中国が新興・未来産業への投資拡大を表明 バイオ・量子・6Gを重点支援 video poster
中国がバイオ製造や量子技術、エンボディドAI、6Gなどの新興・未来産業への資金支援を拡充すると政府活動報告で表明しました。長期的な技術・産業戦略として何をめざしているのでしょうか。
中国が未来産業への資金支援メカニズムを新設
2025年に北京で開かれた全国人民代表大会(第14期第3回会議)の開幕式で、中国の李強国務院総理が国務院を代表して政府活動報告を行い、バイオ製造や量子技術、エンボディドAI、6G技術などの新興・未来産業への支援を強化する方針を示しました。
報告によると、中国政府はこれらの分野に対し、資金投入を増やすための新たなメカニズムを設け、重点的かつ継続的に支援する考えです。国家の主要な立法機関である全国人民代表大会に提出されたこの報告は、今後数年の政策の方向性を示すものと位置づけられます。
対象となる主要分野
政府活動報告の中で、次のような分野が具体的に挙げられました。
- バイオ製造:微生物や細胞を活用した新素材、医薬品、環境関連技術などを含む産業
- 量子技術:量子コンピューター、量子通信、量子計測といった次世代の基盤技術
- エンボディドAI:ロボットなど実体を持つ機械にAIを組み込む技術で、生成AI(AIGC)と並んで注目される分野
- 6G技術:現在の5Gの次となる超高速・低遅延の次世代通信インフラ
いずれも研究開発に時間と費用がかかるうえ、実用化に向けた規制や社会受容性の議論も欠かせない分野です。政府による長期的な資金メカニズムは、そのリスクを一部肩代わりし、企業や研究機関の挑戦を後押しする狙いがあるとみられます。
なぜ今、新興・未来産業なのか
中国にとって、これらの新興・未来産業は、長期的な経済成長と産業競争力を左右する鍵と位置づけられています。今回の方針の背景には、次のような目的があると考えられます。
- 経済成長の新しい原動力を確保し、中長期の成長力を高めること
- 高度な技術分野へのシフトを進め、産業構造をアップグレードすること
- 将来の国際競争に備え、基盤技術の分野で主導的な立場をめざすこと
政府活動報告は、国家としてどの分野に資源を集中するかを示す羅針盤のような役割を持ちます。新興・未来産業への資金メカニズムの新設は、中国が長期的な視点で技術と産業の土台づくりを進めていることを象徴していると言えます。
日本と世界への含意
バイオ製造、量子技術、6Gなどは、日本を含む多くの国や地域が戦略分野と位置づける領域です。中国が公的資金を通じてこれらの分野を強く後押しすることで、国際的な研究開発競争やサプライチェーンの構図にも影響が及ぶ可能性があります。
日本の企業や研究機関にとっては、次のような視点が重要になりそうです。
- どの分野で中国との協力が現実的か、またどの分野で競争が激しくなるかを見極めること
- 標準化やルールづくりの場で、アジア発の技術や仕様がどう位置づけられるかを注視すること
- 人材や研究ネットワークを含めた国際連携のあり方を再考すること
中国の動きは、日本やアジアの技術戦略を考えるうえでも、無視できない要素になっています。
今後の注目ポイント
今後、具体的に明らかになっていくとみられるのは、次のような点です。
- 新たな資金メカニズムの制度設計や規模、対象事業の選び方
- 民間企業やスタートアップとの連携の枠組み
- バイオやAIなどに関する倫理・安全性への配慮とルールづくり
新興・未来産業への投資拡大は、中国国内の産業政策にとどまらず、アジアや世界の技術・経済の流れを読み解くうえで重要なテーマです。日本の読者にとっても、今後の国際ニュースや政策議論を追う際の一つの視点として、頭に入れておきたい動きと言えるでしょう。
Reference(s):
AIGC Posters: China to stimulate emerging, future industries
cgtn.com







