中国・広東省で新原子炉建設開始 脱炭素とエネルギー安全保障はどう変わる?
中国南部・広東省陸豊市で、新たな原子力発電プロジェクトの一環となる原子炉の建設が月曜日に始まりました。中国広核集団(CGN)が明らかにしたもので、国際ニュースとして、エネルギー安全保障と脱炭素を同時に狙う動きとして注目されています。
南中国・広東省で新原子炉の建設がスタート
今回着工したのは、広東省陸豊市で進められている原子力発電プロジェクトの「1号機」です。このプロジェクトは最終的に原子炉6基の建設を構想しており、その一部がすでに動き出しています。
- 1号機:今回新たに建設開始
- 5号機:2022年に建設開始
- 6号機:2023年に建設開始
5号機と6号機には、中国で設計された第三世代原子炉技術「華龍一号(フアロン・ワン)」が採用されています。
採用されるのは第三世代の「CAP1000」設計
新たに建設される1号機には、「CAP1000」と呼ばれる第三世代の加圧水型原子炉設計が採用されます。第三世代原子炉とは、安全性や効率性を高めた新しいタイプの原子炉の総称です。
建設にあたっては、次のような最新の建設技術が導入されるとされています。
- あらかじめ工場で部品を組み立ててから現地で組み上げる「モジュラー建設」
- 設計から施工までをデジタルで一元管理する「デジタル建設技術」
- 品質を安定させるための「自動溶接」技術
これらにより、安全性の向上と建設コストの抑制、工期の短縮など、経済性の改善が期待されています。
6基フル稼働で年間520億kWh 脱炭素への効果は
この陸豊プロジェクトでは、すべての原子炉6基が稼働した場合、年間約520億キロワット時(kWh)の電力を生み出すと見込まれています。これは、中国広核集団の試算によると、次のような効果に相当します。
- 標準炭換算で年間約1577万トンの石炭使用量を削減
- 二酸化炭素(CO2)排出量を年間約4269万トン削減
石炭火力発電からの置き換えを進めることで、電力の安定供給とともに、温室効果ガス排出の削減にも貢献する狙いがあります。気候変動対策とエネルギー需要の増大をどう両立させるかという課題に対し、原子力発電を一つの選択肢として位置づける動きの一例といえます。
中国のエネルギー戦略の中での位置づけ
エネルギー需要が大きい中国南部の広東省では、産業活動と都市化が進むなかで、安定した電力供給の確保が重要なテーマとなっています。今回のような大規模原子力プロジェクトは、次のような狙いを持つ取り組みとして位置づけられます。
- 電力の安定供給と停電リスクの低減
- 石炭依存度の段階的な引き下げ
- 気候変動対策としての温室効果ガス削減
再生可能エネルギーの拡大と並行して、原子力をどの程度活用するかは、各国・各地域で議論の分かれるポイントです。中国南部での今回のプロジェクトは、その一つのモデルケースとして注目されます。
日本や世界にとっての示唆
原子力発電をめぐっては、安全性への懸念や廃棄物処理の課題がある一方、脱炭素と電力の安定供給を両立しやすい電源として評価する声もあります。日本を含む多くの国や地域が、エネルギーミックス(電源構成)の見直しを進める中で、中国南部で進むこうしたプロジェクトは、いくつかの示唆を与えています。
- 最新技術を活用した原子炉建設と運用のあり方
- 原子力・再生可能エネルギー・火力発電のバランスの取り方
- 地域の電力需要に応じた分散型・集中型電源の組み合わせ
エネルギー安全保障、経済性、環境負荷の三つをどう両立させるかは、日本の読者にとっても無関係ではありません。今回の中国南部の原子力発電プロジェクトをきっかけに、自国や地域のエネルギー政策について考えてみることも、これからのニュースとの付き合い方の一つといえそうです。
Reference(s):
South China kicks off construction of new nuclear power reactor
cgtn.com








