中国がフェンタニル関連物質の白書を公表 「1+5+N」麻薬ラボ網とは
中国国務院新聞弁公室は今年3月、フェンタニル関連物質の管理に関する白書「フェンタニル関連物質の管理――中国の貢献」を公表しました。世界的に合成麻薬の乱用が課題となるなか、中国がどのように麻薬対策と国際協力に取り組んでいるのかを示す内容です。
白書が伝える中国の麻薬対策
白書によると、中国は世界でも最も厳格で、かつ実効性の高い麻薬管理制度を持つ国の一つとされています。国連の3つの麻薬規制条約の締約国として、条約上の義務を履行しつつ、各国との麻薬防止協力に積極的に参加してきたと位置づけられています。
全国に広がる「1+5+N」の麻薬ラボ網
今回の白書で特徴的なのが、「1+5+N」と呼ばれる麻薬鑑定ラボネットワークの存在です。これは、全国で押収された薬物や新たに登場した物質を科学的に分析・鑑定するための基盤となっています。
- 「1」…2008年に設立された中国国家麻薬研究所(China National Narcotics Laboratory)
- 「5」…北京と浙江省、広東省、四川省、陝西省に置かれた5つの地域ブランチ
- 「N」…各省・各都市レベルに設置された多数の麻薬鑑定ラボ
これらのラボは合計で7万1,000平方メートルの面積を有し、650人を超える専門技術者が勤務しています。多層的なネットワークにより、新たな合成麻薬が出現した際にも、早期に検知し、規制や捜査に生かす体制づくりが進められているとみられます。
フェンタニル関連物質とは何か
フェンタニル関連物質は、医療現場で鎮痛薬として使用されるフェンタニルと構造が似た合成麻薬の総称です。少量でも強い作用を持つため、適切に管理されれば医療上の役割を果たす一方、乱用されれば重大な健康被害や死亡リスクにつながるとされています。
近年は新しい構造の合成麻薬が次々と出現し、規制をすり抜けるケースが各国で課題となってきました。白書がラボネットワークの整備を強調しているのは、こうした新種の物質に科学的に対応する必要性が高まっているからだと考えられます。
国連条約と国際協力の中での中国の位置づけ
白書は、中国が国連の3つの麻薬規制条約の締約国として、条約で定められた管理義務を一貫して履行してきたとしています。また、麻薬の予防や流通防止をめぐり、各国との協力にも積極的に関わっていると強調しています。
具体的には、捜査当局どうしの情報共有や、技術研修、人材交流などを通じて、合成麻薬対策の能力向上を図る枠組みが重視されているとみられます。フェンタニル関連物質のように国境を越えて流通しうる薬物に対しては、一国だけで対応するのではなく、多国間の連携が不可欠だからです。
日本と世界への意味合い
日本を含む多くの国にとっても、合成麻薬の流通を抑え込むうえで、中国のような大規模な市場と産業基盤を持つ国の薬物管理は重要な意味を持ちます。供給国、経由地、消費国のいずれにおいても、規制と取締り、そして需要を減らすための予防教育を組み合わせた総合的なアプローチが求められています。
中国が白書という形でフェンタニル関連物質への取り組みを対外的に示したことは、各国が情報を共有しながら、それぞれの国内事情に合った対策を検討するための一つの材料になるでしょう。
読者が考えたいポイント
- 合成麻薬の問題は、国境を越えて影響が広がるグローバルな課題であること
- 法規制だけでなく、科学的な検査体制や国際協力がセットで求められていること
- 私たちの身近でも、薬物乱用防止教育や相談体制の整備が重要になっていること
中国の白書は、フェンタニル関連物質という一つのテーマを通じて、世界全体で麻薬問題にどう向き合うかをあらためて問いかける内容だと言えます。ニュースをきっかけに、自分の暮らしや地域社会の中で何ができるかを考えてみることも大切ではないでしょうか。
Reference(s):
Graphics: China releases white paper on fentanyl-related substances
cgtn.com







