「澄んだ水と青い山」が生んだ農村振興 浙江省・新川村の今
2025年に開かれた第14期全国人民代表大会(NPC)第3回会議の開幕を前にした水曜日、浙江省湖州市の新川村について、NPC代表の張天任氏が「澄んだ水と青い山」が農村振興を後押ししている現状を語りました。環境を守りながら経済を成長させる中国の農村モデルとして、日本の読者にとっても示唆に富む内容です。
NPC代表が語る新川村の変化
張天任氏は、第14期全国人民代表大会(NPC)の代表として、新川村(浙江省)のこれまでの歩みを説明しました。発言は、第3回会議の開幕前に設けられた「代表通路(Deputies' Corridor)」で、メディアに向けて行われました。
張氏によると、1980年代の新川村では、村の生態環境が損なわれていました。しかし過去20年あまりの間に、村は「緑の発展」の道を選び、環境と経済を両立させる取り組みを進めてきたといいます。
かつて環境が傷んだ村が「緑の村」に
新川村が進めてきたのは、身近な生活環境の改善と、長期的な産業構造の転換です。張氏は具体的な取り組みとして、次の点を挙げました。
- ごみの分別(廃棄物の選別と適切な処理)
- 道路の硬化・舗装と、沿道の緑化
- 新エネルギー産業チェーン(新エネルギー関連産業の連なり)への統合
こうした施策によって、村の環境は徐々に回復し、住民の生活の質も改善してきました。環境への負荷を減らしながら、新しい産業の土台を整えてきたことが分かります。
レジャー農業と農村観光で広がる収入源
張氏はさらに、新川村の住民が環境を生かした新たなビジネスに挑戦していることを強調しました。村では、次のような分野への参入が奨励されています。
- レジャー農業(農作業体験や収穫体験を含む観光型農業)
- 農村観光(自然や農村の暮らしを楽しむ観光)
- ブティック民宿(個性やこだわりを打ち出した小規模宿泊施設)
環境を整えたうえで観光やサービス産業を育てることで、村の経済構造は大きく変わりつつあります。張氏によると、人口約3,000人の新川村では、すでに80社を超える企業が設立されており、1人当たりの年間収入は15万元(約2万1,000ドル)に達しています。
かつて生態環境が損なわれていた村が、今では環境保護と観光・産業を組み合わせた「稼げる村」へと変貌しつつある姿が見えてきます。
共同繁栄をめざすデモンストレーションゾーン
新川村の取り組みは、村単独にとどまりません。張氏は、新川村が「共同繁栄(コモン・プロスペリティ)」のデモンストレーションゾーンを構築したことにも言及しました。
新川村は、隣接する省の複数の村と連携し、浙江省で蓄積された農村振興の経験を共有しています。こうしたパートナーシップを通じて、周辺の村々とともに、より広い範囲での共通の発展と繁栄を目指していると説明しました。
環境保護と産業振興による「緑の発展」を、他地域と分かち合うことで、格差を縮めながら全体の底上げを図る構図です。
日本の「地方創生」への示唆
日本でも、地方の人口減少や産業の空洞化が課題となっているなか、浙江省・新川村のケースは、環境と経済を同時に高めていく一つのモデルとして読み取ることができます。
新川村モデルから見える3つのポイント
- ごみ分別や道路整備など、身近な生活環境の改善から始める
- 自然環境や農業など、地域固有の資源を生かして観光やサービス産業を育てる
- 一つの村の成功にとどめず、周辺地域と経験やノウハウを共有し、広域での発展を図る
張天任氏の説明からは、「澄んだ水と青い山」という言葉が単なるキャッチフレーズではなく、具体的な政策と住民の実践によって地域経済を支える現実の力になっている様子が伝わってきます。
環境と成長の両立をどう実現するかは、日本を含む多くの国と地域に共通する課題です。新川村の歩みは、その問いに対する一つの答えとして、今後の議論の出発点になりうるでしょう。
Reference(s):
NPC deputy: Lucid waters and lush mountains boost rural revitalization
cgtn.com








