北京の広場ダンス騒音を指向性音響で解決 住民とダンサーの共存モデル video poster
北京・ジンロンジエの公共広場では、夜になるとダンス愛好家たちが集まり、にぎやかな音楽が流れます。一方で、その大音量が近くのマンションの住民にとっては長年の悩みの種になっていました。こうした対立を和らげるために導入されたのが、音を狙った方向だけに届ける指向性音響技術です。
夜の広場をめぐる、ダンサーと住民のギャップ
北京のジンロンジエでは、日中はビジネス街として機能する一方、夜になると広場がダンスグループの社交の場へと姿を変えます。複数のグループが同時にダンスを楽しむことで、広場全体は活気に満ちた空間になりますが、その音楽は住宅街にも届き、静かな夜を望む住民との間に緊張が生まれていました。
ダンサーにとっては、リズムの効いた音楽と広いスペースは欠かせません。しかし、仕事や学校を終えて休みたい人にとっては、夜の大音量は負担になります。この「楽しみ」と「休息」のギャップこそが、都市部で繰り返し起こる騒音問題の典型例といえます。
音だけを狙い撃ちする指向性音響とは
こうした状況を踏まえ、現場で活用されたのが指向性音響技術です。これは、音の波を特定の方向に集中させることで、あるエリアでははっきり聞こえる一方、少し離れた場所では音が弱く感じられるようにする仕組みです。イメージとしては、光を一点に集めるスポットライトの「音版」といえる存在です。
- ダンスエリアでは、これまで通りの迫力ある音楽を楽しめる
- 広場の外側や周辺の住宅では、音量が大きく感じにくくなる
- スピーカーの向きや設置場所を工夫することで、音の届く範囲を調整できる
結果として、ダンサーは音楽の臨場感を失わずに活動を続けられ、住民は過度な騒音から解放されるという、双方にとって現実的な解決策が実現しました。
対立から共存へ:北京・ジンロンジエの試み
ジンロンジエの広場では、ダンスグループと近隣住民の間で不満やストレスが蓄積し、「誰かが我慢するしかない」状況になりつつありました。そこで指向性音響という技術的な工夫が加わったことで、音楽を止めることなく問題を和らげる道が開かれました。
今では、広場の限られたエリアに音が集中的に届くため、ダンサーはこれまで通りダンスを楽しみながら、周辺の住民は比較的静かな環境で生活できるようになっています。長く続いた騒音トラブルに、現実的で穏やかな落としどころが見つかった形です。
都市の騒音問題に示すヒント
大都市の公共空間では、音楽イベントやダンス、ストリートパフォーマンスなど「にぎわい」を生む活動と、静けさを求める生活とのあいだで、しばしばバランスが問われます。北京・ジンロンジエの事例は、その課題への一つの答えを提示しています。
- 活動を一方的に禁止するのではなく、技術によって折り合いを探ること
- 市民の楽しみや文化活動を守りつつ、周辺住民の生活の質も大切にすること
- 空間の使い方や音の出し方を、「ルール」だけでなく「デザイン」で工夫すること
北京・ジンロンジエでの取り組みは、音を完全になくすのではなく、必要な場所にだけ届けるという発想で、対立を和らげた例といえます。日本を含む各地の都市にとっても、今後の騒音対策や公共空間の使い方を考えるうえで、参考になるヒントを与えてくれそうです。
Reference(s):
cgtn.com








