中国の財政政策が一段と積極化 2025年は赤字拡大と特別国債
中国が2025年、財政赤字と国債発行を拡大し「より積極的な財政政策」に舵を切りました。中国経済の行方だけでなく、日本を含む国際経済にも影響しうる動きです。
政府活動報告は、水曜日に中国の全国人民代表大会(全人代)に提出され、審議に付されました。報告の中身から、2025年の財政運営の方向性を整理します。
政府活動報告が示した5つの数字
今回の政府活動報告では、2025年の中国の財政政策に関する具体的な数字が示されました。主なポイントは次の通りです。
- 財政赤字の対GDP比を約4%に設定(前年より1ポイント引き上げ)
- 政府赤字は5兆6,600億元(約7,800億ドル)で、前年の予算比1兆6,000億元増
- 中央政府が発行する超長期特別国債は2025年に1兆3,000億元(前年より3,000億元増)
- 新規の政府債務発行総額は11兆8,600億元とされ、前年より2兆9,000億元増
- 地方政府の特別目的債(地方政府特別債)は4兆4,000億元で、前年から5,000億元増
より積極的な財政政策とは何を意味するか
財政赤字の対GDP比を4%前後まで引き上げることは、前年よりも財政支出を増やし、経済を下支えする姿勢を明確にしたものといえます。政府は「積極的な財政政策」を通じて、成長と雇用の安定を図ろうとしています。
こうした方針の背景には、国内外の需要環境の変化や、産業構造の転換、不動産市場の調整など、複数の課題があります。赤字拡大は、次のような目的を持つ政策パッケージの一部と見られます。
- インフラや公共サービスへの投資を通じた景気の下支え
- 技術開発や新産業への支援による構造転換の加速
- 地方財政や企業資金繰りの安定化
超長期特別国債と地方政府特別債の役割
今回の政府活動報告で目立つのが、超長期特別国債と地方政府特別債の活用です。いずれも巨額の資金を特定の目的に配分するための重要な手段となります。
超長期特別国債:1兆3,000億元を予定
超長期特別国債は、償還期間が非常に長い国債で、大型かつ長期のプロジェクトに資金を供給するために発行されます。2025年には、前年より3,000億元多い1兆3,000億元が発行される計画です。
この枠組みを通じて、インフラ整備や科学技術、エネルギー転換など、長期的な成長基盤づくりに関連する分野への投資が想定されています。
地方政府特別債:4兆4,000億元、使途を明確化
地方政府が発行する特別目的債(地方政府特別債)は、2025年に4兆4,000億元とされ、前年より5,000億元増やされます。政府活動報告では、その主な使い道として次の分野が挙げられています。
- 建設投資などのインフラプロジェクト
- 土地の取得と備蓄
- 商品住宅在庫の取得(不動産市場の調整を念頭に置いた措置)
- 地方政府が企業に対して抱える未払い金の決済
特に、地方政府による企業への支払い遅延の解消は、企業の資金繰りを安定させ、民間投資や雇用環境の改善にもつながるとみられます。
国際社会と日本が注目するポイント
中国の財政政策の変化は、中国国内だけでなく、日本や世界の経済にとっても重要なニュースです。新たな財政方針を受け、次のような点に関心が集まりそうです。
- 貿易と需要:インフラ投資や住宅関連対策が進むことで、建設機械や素材、環境関連技術などの需要が高まる可能性があります。
- 金融市場:国債発行の増加は、中国国内の金利や資金調達コスト、人民元の動向にも影響し、アジアの金融市場全体にも波及する可能性があります。
- 地方財政と不動産市場:地方政府特別債の活用や商品住宅在庫の取得は、不動産市場の安定や地方経済の運営をどう支えるのかという点で、今後の注目材料となります。
これからの注目点
2025年の終盤を迎える中で、こうした「より積極的な財政政策」がどの程度実行され、どのような効果をもたらすのかが焦点になっていきます。
- 示された財政支出が、どの分野にどのくらい配分されるのか
- 地方政府の債務管理と、経済成長のバランスがどう取られるのか
- 財政政策と金融政策の組み合わせが、実体経済にどう波及していくのか
中国の財政運営は、日本を含む周辺国の輸出や投資、金融市場にも関わるテーマです。数字の大きさだけにとらわれず、その背景と狙いを丁寧に読み解いていくことが、これからの国際ニュースを理解するうえで重要になっていきます。
Reference(s):
cgtn.com








