中国のデータプライバシーとAI統治を説明 全人代報道官が発言
中国の全国人民代表大会(全人代)の記者会見で、報道官がデータプライバシー保護と人工知能(AI)ガバナンスの考え方を説明し、人気AIスタートアップ「DeepSeek」への評価や国際協調の姿勢を示しました。
全人代報道官「法に基づきデータを保護」
第14期全国人民代表大会第3回会議の記者会見で、報道官の婁勤倹(Lou Qinjian)氏は、中国は法に基づいてデータプライバシーとデータの安全を確保していると強調しました。
婁氏は、国家安全保障の概念を必要以上に広げたり、経済やテクノロジーの問題を政治化したりすることに反対する立場も示しました。データと安全保障の重要性を認めつつも、その名の下に経済・技術分野が過度に制約されるべきではない、というメッセージだと受け止められます。
国家安全保障の「過度な拡大」に反対
婁氏の発言は、デジタル経済やハイテク分野が国家安全保障と結びつけられがちな流れに対し、一定の距離を置く姿勢を示したものでもあります。国家としてデータを守りつつ、国際的な経済・技術協力を維持したいというバランスを意識した内容と言えます。
人気AIスタートアップ「DeepSeek」への質問
今回の記者会見では、杭州を拠点とするAIスタートアップ「DeepSeek」の人気と、人工知能の利用をめぐる懸念についても質問が出されました。
これに対し婁氏は、中国は世界各国と協力しながら、人工知能の健全な発展を引き続き推進していく考えを示しました。そのうえで、AIを通じて世界経済の成長を後押しし、各国の人々の幸福の向上に貢献したいと述べました。
さらに婁氏は、DeepSeekを例に挙げながら、中国のテック企業は継続的に技術的なブレークスルーを達成していると評価しました。国内のイノベーションを後押ししつつ、AIの利用に伴う懸念にも向き合う姿勢を示した形です。
- AIの健全な発展を各国と協力して推進する
- 世界経済の成長と人々の福祉向上にAIを活用する
- DeepSeekをはじめとする中国のテック企業の技術革新を高く評価する
グローバルAIガバナンスイニシアチブで技術格差に対応
婁氏は、中国が「グローバルAIガバナンス・イニシアチブ」を提案していることにも言及しました。このイニシアチブは、技術的な隔たりを埋め、技術革新が裕福な国や一部の富裕層だけの「ゲーム」にならないようにすることを狙いとしています。
AI技術へのアクセスや活用能力には、国や地域、個人の間で差が生じやすいと言われます。2025年現在、こうした「技術格差」をどう縮めるかは国際社会共通の課題であり、中国のイニシアチブはその一つの方向性を示すものと位置づけられます。
国際ニュースとしての意味合い
今回の発言は、単に一国のデータ政策やAI戦略にとどまらず、国際ニュースとしてもいくつかの含意を持っています。
- データプライバシーと国家安全保障、経済活動のバランスをどう取るかという問い
- DeepSeekのようなAI企業の台頭が、社会や産業にもたらす機会とリスク
- AIガバナンスを各国がどう協調して設計していくのかという国際的なルールづくり
多くの国や地域でAI規制やデータ保護の議論が進む中、中国の全人代報道官のメッセージは、今後の議論の一つの基準点として注目されます。
読者が押さえておきたい3つのポイント
- 中国は、法に基づいてデータプライバシーと安全を守ると強調し、国家安全保障概念の過度な拡大や経済・技術問題の政治化には反対する姿勢を示した。
- 杭州拠点のAIスタートアップDeepSeekの人気を背景に、AIの健全な発展とリスクへの向き合い方が重要なテーマになっている。
- 中国が提案するグローバルAIガバナンスイニシアチブは、技術格差を縮小し、AIの恩恵を世界全体に広げることを目指している。
AIとデータをめぐるルールは、スマートフォンのアプリ利用からビジネスの意思決定まで、私たちの日常に直接影響します。各国の発信するメッセージを丁寧に追い、自分なりの視点を持つことが、これからの時代のリテラシーになりそうです。
Reference(s):
NPC spokesperson explains how China ensures data privacy, security
cgtn.com








