映画『Ne Zha 2』サウンドトラック 中国民俗音楽とホーミーが世界を魅了 video poster
映画『Ne Zha 2』のサウンドトラックをきっかけに、中国の民俗音楽と内モンゴルの喉歌ホーミーが世界のリスナーから注目を集めています。本記事では、その中心にいる歌手 Halamuji の表現と、彼が語る slow creation という創作哲学をひもときます。
中国民俗音楽が世界とつながる瞬間
国際的に知られるアニメ映画 Ne Zha 2 のサウンドトラックには、中国の民俗音楽のエッセンスが色濃く刻まれています。メロディやリズムの土台に伝統的な音階やフレーズが取り入れられ、物語のスケールとともに、中国文化の奥行きが立ち上がります。
そこに、内モンゴル出身の喉歌歌手 Halamuji が加わることで、音世界は一気に広がります。ホーミーと呼ばれる喉歌の響きが、作品に神秘的で力強い層を与え、サウンドトラック全体を中国文化への鮮やかなオマージュへと変えているのです。
内モンゴルの喉歌歌手 Halamuji の声
Halamuji は、内モンゴルの大地に根ざした喉歌の技法を持つ歌手です。Khoomei とも呼ばれるこの歌唱法は、一人で複数の声部を響かせているように聞こえる独特のスタイルで、聴き手に「声という楽器」の可能性をあらためて意識させます。
Ne Zha 2 のサウンドトラックでは、このホーミーの響きが物語の重要な場面を彩り、画面に映る神話世界と深く共鳴します。言葉を超えた声のうねりが、登場人物の感情や運命を表現し、映像だけでは描ききれない感覚を補っているように感じられます。
slow creation が生むタイムレスな芸術
Halamuji はインタビューの中で、slow creation という考え方について語っています。スピードと効率が重視されがちな時代にあって、あえて時間をかけて創作に向き合う姿勢こそが、時代を超えて残る芸術の力になるという視点です。
slow creation という発想は、例えば次のような実践に表れていきます。
- 一つ一つのフレーズや響きに耳を澄ませ、納得いくまで練り上げること
- 歌や旋律の背景にある歴史や物語をていねいに学び直すこと
- 聴き手が自分なりのイメージを広げられるよう、音に余白を残すこと
時間をかけて作られた音は、聴く側の時間感覚にも影響を与えます。忙しい日常の中でこのサウンドトラックを聴くと、ふと呼吸が深くなったり、遠い土地や過去の記憶に思いをはせたりと、自分の内側の時間がゆっくりと動き出す感覚が生まれます。
中国の民俗音楽レガシーをどう受け取るか
今回の Ne Zha 2 のサウンドトラックは、中国の民俗音楽のレガシーを現代的な形で提示し、世界中のリスナーに開かれた作品になっています。映画というグローバルなプラットフォームを通じて、中国各地の音文化が国境を越えて届いているのは象徴的です。
とくにデジタル配信が当たり前になった現在、映画音楽はプレイリストや動画投稿などを通じて、国や地域をまたいで素早く共有されます。その中で、中国の民俗音楽が「懐かしい伝統」ではなく、「新しいサウンド」として受け止められている点は注目に値します。
作品を耳にするとき、次のような問いを持ってみるのもおもしろいかもしれません。
- 自分の知っている中国像と、この音楽が描く世界観にはどんな違いがあるか
- 映像抜きでサウンドトラックだけを聴いたとき、どんな情景が浮かぶか
- 自分の国や地域の民俗音楽と重ねて聞くと、どんな共通点や違いが見えてくるか
slow creation の姿勢で生み出された音楽は、ただの「映画の付属品」ではなく、文化を超えて対話するための入り口にもなりえます。中国の民俗音楽が世界とつながる今、その響きをどう受け取り、自分の中の世界地図をどう更新していくかは、私たち一人一人に委ねられています。
Reference(s):
cgtn.com








