中国アニメ哪吒2の世界的ヒットと映画×観光キャンペーン
2025年2月、中国アニメ映画『哪吒2(Ne Zha II)』が世界興行収入で歴史的な記録を打ち立てました。作品の勢いに合わせて、北京では映画と観光をつなぐ新しいキャンペーン「China Travel with Chinese Films(中国映画と旅する中国)」も始動し、中国を訪れる海外旅行者の呼び込みを図っています。
中国アニメ『哪吒2』、世界興行で歴史的快挙
最新のデータによると、『哪吒2』の世界興行収入は2025年2月17日時点で120億元(約16億6,000万ドル)を突破しました。これは全世界の歴代興行収入ランキングでトップ10入りを果たす規模であり、『アバター』『タイタニック』『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』などハリウッド大作が並ぶ中で、唯一の非ハリウッド作品となっています。
中国国内でも、『哪吒2』は今年の興行収入の「主役」となり、中国映画史上の新記録を樹立しました。中国本土の映画市場において、同作品が今年の興行収入の大部分を占めているとされています。
北米でもトップ5入り、海外クリエイターも絶賛
『哪吒2』の勢いは中国にとどまりません。2月14日に北米で公開されると、その週末の興行収入ランキングでトップ5に入りました。米国のメディア計測・分析会社コムスコアのデータによるものです。
ロサンゼルスで作品を鑑賞した米国のアニメーター、シーラ・ソフィアンさんは「さまざまな点でこの作品の完成度に非常に感銘を受けた」と語ります。前作をすでに観ていたため「同じレベルの素晴らしさ」を予想していたものの、今作は美術、音響、音楽のすべてにおいてさらに高い水準に達していたと評価しました。
ソフィアンさんはまた、「物語そのものが非常に複雑で、予想外の展開が続き、最後まで先が読めなかった」と話し、上映中は終始、物語に没入していたと振り返っています。プロのアニメーターからも高い評価を得ていることは、中国アニメの国際的な存在感の高まりを象徴していると言えます。
北京で始動 中国映画と旅する中国キャンペーン
こうした中国アニメへの熱気が高まる中、北京の中国電影博物館では2月の月曜日、中国を旅先としてアピールするキャンペーン「China Travel with Chinese Films(中国映画と旅する中国)」がスタートしました。
キャンペーンは、中国国家電影局と中国メディアグループ(CMG)が主催し、中国国際テレビ(CGTN)と電影チャンネル節目中心が運営します。中国の春節(旧正月)シーズンのヒット作と、最近導入が進むトランジットビザ免除措置を組み合わせ、より多くの海外からの旅行者に中国の魅力を知ってもらうことが狙いです。
映画と観光を組み合わせた新しい体験
「中国映画と旅する中国」キャンペーンの中核となるのは、映画と観光を掛け合わせた「フィルムツーリズム」です。具体的には、次のような取り組みが想定されています。
- 中国映画の上映会と国際映画祭の連携
- 海外で開催される中国映画祭との協働
- 映画の舞台や撮影地をめぐるテーマ別旅行ルートの開発
- 映画文化と自然・文化遺産を組み合わせた没入型の観光体験
映画を通じて中国の風景や歴史、都市の姿に親しんでもらい、その関心を実際の旅行へとつなげていく構想です。単なる映像作品として消費されるのではなく、観客が「この場所に行ってみたい」と思うきっかけを生み出すことを目指しています。
CMGの世界ネットワークで発信を強化
中国メディアグループ欧州総局の江秋迪局長は、CMGが持つ海外特派員ネットワークと、世界各地のメディアやソーシャルプラットフォームとの連携を活用し、キャンペーンの情報発信を強化していく方針を示しました。
江局長によると、CMGは今後、
- 世界各地のパートナーメディアとの協力を一層深めること
- 国際的な映画機関との連携を強化すること
- 優れた中国映画を紹介する旗艦イベントを立ち上げること
などを通じて、中国映画の国際的な存在感をさらに高めていく考えです。
今回の発表イベントには、中国メディアグループや中国共産党中央宣伝部映画局、主要な中国映画の制作会社・配給会社、映画スタジオ、旅行会社、そしてシルクロード国際映画祭の関係者らが参加し、今年の春節映画の世界での興行成績について最新情報を共有しました。
映画産業と観光産業のシナジーに注目
映画と観光を結びつける試みは、各国で広がりつつありますが、大型アニメ作品の世界的ヒットと、国家レベルの観光キャンペーンが連動するケースは依然として注目度が高い動きです。
今回の中国の取り組みは、
- 海外からの旅行者にとっては、映画をきっかけに中国各地を訪れる新しい動機づけとなること
- 地方都市やこれまで知名度の高くなかった観光地にとっては、映画を通じて存在を知ってもらう機会となること
- 映画産業と観光産業にとっては、双方の収益源とビジネスモデルの多様化につながること
- 国際的な文化交流を促進し、相互理解を深めること
など、多方面での波及効果が期待されています。
これからのチェックポイント
2025年の春節シーズンを席巻した『哪吒2』と「中国映画と旅する中国」キャンペーンは、中国映画と観光がどのように結びつき、海外の観客・旅行者の行動を変えていくのかを考えるうえで、象徴的な事例になりそうです。
今後、
- 『哪吒2』が世界興行収入ランキングでどこまで順位を伸ばすのか
- 映画の舞台や撮影地をめぐる旅行ルートがどの程度整備されるのか
- 海外でどのような中国映画関連イベントが新たに立ち上がるのか
といった点は、国際ニュースや観光の動向を追ううえでも注目しておきたいところです。映画館のスクリーンから始まった物語が、どこまで現実の旅へと広がっていくのか。2025年の中国映画と観光の動きは、引き続きウォッチしていく価値がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








