中国の大型水陸両用機AG600、全飛行試験を完了 防災へ一歩前進
中国が独自開発した大型水陸両用機「AG600」が、金曜日にすべての飛行試験科目を完了しました。航空機の安全性などを確認する耐空証明の取得に向けた重要な一歩であり、中国の防災・救難体制や航空産業にとって大きな節目となります。
AG600とはどんな航空機か
AG600は、中国が開発を進める大型の水陸両用機で、水上と陸上の両方で離着陸できるのが特徴です。機体上部は通常の航空機のような形状、下部は船の船底のような形状を組み合わせた独自の構造を採用しています。
この航空機ファミリーは、次のような任務を想定して設計されています。
- 大規模な森林火災などに対応する消火活動
- 海難事故などの海上捜索・救難
- あらゆる地形での緊急救助
- 海洋環境の監視や資源探査
- 旅客・貨物輸送など、多用途運用
開発主体である中国航空工業集団(AVIC)は、AG600シリーズを「同国の緊急救助と自然災害予防能力を高めるための重要な先進装備」と位置づけています。
すべての飛行試験科目を完了
AVICによると、AG600は金曜日、陝西省蒲城県にある民間航空機の飛行試験センターで、可燃性液体の投下に関する適合性試験を実施し、飛行試験科目の最後の項目を完了しました。
過去2年間で、AG600は合計2,014回の飛行と3,560時間に及ぶ飛行試験を実施してきました。試験のために中国各地の試験拠点を移動し、特定の試験に必要な気象条件を確保しながらデータを蓄積してきたとされています。
飛行試験は、次のような多様な条件で行われました。
- 湖沼や海などの水面離着陸
- 極寒環境
- 高温多湿環境
- 横風を伴う状況
- 典型的な消火任務のシナリオ
こうした多様な環境での試験を通じて、AG600の運用能力が検証されたとしています。
安全性と消火能力の評価
これまでの認証飛行試験の結果、AG600の機体プラットフォーム性能が確認されました。開発側によれば、操縦性や安定性の特性は設計要件を満たし、失速(十分な揚力を保てなくなる状態)特性は当初想定を上回る水準だったとされます。また、機体各システムは信頼性を保って作動したと報告されています。
森林火災対応などで重要となる「一度に大量の水を投下する能力」についても、試験を通じて機能と効率が十分に検証されたとされています。AG600は、平野部だけでなく、丘陵地帯や高原地帯など、さまざまな地形での消火任務に対応できるとされています。
2017年から続く開発のマイルストーン
AG600の技術実証機は、2017年に初飛行に成功しました。その後、2018年には貯水池からの初離水(初めての水上離陸)を達成し、2020年には海上での初飛行も実現しています。今回、すべての飛行試験科目を終えたことで、開発は新たな段階に入ったと言えます。
中国の航空産業・防災体制への意味
AVICは、AG600の開発が大型特殊用途民間機の設計・製造能力を高めるとともに、中国の航空緊急救助装備システムの「飛躍的な発展」を促すとしています。水陸両用機の開発には、機体構造、エンジン、航法システム、防食技術など、多くの要素技術が関わるため、そのノウハウは今後の航空機開発全体にも波及するとみられます。
一方で、AG600は緊急救助・防災を主目的とした民間用途の機体として位置づけられており、森林火災や洪水、海難事故など、自然災害への備えという文脈でも注目されています。
アジアの防災と海上安全の文脈でどう見るか
自然災害への備えが各国・各地域で重視される中、迅速に大量の水を投下できる水陸両用機の役割に注目が集まっています。今回のAG600の進展は、中国国内の防災体制強化にとどまらず、将来的な国際協力や周辺海域の安全確保といった広い文脈でも位置づけられる可能性があります。
今後、AG600が耐空証明の取得や量産段階へどのように進んでいくのか、また実際の災害現場でどのように運用されていくのかは、アジアの防災や海上安全に関心を持つ読者にとって注視すべきポイントと言えるでしょう。
Reference(s):
China's AG600 amphibious aircraft completes all flight tests
cgtn.com








