なぜ肥満が世界で増えているのか 中国と最新データから考える
世界的に肥満が増え続けるなか、なぜ多くの人が「肥満の問題」に直面するようになっているのか。2025年の世界肥満デーの議論や、中国を含む最新データから読み解きます。
世界で広がる肥満危機
肥満は21世紀の最も深刻な公衆衛生課題のひとつになっています。2022年の世界保健機関(WHO)のデータによると、世界で10億人以上、およそ8人に1人が肥満とされています。この数は今後も増え続け、2035年には19億人に達すると予測されています。
肥満は、2型糖尿病、心血管疾患、特定のがんなど、多くの非感染性疾患(生活習慣病)の主要なリスク要因です。世界肥満連合は、肥満に関連する病気が2035年には世界経済に年間4兆ドル規模の損失をもたらす可能性があると警告しています。
中国で進む対策と医療現場への圧力
中国でも肥満は大きな課題になっています。2020年のデータでは、成人の5割超が過体重あるいは肥満とされ、その数は約6億人に上ります。人数ベースでは世界最大規模です。
こうした状況を受け、中国では肥満の診断と治療に関する全国的なガイドラインが整備され、公衆への啓発も強化されています。首都医科大学・北京友誼医院で代謝・減量外科を統括するZhang Peng医師は、「これらの人々が皆、医療機関で治療を求めるようになれば、医療システムにとって非常に大きな負担となる」と指摘します。
さらにZhang医師によると、2030年までに中国の医療費の22パーセントが肥満関連の支出になると見込まれています。肥満は個々人の健康問題にとどまらず、医療財政と社会保障全体に影響する構造的な課題になりつつあります。
BMIとは何か――中国の基準
肥満かどうかを評価する指標として、体格指数(BMI)が広く用いられています。BMIは、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割って算出します。
中国ではBMIの値に応じて、次のように判定されています。
- 24.0~27.9:過体重
- 28.0以上:肥満
同じ身長でも体重が少しずつ増えるだけでBMIは着実に高くなります。人口の半数以上がこの基準で過体重・肥満に分類されるという事実は、問題の広がりを端的に示しています。
なぜ「いま」肥満がこれほど大きな問題なのか
では、なぜ世界各地でこれほど多くの人が肥満の問題に直面しているのでしょうか。背景には、次のような点があります。
- 患者数が急速に増えているから:すでに世界で10億人以上が肥満とされ、2035年には19億人に達すると予測されています。単純に、影響を受ける人がかつてない規模に達しているのです。
- 重い病気のリスクを高めるから:肥満は2型糖尿病や心血管疾患、特定のがんなどのリスクを押し上げ、寿命や生活の質に直結します。
- 医療と経済への負担が急増しているから:世界全体では、肥満関連の病気による経済損失が2035年に年間4兆ドル規模に達するとの見方があります。中国でも、医療費の22パーセントが肥満関連になるとの推計が示されており、医療システムの持続可能性に影響しかねません。
つまり、肥満は「体重の問題」というより、健康、医療、経済を巻き込む社会全体の問題として顕在化しているのです。
個人の努力だけではなく「システムの変化」を
2025年の世界肥満デーでは、肥満危機に立ち向かうには社会全体の仕組みを変える「システムレベルの対応」が必要だという点が強調されています。中国での全国ガイドライン整備や啓発の強化は、その一例といえます。
肥満をめぐる議論は、しばしば個人の生活習慣や意思の問題に矮小化されがちです。しかし、実際には、多くの人が同時に肥満の問題に直面しているという事実そのものが、環境や制度が人びとの健康に大きな影響を与えていることを示しています。
今後、各国や地域でどのような対策が進むのか。肥満を取り巻くデータと政策の動きを追うことは、私たち自身の健康と社会のあり方を考える手がかりにもなります。
Reference(s):
cgtn.com








