北京デジタル展「Super Dunfun」が映し出した敦煌文化の新しい楽しみ方
2025年前半、北京の中心部で開かれたデジタルアート展「Super Dunfun」は、千年以上の歴史を持つ敦煌文化を、インタラクティブなデジタル体験として再構成しました。文化遺産と最新テクノロジーをつなぐ試みとして、今も注目を集めています。
デジタルで出会う敦煌文化「Super Dunfun」とは
「Super Dunfun」は、EDCC Ewin Digital Art CenterとDunhuang Artが共同で主催したデジタルアート展です。会場は北京市中心部・王府井にある王府井百貨店の5階フロアで、会期は2025年3月25日までとされていました。
来場者は、長い歴史を持つ敦煌の美術や文化を、デジタルインタラクションを通じて体験できる構成になっていました。従来の「鑑賞するだけの展示」ではなく、「自ら入り込み、触れて、動かす」体験型の展示である点が特徴です。
13の展示エリアと7つのセクション
展示は、13のエリアを7つのセクションに分けた構成で、Dunhuang Artのアーティストたちの創作成果を土台にしています。敦煌の壁画や石窟(洞窟寺院)の美術のエッセンスを抽出し、デジタル技術で再解釈することで、来場者が「遊びながら」学べるよう工夫されていました。
たとえば、敦煌の壁画や仏像をモチーフにしたビジュアルが、スクリーン上や空間全体に投影され、動きや音と連動して変化するような仕掛けが想像されます。こうした手法により、歴史的なモチーフが「難しい文化財」ではなく、「親しみやすい体験」として提示される点がポイントです。
メタバース空間としての敦煌
主催者は「Super Dunfun」を、来場者をファンタジーあふれるメタバース空間へといざなう試みとして位置づけています。メタバースとは、インターネット上の仮想空間で、人々がアバターなどを通じて交流したり体験を共有したりする仕組みの総称です。
敦煌の壁画や石窟芸術、文化遺産をメタバース的な演出の中に取り入れることで、現地に行かなくても「敦煌の世界」に没入できるようにした点が、この展示の大きな特徴といえます。物理的な距離や時間の制約を超えて、文化遺産への入り口を広げる役割も果たしました。
北京・王府井という都市空間で体験する文化遺産
「Super Dunfun」の会場となった王府井は、北京を代表する繁華街の一つです。ショッピングや観光の中心地である百貨店フロアに敦煌文化の展示を置くことで、文化と日常生活とが自然に交差する場が生まれました。
通りがかりの買い物客も含め、多様な世代の人々が足を運びやすい立地であることは、文化遺産への「接点を増やす」という意味で重要です。歴史資料館や専門的な美術館の外側に、文化体験の場を広げていく流れの一例だともいえます。
敦煌文化はなぜ今も人を引きつけるのか
敦煌の名は、長くシルクロードとゆかりの深い地として知られてきました。多様な文化や宗教、美術が行き交った蓄積が、壁画や石窟芸術となって残されています。その豊かなイメージ世界は、現代のクリエイターにとっても大きなインスピレーションの源です。
「Super Dunfun」は、その敦煌のイメージを忠実に再現するだけでなく、現代のデジタル技術と組み合わせることで、新しい物語や表現を生み出そうとしました。文化遺産を「守る」だけでなく、「翻訳し直して共有する」試みとして見ることもできます。
デジタルネイティブ世代への新しいアプローチ
スマートフォンやソーシャルメディアに慣れた世代にとって、文化への入り口が必ずしも本や静かな展示室である必要はありません。視覚的にわかりやすく、しかも参加型である「Super Dunfun」のような展示は、デジタルネイティブに向けた文化コミュニケーションの一つのモデルといえるでしょう。
一方で、こうしたデジタル演出は、文化遺産の本来の文脈や意味をどこまで伝えられるのか、という問いも残します。華やかな演出に頼りすぎず、歴史的な背景や素材への敬意をどう保つかが、今後も議論されるテーマになりそうです。
日本の読者にとっての示唆
日本でも、寺院や博物館でのプロジェクションマッピングやデジタルアーカイブなど、文化財のデジタル化が進んでいます。北京で行われた「Super Dunfun」は、そうした流れと共通する部分を持ちながら、敦煌という中国を代表する文化遺産を全面に据えた点で、ひとつの参考事例になるでしょう。
文化遺産をいかに次の世代と共有し、世界の人々と分かち合うのか。デジタルとリアル、楽しさと学び、そのバランスをどう取るのか。北京での「Super Dunfun」が投げかけた問いは、日本や他の国・地域の文化政策やミュージアムづくりにも通じるテーマと言えます。
国際ニュースを日本語で追う読者として、こうした動きを自分の身近な文化体験と重ね合わせて眺めてみると、次の休日前後の過ごし方や、誰かと語り合いたいトピックが少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








