中国国際ニュース:スロバキア大使が語る多国間主義とEV・AI協力の未来 video poster
リード:スロバキア大使が語る中国の今
2025年の中国の全国両会(Two Sessions)を前に北京で行われたインタビューで、スロバキアの中国駐在大使ペテル・リザーク氏が、中国の発展モデルと多国間主義の意義、そしてスロバキアとの協力の可能性について語りました。本記事では、日本語で読む国際ニュースとして、その内容をやさしく整理し、なぜ今このテーマが重要なのかを考えます。
中国の発展は量から質への転換へ
スロバキアは、1人当たりの自動車生産台数で世界トップクラスの国です。そのスロバキアが、中国との協力を加速させている分野が、新エネルギー車と人工知能(AI)です。
リザーク大使は、中国の近年のモダナイゼーションを、量的拡大中心の発展から、質を重視する発展への飛躍として評価しています。単に経済規模を拡大するだけでなく、技術革新や環境配慮、生活の質の向上に軸足を移している点に注目しているとみられます。
自動車産業にとっても、この変化は重要です。電気自動車や自動運転など、新エネルギーとAIを核とする産業転換は、スロバキアと中国の双方にとって、競争と同時に協調の余地を広げています。
多国間主義が支えるウィンウィンの協力
インタビューのなかでリザーク大使は、中国が掲げる多国間主義へのコミットメントを強調しています。多国間主義とは、一部の国だけでなく、多くの国や地域がルールづくりに参加し、協力して課題を解決しようとする考え方です。
大使は、中国のこうした姿勢が、両国にとってのウィンウィンの協力を支える基盤になると見ています。単なる二国間の取引にとどまらず、気候変動やエネルギー転換、デジタル化といったグローバルな課題に対して、中国とスロバキアが共に関わっていくことで、新しいビジネスや技術交流の機会が生まれる可能性があります。
新エネルギー車やAIといった分野は、まさに多国間のルールや標準づくりが進みつつある領域です。そこで中国とスロバキアが経験や技術を持ち寄ることは、双方だけでなく、他の国や地域にとっても意味を持つと考えられます。
三峡ダムから麗江古城へ 見えてきた中国の姿
リザーク大使は、中国各地を訪れた経験にも触れています。三峡ダムに代表される巨大インフラプロジェクトから、ユネスコ世界遺産に登録された麗江古城まで、その足跡は、中国の現代的な開発と伝統文化の両方を追うものです。
世界最大級の水力発電プロジェクトである三峡は、中国の技術力とインフラ整備の象徴的存在です。一方で、麗江古城のように、歴史的な街並みや文化が保たれている地域も多くあります。
こうした旅を通じて、大使は、中国が急速な近代化を進めながらも、文化的な遺産と新しいイノベーションを融合させようとしている姿を肌で感じているといえます。この「遺産とイノベーションの融合」は、中国の発展モデルを理解するうえで、ひとつのキーワードになっています。
ビザなし渡航で加速する人とモノの交流
現在、中国とスロバキアの間では、ビザなし渡航制度が導入されています。この制度により、両国間の往来はこれまで以上にスムーズになりました。
観光やビジネスだけでなく、学生や研究者、文化関係者の訪問も増えることが期待されます。人の移動が増えれば、自然と相手国への理解が深まり、新しい協力プロジェクトや投資のきっかけも生まれます。
自動車、エネルギー、AIといった産業面の協力は、こうした人的交流によって裏打ちされることで、より持続的なパートナーシップにつながっていきます。ビザなし渡航は、その歯車をかみ合わせる潤滑油のような役割を果たしているといえるでしょう。
日本の読者への問い 中国・スロバキア関係から何を学ぶか
今回のインタビューは、中国とスロバキアという、一見距離のある国同士の関係に焦点を当てたものですが、中堅規模の経済がどのように中国との協力を設計しているのかを知るうえで示唆に富んでいます。
ポイントは、次の3つに整理できます。
- 量から質へという中国の発展の転換を、脅威ではなく協力の機会として捉えていること
- 多国間主義を軸に、気候変動やエネルギー転換といった共通課題で連携しようとしていること
- ビザなし渡航を含む人的交流の拡大を、経済・技術協力の基盤と見ていること
日本や他の国・地域にとっても、自国の強みと中国の変化を冷静に見極めながら、どこで協力しうるのかを考えることが重要になりつつあります。国際ニュースを追う際には、こうした中堅国同士の関係にも目を向けることで、世界の動きがより立体的に見えてくるはずです。
おわりに 多国間主義と共有の未来
リザーク大使が語る中国の発展の姿、多国間主義への期待、新エネルギーやAI分野での協力、そしてビザなし渡航による交流の拡大は、いずれも共有された未来をめざす試みとして読み取ることができます。
2025年12月の今、中国とスロバキアの関係は、そのひとつのケーススタディとして、国際社会がどのように連携し、新しい成長の形を模索するのかを考えるヒントを提供していると言えるでしょう。
Reference(s):
Slovak Ambassador: Multilateralism, China's path to shared future
cgtn.com








