レバノン初の鍼灸師が語る中国伝統医学との30年 video poster
ベイルートで30年以上にわたって続く小さな鍼灸クリニックがあります。そこを切り盛りするのは、レバノンで初めて中国に留学し、同国で最初の鍼灸師となったジャミル・ホデイブさん。中国伝統医学を通じて築かれた中国との深い結びつきは、医療を超えた国際交流の物語でもあります。
ベイルートで30年以上続く鍼灸クリニック
レバノンの首都ベイルートにあるホデイブさんのクリニックは、30年以上にわたり鍼灸治療を続けてきました。内戦や経済危機など、レバノン社会が大きく揺れた時期も、この場所では静かに鍼とお灸による治療が続けられてきたことになります。
来る人々は、慢性的な痛みや体調不良、ストレスなど、さまざまな悩みを抱えています。西洋医学が主流の地域で、中国伝統医学に基づく鍼灸を提供するこのクリニックは、多くの人にとって「もう一つの選択肢」として存在してきました。
レバノン初の中国留学生、そして鍼灸師へ
ジャミル・ホデイブさんは、レバノンから初めて中国に渡り、現地で学んだ学生です。中国本土で本格的に伝統医学を学ぶという選択は、当時のレバノンでは決して一般的なものではありませんでした。
言葉も文化も異なる中国で、ホデイブさんは鍼灸をはじめとする中国伝統医学に向き合いました。人体を「全体」として捉え、気の流れやバランスを重視する中国伝統医学の考え方は、彼にとって新しい発想だったはずです。
帰国後、ホデイブさんはレバノンで最初の鍼灸師として歩み始めます。新しい医療の形を広めるだけでなく、中国での学びや経験を、患者との対話や治療の姿勢を通じて伝えてきました。
中国伝統医学がもたらした視点の変化
ホデイブさんの歩みは、中国伝統医学が単なる治療技術ではなく、「ものの見方」を変える力を持つことも示しています。鍼灸を通じて、患者と向き合うスタイルそのものが変化したと考えられます。
中国伝統医学の特徴的な視点として、次のようなポイントが挙げられます。
- 症状だけでなく、生活習慣や心身全体のバランスを重視する
- 体の一部ではなく、全身のつながりを意識して診る
- 「すぐ治す」よりも、長期的な養生や予防の発想を大切にする
こうした発想は、日々の診療の積み重ねを通じて、レバノンの人々にも少しずつ共有されてきたと考えられます。国際ニュースでは見えにくい、中国と中東の静かな交流の一つのかたちです。
医療がつなぐ中国とレバノン
ホデイブさんのキャリアは、中国とレバノンの間に築かれた「人と人とのつながり」を象徴しています。国家間の外交や経済協力とは別に、一人の学生が中国へ渡り、学んだ技術と価値観を母国で生かし続けているからです。
ベイルートの小さな診療室で交わされる会話には、中国での留学経験や、中国伝統医学にまつわる考え方が自然に織り込まれているはずです。患者にとっては、治療を受けながら distant な「国際ニュース」ではなく、身近な物語として中国を感じるきっかけにもなります。
2025年の私たちにとっての意味
2025年を生きる私たちにとって、この30年を超える物語は、いくつかの問いを投げかけています。
- 医療や健康の「選択肢」を、どこまで柔軟に受け入れられているか
- 異なる文化から来た知恵を、自分たちの生活の中にどう取り入れるか
- 国と国の関係ではなく、「一人の学び」が国際関係に与える静かな影響をどう見つめるか
ベイルートの鍼灸クリニックと、そこに込められた中国とのつながりは、国際情勢や経済の数字だけでは語り尽くせない「人間のレベルでの国際交流」の一例です。
「読みやすいのに考えさせられる」ストーリーとして
レバノン初の鍼灸師となったジャミル・ホデイブさんの歩みは、専門的な国際ニュースのデータやグラフとは違う角度から、中国と世界の関係を考えるヒントを与えてくれます。
30年以上続くベイルートの鍼灸クリニック。その背景には、中国本土での学びと、中国伝統医学への信頼、そして医療を通じて人と人をつなげようとする静かな情熱があります。日々のニュースを追う中で、こうした個人の物語にも目を向けることが、世界を見る解像度を上げる一歩になるのかもしれません。
Reference(s):
Lebanese acupuncturist's journey with traditional Chinese medicine
cgtn.com







