成都発:「哪吒2」とパンダと火鍋がつなぐイノベーション都市
ここ数週間、アニメ映画「哪吒2」が世界興行収入で歴代トップクラスの記録を打ち立て、アニメとして世界最高の興行収入を達成しました。世界全体の興行収入ランキングでもトップ10入りを果たしたこの作品の成功の背景には、中国南西部・四川省の省都、成都の存在があります。パンダと火鍋で知られるこの街は、いまやグローバルヒットを生み出す「イノベーション都市」としても注目を集めています。
世界を席巻するアニメ映画「哪吒2」と成都
国際ニュースとしても話題になっている「哪吒2」は、世界の観客を魅了しつつ、アニメ映画の興行収入記録を塗り替えています。2025年12月時点で、世界の歴代興行収入ランキングの上位10作品に入る規模となり、「アニメ映画」という枠を超えた存在感を持つ作品になりました。
この世界的な成功には、成都のクリエイティブな土壌が深く関わっているとされています。作品の制作や企画の重要な拠点の一つとして、成都に集まるアニメーターやデザイナー、エンジニアなど、多様なデジタル人材が力を発揮しました。伝統とデジタル技術を組み合わせる試みを続けてきた都市の積み重ねが、「哪吒2」という形で世界に届いたとも言えます。
パンダと火鍋だけじゃない、成都の新しい顔
日本で「成都」と聞くと、多くの人が思い浮かべるのは次のようなイメージかもしれません。
- ジャイアントパンダの飼育・研究拠点がある街
- しびれる辛さが特徴の四川料理、とくに火鍋の本場
- 内陸にありながら、のんびりした生活リズムを持つ都市
こうしたイメージは今も健在ですが、2025年の現在、成都はそれに加えて「アニメ」「ゲーム」「デジタルコンテンツ」の街として、新しい顔を見せています。カフェやコワーキングスペースには若いクリエイターが集まり、スマートフォン向けのコンテンツや映像制作、キャラクタービジネスに取り組む姿が日常の風景になりつつあります。
パンダや火鍋といった分かりやすい観光資源に、「哪吒2」のような世界で通用するアニメ作品が加わることで、成都の都市ブランドはさらに多層的になりました。観光やグルメを楽しみに訪れた人が、現地のコンテンツ産業に興味を持つ、という動線も生まれつつあります。
なぜ成都からヒットコンテンツが生まれるのか
では、なぜ成都のような内陸の都市から、世界的なアニメ映画の成功が生まれてきたのでしょうか。国際ニュースとしての注目点は、次のようなポイントに整理できます。
1. 若いデジタル人材が集まる街
成都は大学や研究機関が集積し、若い人材が多い都市です。ITやデジタルデザイン、映像技術を学んだ人材が、地元に残って起業したり、コンテンツ制作会社で働いたりする流れが生まれています。
家賃や生活費が相対的に抑えられることもあり、クリエイターにとって「挑戦しやすい環境」が整っていることも特徴です。大都市のプレッシャーから少し距離を置きながら、クオリティの高い作品を作り込める環境は、長期的な制作が必要なアニメ映画にとって重要な要素です。
2. ローカル文化を物語に変える力
成都がある四川省は、独自の方言や食文化、歴史的な物語が豊富な地域です。こうしたローカル文化は、物語づくりやキャラクターづくりにとって大きな資源になります。
伝統的な物語や価値観を、現代的なビジュアルやストーリーテリングで再解釈する動きは、国内だけでなく海外の観客にも届きやすい表現へとつながります。「哪吒2」の成功も、ローカルな要素と普遍的なテーマをうまく結びつけた結果と見ることができます。
3. テックとカルチャーの「かけ算」
成都では、テクノロジーとカルチャーを組み合わせる動きが広がっています。アニメやゲームの制作現場では、最新のコンピューターグラフィックスやデジタル編集技術が活用され、制作プロセスの効率化と表現力の向上が同時に進んでいます。
こうした動きは、単に「技術が進んでいる」という話ではありません。技術を使って何を表現するのか、どのような物語を世界に届けるのかという視点がセットになっている点に、成都の強みがあります。
2025年の視点:成都は世界のコンテンツ地図をどう変えるか
2025年現在、国際ニュースの世界では、コンテンツ産業の主役はもはや限られた都市だけではない、という見方が広がっています。かつてはハリウッドや一部の欧米都市が中心だった「世界のヒットコンテンツ」が、アジア各地の都市から次々と生まれているからです。
その中で、成都は次のような意味を持つ都市になりつつあります。
- 観光・グルメ・ライフスタイルと、デジタルコンテンツ産業が共存する都市モデル
- 地域の文化資源を、世界に届く物語へと変換する「コンテンツ工場」
- 若いクリエイターが挑戦しやすい、アジアの新しい拠点の一つ
「哪吒2」の成功は、その象徴的な出来事だと言えるでしょう。一つの映画の記録更新というニュースにとどまらず、「どの都市から、どのような物語が世界に向かって発信されるのか」という、より長期的な問いを私たちに投げかけています。
日本の読者へのヒント:次の対話の相手としての成都
日本から見れば、成都はこれまで観光地としての印象が強かった都市かもしれません。しかし、2025年のいま、成都はクリエイティブ産業やテック分野でも重要な存在になりつつあります。
日本のコンテンツ産業やクリエイターにとっては、次のような視点がヒントになるかもしれません。
- アジア発の物語が、どのようにして世界規模のヒットになっていくのかを学ぶ
- ローカル文化とデジタル技術を組み合わせる方法を、成都の事例から考える
- 観光や食文化だけでなく、都市の「創造力」に注目して交流を深める
パンダ、火鍋、そして世界を驚かせたアニメ映画「哪吒2」。この三つを結びつけているのが、成都という都市の持つ柔らかなエネルギーと、イノベーションを受け止める懐の深さです。
今後、国際ニュースを追うとき、「成都」という地名がどのような文脈で登場するのかを意識してみると、世界のコンテンツ地図の変化が、より立体的に見えてくるかもしれません。
Reference(s):
Chengdu: Where pandas, hot pot and animations meet innovation
cgtn.com







