サウジ初の冬季五輪選手アブディ、中国の第9回アジア冬季大会を称賛 video poster
サウジアラビア初の冬季五輪選手として知られるアルペンスキーのファイク・アブディ選手が、中国東北部の黒竜江省ヤブリで開催されている第9回アジア冬季競技大会(アジア冬季大会)に旗手として出場し、大会の雰囲気や運営を高く評価しました。冬季スポーツの新興国サウジアラビアにとって、今回の挑戦はどんな意味を持つのでしょうか。
ヤブリで迎えたアジア冬季大会デビュー
アブディ選手は今回、中国東北部のヤブリで開かれている第9回アジア冬季大会で、初めてアジアレベルの冬季大会に臨みました。彼は大会期間中、中国のスポーツ番組「CGTN Sports Scene」のスタジオでグレッグ・ラファーディ氏と対談し、現地での体験を振り返りました。
最初はヤブリの環境に慣れるまで時間がかかったといいますが、次第に雪質やコース、雰囲気に順応し、「とても楽しい」と感じるようになったとしています。東北の厳しい寒さの中でも、会場の雰囲気や大会運営への満足感が伝わってきます。
「一人きりではない」心強いチームの存在
アブディ選手が特に強調したのは、「今回は一人ではない」という点でした。サウジアラビアからは、女子スラロームに出場したシャリファ・アルスダイリ選手とファルフード・ジュード選手という2人のアルペンスキーヤーが加わり、さらに男子カーリングの代表チームもハルビンで競技に参加しました。
これまで単独での挑戦が多かったアブディ選手にとって、同じユニフォームを着る仲間の存在は大きな支えとなっています。サウジアラビアの冬季スポーツが「個人の挑戦」から「チームとしての挑戦」へと歩み始めている様子が浮かび上がります。
北京から続く挑戦の物語
アブディ選手にとって、中国での競技はこれが初めてではありません。3年前、彼は北京で行われた冬季五輪にサウジアラビア代表として出場し、男子大回転で44位という結果を残しました。冬季スポーツの歴史が浅い国からの出場という点でも、象徴的な一歩でした。
一方、今回のヤブリでの男子スラロームでは途中棄権となり、悔しさの残る結果となりました。それでも彼は前を向き、来年のミラノとコルティナダンペッツォで行われる冬季五輪への出場を目指してトレーニングを続けています。
結果よりも大切なものは何か
北京冬季五輪での44位、ヤブリでの途中棄権──数字だけを見れば目立つ成績とは言えないかもしれません。しかし、冬季スポーツの文化がほとんどなかった国から世界の舞台へ飛び込むこと自体が、大きな挑戦です。
アブディ選手は、たとえ結果が思うように出なくても、自らの姿が次世代の選手にとっての「きっかけ」になることを願っています。その視線は、自分一人のキャリアを超えたところに向いています。
2029年サウジ開催へ:アジア冬季大会の新たなステージ
サウジアラビアは、2029年にアジア冬季大会を自国で開催する予定です。アブディ選手は、自らを「国の冬季スポーツのパイオニア」の一人と位置づけ、この大会を見据えています。
彼は、自分のキャリアや今回のヤブリでの経験が、より多くの人々を冬季スポーツの世界へ引き寄せることを望んでいます。その広がりが、サウジアラビアにおける冬季スポーツの競技人口や環境整備につながり、やがては自国開催のアジア冬季大会を支える土台になるというイメージです。
砂漠の国が雪と氷に挑む意味
冬季スポーツといえば、これまで雪国の専売特許のように語られてきました。しかし、サウジアラビアのような国が本格的に冬季スポーツに取り組む流れは、そのイメージを静かに更新しつつあります。
- 気候条件が厳しい国でも、技術や設備の工夫で新しいスポーツ文化が育つ可能性
- アジアの国々と地域の間で、スポーツを通じた交流と理解が深まること
- 一人の選手の挑戦が、世代や分野を超えた「ロールモデル」になりうること
こうした点で、アブディ選手の歩みは、単なる一選手のストーリーにとどまらず、アジアにおける冬季スポーツの広がりという大きな流れの一部として捉えることができます。
なぜこのニュースが私たちに関係するのか
日本から見ると、サウジアラビアの冬季スポーツはまだ遠い話に聞こえるかもしれません。しかし、アジア各地でスポーツの裾野が広がることは、国際ニュースとしてだけでなく、私たちの「当たり前」を問い直す材料にもなります。
たとえば、次のような視点が浮かび上がります。
- 「伝統的な強豪国」ではない国が、どのようにして新しい競技に挑戦していくのか
- 大規模な国際大会をきっかけに、都市や社会がどのように変化していくのか
- 一人の挑戦が、どこまで周囲の価値観や選択肢を広げていけるのか
ヤブリでの第9回アジア冬季大会で見せたアブディ選手の姿勢は、スポーツの世界だけでなく、自分の専門分野や日常のチャレンジを振り返るヒントにもなりそうです。
来年の冬季五輪、そして2029年のアジア冬季大会。アブディ選手とサウジアラビアの冬季スポーツの歩みは、これからもアジアの国際スポーツニュースとして注目を集めていきそうです。
Reference(s):
Saudi flagbearer Fayik Abdi praises 9th Asian Winter Games in China
cgtn.com








