中国の小惑星探査「天問2号」、西昌の打ち上げ基地に到着
中国の小惑星探査機「天問2号」、打ち上げ基地に到着
中国国家航天局(CNSA)は木曜日、小惑星探査機「天問2号」が、中国南西部・四川省の西昌衛星発射センターに到着したと発表しました。当初、打ち上げは2025年上半期に予定されていましたが、その準備は慎重に進められてきました。
ミッションの概要:小惑星から試料を持ち帰る
天問2号は、地球の近くを通過する小惑星「2016 HO3」から岩石や砂などの試料を採取し、地球に持ち帰ることを目標としています。さらに、その後には彗星「311P」の探査も計画されています。
宇宙機が天体から物質を採取して地球に持ち帰る「サンプルリターン」と呼ばれる手法は、太陽系の成り立ちや地球の水・有機物の起源を探る上で重要だとされています。観測データだけではわからない微細な構造や成分を、地上の研究施設で精密に分析できるからです。
西昌衛星発射センターで進む準備
CNSAによると、西昌衛星発射センターの各施設は良好な状態にあり、打ち上げに向けた準備作業が計画通り進んでいるといいます。天問2号本体の点検や燃料の充填、ロケットとの結合作業、システム全体の試験など、多くの工程が控えているとみられます。
当初の計画では、天問2号は2025年の前半に打ち上げるスケジュールが示されていました。複雑な深宇宙探査では、技術的な検証や安全確保のためにスケジュール調整が行われることも多く、準備の一つひとつが慎重に進められていきます。
ターゲットとなる天体:2016 HO3と311P
天問2号が目指す「2016 HO3」は、地球の近くを周回する近地球小惑星の一つです。サイズの小さな天体ですが、太陽系初期の状態を比較的よく保っていると考えられており、その内部には約46億年前の情報が眠っている可能性があります。
後半のターゲットとなる「311P」は彗星です。彗星は氷や塵(ちり)を多く含み、太陽に近づくたびにガスや塵を放出して「尾」を形成します。氷の中に閉じ込められた物質を調べることで、太陽系の外側で形成された物質や、揮発性(蒸発しやすい)成分の歴史を知る手がかりになると期待されています。
なぜ今、小惑星サンプルが重要なのか
小惑星や彗星は、太陽系形成の「化石」のような存在だとよくたとえられます。大きな惑星に成長できなかった小さな天体には、初期の状態の物質が比較的そのまま残っている可能性が高いからです。
こうした天体からのサンプルリターンには、次のような意義があります。
- 太陽系がどのように生まれ、現在の姿になったのかを理解する手がかりになる
- 水や有機物がどのように地球にもたらされたのかを考える材料になる
- 将来の資源利用や、地球に接近する天体への対策(惑星防衛)の基礎データになる
深宇宙探査は、短期的な成果よりも、数十年単位で人類の知識を積み重ねていく長期プロジェクトです。天問2号のようなミッションは、その積み重ねの一つのステップといえます。
広がる深宇宙探査と国際的な文脈
ここ数年、各国の宇宙機関や研究機関は、小惑星や彗星を対象とする探査に力を入れています。探査機を送り込み、サンプルを持ち帰るには高度な航行技術や着陸技術が必要であり、その過程で培われる技術は、将来の有人探査や月・火星探査にもつながります。
中国は、月探査機「嫦娥」シリーズや火星探査機「天問1号」などを通じて、探査能力を段階的に高めてきました。天問2号は、その延長線上にある深宇宙探査プロジェクトであり、小惑星・彗星という新たなターゲットに挑むものです。
各国がそれぞれの強みを生かして宇宙探査を進めることで、得られたデータや知見が国際的に共有され、人類全体の理解が深まっていく可能性があります。天問2号の動向も、その大きな流れの中で注目されそうです。
これから何に注目するか
今後の焦点は、打ち上げ準備の進捗と、探査機がどのような経路で小惑星2016 HO3、そして彗星311Pへ向かうのかという運用面に移っていきます。打ち上げロケットの最終試験や、探査機の各種システムの確認など、一つでも不具合があればスケジュールの見直しが必要になるためです。
深宇宙ミッションは、計画から実現まで長い時間がかかる取り組みです。その分、一つのニュースの背後には、研究者や技術者たちの地道な試行錯誤があります。天問2号がどのような成果をもたらすのか、今後の発表を静かに追いかけていきたいところです。
Reference(s):
China's Tianwen-2 asteroid sample mission arrives at launch site
cgtn.com








