ブラジル、BRICS議長国として初のシェルパ会合開催 多極化とグローバルサウスが焦点
ブラジルがBRICS議長国として初のシェルパ(首席交渉官)会合を首都ブラジリアで開きました。多極化が進む国際秩序のなかで、グローバルサウスの声をどう国際ルールに反映させるかが、2日間の議論の中心となっています。
ブラジルで始まったBRICSシェルパ会合
会合はブラジリアの外務省本庁舎(イタマラチ宮殿)で開かれ、火曜日にブラジルのマウロ・ビエイラ外相が開会を宣言しました。現在、ブラジルはBRICSの持ち回り議長国を務めており、今回がその下で初めてのシェルパ会合となります。
2日間の日程で、より公正で多極的な世界秩序の構築をテーマに議論が行われます。2日目の水曜日には、ブラジルのルラ大統領が参加する特別セッションも予定されており、その後に議論の要約が公表される見通しです。
多国間主義の危機に「より強い多国間主義」で応える
ビエイラ外相は冒頭の演説で、現在の多国間主義が危機に直面していると指摘しました。そのうえで、この危機への答えは、後退ではなく「より強く、あらゆる分野でより包摂的な多国間主義」であると強調しました。
外相が示した問題意識は、次のように整理できます。
- 国際秩序は深い変化の途上にあり、既存の国際機関は適応に苦慮している
- 同時に、新興国はグローバルな意思決定への参加拡大を求めている
- 公正で包摂的、代表性の高い世界秩序の構築が急務となっている
ビエイラ外相は、こうした状況のなかでBRICSは「より公正で、包摂的で、持続可能な世界秩序」を推進するうえで重要な役割を果たすと位置づけました。多極的な世界は単なる新興の現実ではなく、共通の目標だとしています。
また、再均衡された国際システムは、公平性と代表性というより強固な土台に支えられるべきであり、その基盤はBRICSの声抜きには成り立たないと述べました。BRICSはグローバルサウスの願いを体現しており、未来を形づくる役割はかつてなく重要になっている、というメッセージです。
拡大したBRICSと「グローバルサウス」の存在感
今回のシェルパ会合は、BRICSの枠組みが拡大してから初めての開催です。これまでのブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカに加え、昨年にはサウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、エチオピア、イラン、インドネシアが正式メンバーとして参加しました。
さらに、ベラルーシ、ボリビア、カザフスタン、キューバ、マレーシア、ナイジェリア、タイ、ウガンダ、ウズベキスタンなどが「パートナー国」として関与しており、グローバルサウスを中心とする広いネットワークが形成されています。
ビエイラ外相は、今回の議論は21世紀の現実を反映する形でグローバルガバナンス(世界の意思決定・ルールづくりの枠組み)を再定義し、途上国や新興国を単なる傍観者ではなく「主役」として位置づけることを目指すと説明しました。
保健からAIまで、ブラジル議長国の優先6分野
ブラジルは議長国として、グローバルサウスとの協力と社会・経済・環境の三つの開発アジェンダを優先するとしています。特に次の6分野が重点テーマとして掲げられました。
- 保健
- 貿易
- 気候変動
- 人工知能(AI)
- 多国間安全保障体制の改革
- BRICS自体の制度強化
これらの分野は、パンデミック後の世界やデジタル技術の急速な進展、気候危機の深刻化といった、2020年代の国際社会が直面する課題と直結しています。シェルパ会合では、首脳レベルの議論に先立ち、各国がどこまで共通の方向性を描けるかが問われます。
保護主義と「代替的金融メカニズム」
経済面では、台頭する保護主義が格差の拡大を深めるおそれがあるとビエイラ外相は警鐘を鳴らしました。各国が自国優先の貿易政策を強めれば、世界経済の分断が進み、新興国や開発途上国が不利な立場に追い込まれる可能性があるためです。
そのうえで外相は、BRICSは開かれた、公平でバランスの取れた多国間貿易体制を擁護すべきだと主張しました。グローバルサウスのニーズに応えつつ、本当の意味で多極的な経済秩序を築くことが求められているという位置づけです。
また、ビエイラ外相は「代替的」な金融メカニズムの重要性にも言及しました。BRICS新開発銀行は、新興国のインフラ整備や持続可能なプロジェクトを支えるうえで極めて重要な役割を担っており、今後も活用を進めるべきだとしています。
21世紀のガバナンスをどこまで変えられるか
今回のシェルパ会合は、21世紀の現実を反映した国際秩序やグローバルガバナンスの新しいかたちを探る試みでもあります。誰がルールづくりのテーブルにつき、どのような価値観と利害を反映させるのかという根本的な問いが、BRICSという枠組みを通じて改めて問われています。
2日目に予定されるルラ大統領出席の特別セッションと、その後に公表される議論の要約は、今後のBRICSの進路だけでなく、多極化が進む世界秩序の行方を占ううえで注目すべきポイントとなりそうです。日本を含む各国にとっても、国際ルールづくりの重心がどこに移りつつあるのかを見極める重要な手がかりとなるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








