ゲーム×広東オペラ:『大唐帝国を賭けた戦い』が開いた新しい扉 video poster
中国の伝統芸能である広東オペラと3Dゲームが出会った作品『大唐帝国を賭けた戦い』。この舞台を入口に、現代の広東オペラがどのように若い観客や海外の華人コミュニティとつながっているのかを見ていきます。
ゲーム発の広東オペラが若者を劇場へ
約10年前、中国の3DゲームJX3の壮大な物語の一部が、広東オペラ『大唐帝国を賭けた戦い』として舞台化されました。それまで広東オペラにほとんど触れてこなかった若い観客が、ゲームをきっかけに劇場に足を運ぶようになったといいます。
華やかな衣装や音楽による視覚・聴覚の「ごちそう」であると同時に、この作品は、伝統的な広東オペラと現代のポップカルチャーが交差する新しい章の始まりでもありました。ゲームの世界観を取り込みながらも、舞台上では古くから受け継がれてきた歌と所作がしっかりと息づいています。
広東オペラが担う嶺南文化の記憶
広東オペラは、中国南部の嶺南地域の文化を色濃く映し出す伝統芸能です。単に歌い方や動きの型を受け継ぐだけでなく、時代ごとに新しい表現を取り入れながら進化してきました。
新しい演出や音楽、物語に挑戦するたびに、広東オペラは「古いものを守る芸能」から「今を生きる芸術」へと更新されていきます。『大唐帝国を賭けた戦い』のような作品は、その変化を象徴する存在といえます。
海外の華人にとっての「ふるさとの声」
広東オペラは、海外で暮らす華人コミュニティにとっても特別な存在です。一つひとつの旋律やせりふが、故郷の空気や家族との記憶を呼び起こし、遠く離れた土地とふるさとをつなぐ「音の架け橋」となっています。
言葉やメロディーを共有することで、世代や国境を越えて「自分たちはつながっている」という感覚を確かめる。その中心に、広東オペラが静かに息づいています。
クリエイターたちが語る広東オペラのいま
こうした広東オペラの現在地について、中国の国際メディアCGTNは、『大唐帝国を賭けた戦い』の主要なクリエイターであるPeng Qinghua氏と、彼が率いる深圳の広東オペラ劇団『Shenzhen Cantonese Opera Troupe』の俳優2人を招き、作品づくりや舞台経験を語る場を設けました。
伝統芸能の世界で新たな挑戦を続ける人たちが、自身の創作の背景や観客との向き合い方を言葉にすることで、「広東オペラはどこへ向かおうとしているのか」という問いが、より立体的に見えてきます。
デジタル時代に広東オペラを見る視点
ゲームをはじめとするデジタル文化と伝統芸能の距離は、この10年で確実に近づいています。広東オペラの舞台に3Dゲームの物語が乗ったことは、その象徴的な出来事の一つです。
日本から国際ニュースや中国文化を眺める私たちにとっても、広東オペラの動きは「伝統とポップカルチャーをどうつなぐか」という身近なテーマと重なってきます。古い・新しいという二者択一ではなく、両者を組み合わせながら文化を次世代へ手渡していく。その一つの答えが、広東オペラの舞台の上で模索されているのかもしれません。
通勤時間のスキマに動画で舞台の一場面をのぞいてみるだけでも、「遠い国の伝統芸能」が少し身近に感じられるはずです。広東オペラというレンズを通して、中国の地域文化や海外の華人コミュニティの姿を思い浮かべてみると、新しいニュースの読み方も見えてきます。
Reference(s):
cgtn.com








