土台にもなりそうです。
5つの優先分野:AIを「人と地球」のために
共同声明は、今後の取り組みの優先分野として、次の5点を掲げています。
- AIへのアクセスの促進
誰もがAIの恩恵を受けられるようにすることが重視されています。国や地域、世代や所得による格差を縮めることがねらいです。 - オープンで包摂的・透明かつ倫理的で安全・セキュアで信頼できるAIの確保
AIの仕組みや運用をできる限り開かれたものとし、透明性と説明可能性を高めることで、社会からの信頼を得ることを目指しています。 - AIイノベーション(技術革新)の推進
規制一辺倒ではなく、イノベーションを促しつつリスクを管理するバランスを重視する姿勢が示されています。 - 労働市場でのAI活用の後押し
AIの導入が仕事のあり方を変えると見込まれる中で、雇用や働き方への影響を踏まえつつ、労働市場での前向きな活用を促す方針です。 - 人と地球にとって持続可能なAIの実現
気候変動や資源制約といった地球規模の課題も視野に入れ、AIそのものの運用が環境負荷を高めすぎないよう配慮することがうたわれています。
日本の読者にとっての意味合い
今回のパリでの合意は、AIに関する法整備やガイドラインづくりが世界各地で進む中で、国際的な共通原則の一つのベースになる可能性があります。AIを利用する企業や開発者だけでなく、働く人や生活者にとっても、今後のルール形成の方向性を知るうえで重要な国際ニュースといえます。
特に、労働市場でのAI活用やデジタル格差の是正は、日本社会にとっても避けて通れないテーマです。今回の共同声明をきっかけに、「自分たちはAIをどう使いたいのか」「どんなルールなら安心して技術を受け入れられるのか」を考えることが、一人ひとりに問われているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com







