王毅外相が国連安保理討論を主宰 多国間主義と平和秩序を議論 video poster
2025年2月18日、中国の王毅外相が国連安全保障理事会の公開討論を議長として主宰し、多国間主義とグローバルガバナンス(世界統治)の在り方、そしてウクライナや中東の平和について議論が交わされました。
2025年12月現在、この会合は、国連創設80年という節目の年に「国際平和と安全の維持」を改めて問い直した動きとして位置づけられます。
国連創設80年の節目に 中国が議長国として開催
今回の公開討論の正式テーマは、「多国間主義の実践、改革とグローバルガバナンスの改善」でした。会合は、中国が安全保障理事会の議長国を務める中で外相級会合として開かれ、各国が国連の歴史を振り返りつつ、多国間主義へのコミットメント(関与と約束)を再確認する場となりました。
2025年は、国際連合の創設と世界反ファシズム戦争の勝利から80年の節目の年です。王毅外相は、この歴史的背景を踏まえ、公正で衡平なグローバルガバナンス体制を共に築く必要性を強調しました。
王毅外相が語った「真の多国間主義」とグローバルサウス
王毅外相は、過去80年の世界の変化を振り返り、次のような点を指摘しました。
- 世界の多極化が加速し、経済のグローバル化が進展してきたこと
- 世界各地の人々が協力しながら数々の課題を乗り越えてきたこと
- いわゆるグローバルサウス(新興国や途上国)の台頭と存在感の増大
- 冷戦の影から抜け出し、二極対立を越えた時代へと移行してきたこと
その一方で、王毅外相は「真の世界平和と共通の繁栄は、いまだ十分には実現していない」と述べ、現状への危機感も示しました。
国連安保理での発言では、「国際社会は二度の世界大戦という惨禍から痛ましい教訓を得て、国際連合を創設しました」と述べたうえで、世界的な危機が続く中で「真の多国間主義を再活性化し、より公正で衡平なグローバルガバナンス体制の構築を加速する必要がある」と強調しました。
ここで王毅外相が言う「真の多国間主義」とは、特定の国やブロックではなく、国連憲章の原則に基づき、各国が対等な立場で協力する枠組みを重視する姿勢を指していると受け止められます。
ウクライナ情勢と中東和平への立場
会合では、具体的な紛争地域についても言及がありました。王毅外相は、ウクライナ情勢に関して、和平交渉に資するあらゆる取り組みを支持するという中国の立場を改めて表明しました。
中東については、とくにパレスチナ問題に触れ、二国家解決(イスラエルとパレスチナがそれぞれ国家として共存する構想)の重要性を強調しました。王毅外相は次のように述べています。
「ガザとヨルダン川西岸はパレスチナの人々の故郷であり、政治的な取引のための交渉材料ではない。パレスチナをパレスチナの人々自身が統治することは、ガザの紛争後の統治において守られるべき重要な原則だ。」
この発言は、紛争後のガザの統治を議論する際、当事者であるパレスチナの人々の権利と主体性を尊重すべきだという視点を明確に示したものと言えます。
安保理決議の拘束力を改めて強調
王毅外相はまた、国連安全保障理事会の決議は法的拘束力を持ち、すべての国がそれを順守しなければならないと強調しました。
安保理決議の履行は、国連憲章に基づく国際秩序を支える柱の一つです。決議が守られなければ、制裁措置や停戦要求、人道的支援の枠組みなど、国際社会が合意した対応の実効性が損なわれる可能性があります。
国連創設80年の節目にあえてこの点を強く打ち出したことは、「ルールに基づく国際秩序」をどう維持し、より公正な形に改善していくかという問いを、改めて各国に突きつけるメッセージとも読み取れます。
日本の読者が考えたいポイント
今回の国連安保理公開討論から、日本の読者が押さえておきたいポイントを整理すると、次のようになります。
- 2025年は国連創設と世界反ファシズム戦争勝利から80年という節目の年であること
- 王毅外相が、多極化の進展やグローバルサウスの台頭を踏まえつつも、「真の多国間主義」の必要性を訴えたこと
- ウクライナ和平への支援や、中東における二国家解決の重要性を明確に示したこと
- 安保理決議は法的拘束力を持ち、すべての国がこれを守るべきだと改めて強調したこと
国際ニュースを追ううえで、「多国間主義」や「グローバルガバナンス」という言葉は抽象的に聞こえがちです。しかし、ウクライナや中東、その他の地域で起きている紛争や人道危機の行方は、こうした枠組みのあり方と密接に結びついています。
国連創設から80年が過ぎた今、多国間の枠組みをどう守り、どのように更新していくべきなのか。今回の王毅外相の発言は、その問いを改めて考えるきっかけを世界に投げかけていると言えるでしょう。
Reference(s):
Wang Yi Chairs UN Debate on Multilateralism and Global Peace
cgtn.com








