CGTN国際調査 トランプ米政権アメリカ・ファーストに世界で懸念
トランプ米政権の発足から1カ月の段階で、CGTNと中国人民大学、新時代国際伝播研究院が共同で実施した国際世論調査の結果が公表されました。38カ国7586人を対象としたこの調査は、新政権の外交・通商政策に対する世界の見方を浮き彫りにしています。
CGTNと中国人民大学の共同世論調査とは
今回の調査は、米国の新政権が掲げる外交方針、とくにアメリカ第一を掲げる政策が国際社会にどう受け止められているのかを探るために行われました。回答者は、米国、ドイツ、フランス、日本、韓国、英国、イタリア、オーストラリアなどの先進国に加え、ブラジル、南アフリカ、エジプト、マレーシア、チリ、ナイジェリア、アラブ首長国連邦、ベトナムなどの新興国・途上国にも広がっています。
調査の主な焦点は次の3点です。
- 国際機関や国際協定からの離脱が、グローバル・ガバナンスに与える影響
- 関税引き上げや投資規制など、通商政策への評価
- 米中、米欧、米露、米日・韓、中東など主要な二国間関係への影響
アメリカ・ファーストへの世界の評価
国際ニュースとして注目されるのは、アメリカ・ファーストを掲げる新政権の外交・通商戦略に対する評価です。調査では、世界全体の63.7パーセントが、国際機関からの離脱や国際協定からの離脱がグローバル・ガバナンスを損なっていると感じていることが分かりました。米国の同盟国に限ると、この懸念は66.7パーセントに高まります。
また、63.3パーセントがアメリカ・ファースト路線は世界経済の減速を加速させていると回答しました。さらに、58.4パーセントが、米国の貿易保護主義が自国の経済成長を妨げると懸念しています。
特に警戒される通商措置
どのような米国の通商措置が自国にとって最も脅威となるかについて、世界の回答者は次の3つを挙げました。
- 外国のハイテク企業への投資を制限する措置(58.3パーセント)
- 輸入品に対する関税を引き上げる措置(57.9パーセント)
- 外国からの輸入や国際的なサプライチェーンへの依存を減らす措置(54.2パーセント)
いずれも、グローバル経済のつながりを弱め、自国の成長機会を奪いかねない動きとして受け止められていることがうかがえます。
G7諸国で広がる対米関係への悲観
調査は、日本を含むG7諸国の見方にも焦点を当てています。米国を除く6カ国の回答者のうち、57パーセントが今後の対米二国間関係に悲観的だと答えました。
とくに懸念が強いのはドイツとカナダで、66パーセントが両国と米国の関係悪化を心配しています。日本、英国、フランスでもそれぞれ60パーセント、59.3パーセント、57.5パーセントが悲観的な見方を示しました。
G7の回答者にとって最大の懸念は関税政策です。71.4パーセントが今後の関税措置に不安を示しており、とくにカナダ、日本、ドイツで警戒感が強いとされています。また、64.3パーセントが国際協定からの急な離脱を批判し、グローバル・ガバナンスや国際協力を不安定化させると見ています。
さらに、63.1パーセントが、米国が製造業保護と輸入依存の低減に重点を置くことで、自国経済にも悪影響が及ぶと回答しました。日本の回答者の72パーセントがこの点を特に懸念しているとされ、サプライチェーンの再編や輸出への影響を意識していることが読み取れます。
全体として、56.5パーセントが新政権の一方的な姿勢はグローバリゼーションを損なうと懸念し、61.8パーセントが貿易自由化を弱め、世界経済の成長を鈍らせる可能性があると考えています。
米国内でも高くない外交への期待
興味深いのは、この調査が米国内の見方も明らかにしている点です。米国の回答者のうち、新政権の外交政策が主要なパートナーとの関係に良い影響を与えると見る人は半数に届きませんでした。ここで挙げられたパートナーには、中国、欧州、日本、韓国、中東地域が含まれます。
その中で例外的に期待がやや高いのはロシアとの関係で、51.5パーセントが米露関係の改善を見込んでいます。一方で、中東との関係改善を期待する人は45パーセント、欧州との関係は44パーセント、日韓との関係は42パーセントにとどまっています。
米中関係については、より慎重な見方が示されました。新政権の政策が米中関係を悪化させると答えた人が43パーセントと、改善すると見た40パーセントを上回りました。
台湾海峡と南シナ海をめぐる不透明感
台湾海峡や南シナ海問題に関しては、米国内でも見通しの不透明さが際立ちました。台湾をめぐる問題で新政権がプラスに働くと考える人は29.5パーセントで、マイナスだと見る人も同じく29.5パーセント。残る41パーセントは判断を保留し、よく分からないと答えています。
南シナ海についても、33パーセントがプラスの影響を予想する一方で、29パーセントがマイナスと回答し、38パーセントが不明としています。安全保障面で緊張が高まり得るテーマであるにもかかわらず、米国内でも評価が割れ、なおかつ大きな様子見層が存在していることが分かります。
日本と世界にとっての意味
今回の世論調査は、一つの調査結果にすぎないものの、国際ニュースとしていくつかの重要なポイントを示しています。
- 米国の国際機関離脱や一方的な行動は、同盟国を含む多くの国や地域で懸念材料になっている
- 関税引き上げや投資制限などの保護主義的な通商政策は、各国が自国経済への悪影響を予想するほど強いインパクトを持っている
- 米中関係や台湾海峡、南シナ海をめぐる動きは、米国内でも見方が割れており、先行きへの不透明感が大きい
日本にとっても、対米関係や通商政策は自国の経済と安全保障に直結するテーマです。G7の一員として、またアジアの主要経済として、どのように国際協調を維持し、変化する米国の外交・通商路線と向き合っていくのかが問われています。
国際秩序やグローバル・ガバナンスをめぐる議論は一朝一夕には決着しません。この調査結果をきっかけに、アメリカ外交と世界経済の行方、そして日本やアジアがどのような役割を果たし得るのかを、落ち着いて考えてみる必要がありそうです。
Reference(s):
CGTN poll reveals broad criticism of Trump's first month in office
cgtn.com








