国際ニュース 王毅外相が語る「公平なグローバル・ガバナンス」と多国間主義
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中国の王毅外相が、国連80周年という節目の年に「公平で公正なグローバル・ガバナンス」と多国間主義の強化を呼びかけました。国際ニュースの流れの中で、その狙いを整理します。
中国・王毅外相が示したメッセージの全体像
王毅外相(中国外交部長、共産党中央政治局委員)は土曜日、中国メディア向けのブリーフィングで、最近の欧州・アフリカ歴訪と国際会議への参加内容を説明しました。
今回の説明は、次の一連の外交活動をふり返る形で行われました。
- 英国とアイルランドの訪問
- ドイツで開かれた第61回ミュンヘン安全保障会議
- 2月に中国が議長国を務めた国連安全保障理事会ハイレベル会合
- 南アフリカ・ヨハネスブルクでのG20外相会合
王外相が一貫して強調したキーワードは、次の三つです。
- 公平で公正なグローバル・ガバナンスの構築
- 実効性ある多国間主義の推進
- アフリカとグローバル・サウスの声を反映させること
国連80周年とグローバル・ガバナンスの岐路
王外相は、現在の国際情勢について「平和、発展、ガバナンスの赤字」が拡大し、グローバル・ガバナンスが歴史的な岐路にあると指摘しました。
2025年は国連創設から80年の節目にあたります。王外相は、この節目を次のような機会にしたいと述べました。
- 歴史から知恵をくみ取り、新たな多国間主義の時代を切り開く
- より公平で公正なグローバル・ガバナンス体制を構築する
- 人類の「共有未来の共同体」づくりを推進する
中国は2月、国連安全保障理事会の議長国として「多国間主義の実践とグローバル・ガバナンスの改革・改善」をテーマにハイレベル会合を主宰しました。王外相によると、討議では各国から次のような点で認識の一致がみられたといいます。
- 国連の役割は不可欠であり、中心的な舞台であり続けるべきだ
- 多国間主義への流れは変えられず、後戻りはしない
- グローバル・ガバナンスの改革と改善は、もはや先送りできない課題である
世界のさまざまな紛争や気候変動、開発格差といった課題が重なる中で、国連をどう機能させていくのか。王外相は、中国として積極的に関与していく姿勢を示しました。
ミュンヘン安全保障会議で語られた多極化
今年のミュンヘン安全保障会議は「多極化」が主要テーマの一つでした。王外相は、世界が直面する課題は複雑化しているものの、「平和・発展・ウィンウィンの協力」は時代の大きな流れであり、止められないと述べました。
そのうえで、次の二つの変化は歴史的な必然であり、すでに現実になりつつあると強調しました。
- 一極支配ではなく、多くの主体が関与する多極的な国際秩序への転換
- 経済のグローバル化の進展と、それに伴う相互依存の拡大
王外相は、中国がこの多極的な国際システムの中で「確実性の要因」となり、変動する世界における「揺るがぬ建設的な力」でありたいと語りました。
G20とアフリカ 「アフリカの瞬間」が意味するもの
南アフリカのヨハネスブルクで開かれたG20外相会合では、今年11月にアフリカ大陸で初めて開催されたG20サミットに向けた議論も行われました。王外相は、G20とグローバル・ガバナンスにとって、これは「アフリカの瞬間」だと表現しました。
王外相によると、中国は外相会合の場で次のような提案を行い、参加国から広く支持を得たといいます。
- アフリカの声にしっかり耳を傾けること
- アフリカの関心や懸念を真剣に受け止めること
- アフリカ自身の取り組みを尊重し、支援すること
- G20協力を通じてアフリカの発展を後押しし、共通の繁栄と前進を実現すること
南アフリカが議長国を務める今年のG20のテーマは、英語でUnity, Equality and Sustainability、すなわち「団結・平等・持続可能性」です。王外相は、中国としてこのテーマを全面的に支持し、グローバル・サウスの共通の期待に応えるため、G20協力で建設的な役割を果たしていく姿勢を示しました。
日本とアジアの読者が押さえておきたいポイント
国際ニュースを日本語で追う読者にとって、今回の発言はどのような意味を持つのでしょうか。いくつかの視点に整理してみます。
- 国連80周年の年に、主要国が国連の役割と多国間主義をどう位置づけるかは、今後の国際秩序を左右するテーマです。
- 多極化とグローバル化の「不可逆性」を強調する中国のメッセージは、欧米やアジアの他の国々の見方とどう接点を持つのかが注目されます。
- G20の議論にアフリカやグローバル・サウスの視点がより強く反映されれば、日本を含むアジアの経済・開発政策にも影響が及ぶ可能性があります。
グローバル・ガバナンスの設計をめぐる議論は、一部の専門家だけの問題ではありません。気候変動やエネルギー、安全保障、デジタル経済など、私たちの生活に直結するテーマにも広く関わっています。中国を含む各国がどのようなビジョンを掲げているのか、引き続き丁寧にフォローしていく必要がありそうです。
Reference(s):
Chinese FM calls for fair global governance, stronger multilateralism
cgtn.com








