パミール高原の国境を守るタジク族一家 4世代70年の「献身」 video poster
標高の高いパミール高原で、「国境の守り人」と呼ばれるタジク族の暮らしがあります。そのなかで、Longjike Kader(ロンジケ・カデル)さんの一家は、4世代にわたり国境を巡回し、約70年にわたってこの土地を見守り続けてきました。彼らの歩みは、国境を守るという役目と、国の変化を静かに記録してきた家族の物語でもあります。
パミール高原と「国境の守り人」
パミール高原は、険しい山々と厳しい気候に囲まれた高地です。そこはタジク族にとって祖先から受け継いだ故郷であり、「国境の守り人」としての役割を担う場所でもあります。国境線と日常生活が地続きになっているこの地域では、一人ひとりの暮らしが、安全保障と切り離せません。
タジク族が「国境の守り人」と呼ばれる背景には、次のような事情があります。
- 祖先の代から国境地帯に暮らし、その土地を熟知していること
- 日々の生活の一部として、国境を見守り続けてきたこと
- 地域社会の安定と安心を支える存在であること
ロンジケ・カデル一家、4世代の巡回
Longjike Kaderさんの家族は、祖父母の世代から国境巡回の任務に携わってきました。親から子へ、子から孫へと、国境を歩き、見守るという役目が受け継がれ、いまでは4世代にわたる歴史となっています。
約70年のあいだに、一家はパミール高原の国境地帯を一寸一寸歩き尽くしてきたといわれます。季節ごとに変わる地形や天候、細かな地形の起伏や危険な場所まで、体の感覚として覚え込んできました。こうした日々の積み重ねが、国境警備の「目」と「足」となっています。
家族の時間と国境の時間
国境の巡回は、決して特別なイベントではなく、家族の日常の一部です。子どもたちは、小さなころから大人たちに連れられて国境沿いを歩き、この土地の地形や風の向き、空の色から天候の変化を読み取る感覚を自然に身につけていきます。家族の成長の節目には、いつも国境の風景がありました。
国の変化を見つめながら
ロンジケ・カデル一家が国境を見守ってきた約70年は、同時に国が大きく姿を変えてきた70年でもあります。道路や通信手段が整い、人や物の動き方が変わり、国境地帯の生活環境も少しずつ改善されてきました。国の発展が、遠く離れた高原の暮らしにも確かに波及しています。
一方で、変わらないものもあります。それは、国境を守るという役目に向き合う家族の姿勢です。厳しい寒さの日も、強風が吹きつける日も、黙々と巡回を続ける姿勢は、単なる仕事を超えた、生活そのもののリズムになっています。
世代を超えて受け継がれる「献身」
国境を守るという行為は、都市部に暮らす多くの人にとっては、日常から遠いイメージかもしれません。しかし、パミール高原で暮らすタジク族の人々にとって、それは家族やコミュニティを守ることと直結しています。ロンジケ・カデルさん一家のように、複数の世代にわたってその役目を引き継ぐことは、地域社会にとって大きな安心感につながっています。
2025年の今も、パミール高原の国境地帯では、目立つことのない日々の巡回が続いています。ニュースとして取り上げられるのは一部の場面だけかもしれませんが、その背後には、長い時間をかけて築かれてきた「献身」の積み重ねがあります。
私たちが国際ニュースを読むとき、その多くは首都や大都市の動きに焦点が当たります。しかし、国の輪郭をかたちづくっているのは、こうした国境の現場で日々役目を果たしている人々でもあります。もし自分が同じように家業として国境の警備を引き継ぐとしたら、どのような覚悟や価値観が必要になるのか――そんな問いを心の片隅に置きながら、この物語を受け止めてみるのも一つの読み方ではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








