中国、改革開放を包括的に深化 サービス貿易と一帯一路で新局面
中国が改革開放を包括的に深めています。全国レベルの立法機関に提出された政府活動報告によると、サービス貿易へのネガティブリスト全面適用や新分野での開放試行、最貧国への関税ゼロ措置、一帯一路協力の進展などが示されました。本記事では、そのポイントを日本語で分かりやすく整理し、2025年の国際ニュースとしてどこに注目すべきかを考えます。
政府活動報告が示す「包括的な改革開放」
今回の政府活動報告は、中国が改革と対外開放をあらゆる面で深めていく方針を打ち出したものです。報告は、水曜日に全国レベルの立法機関に提出され、今後の政策運営について審議が行われています。
報告によれば、中国は次のような分野で改革開放を進めているとしています。
- 越境的なサービス貿易へのネガティブリストの全面適用
- 付加価値通信サービス、バイオテクノロジー、外資による病院運営での開放試行
- 最貧国への全品目ゼロ関税の実施
- トランジット旅行者の滞在可能時間の大幅な延長
- 一帯一路の「高品質」協力による生活向上プロジェクトの進展
いずれも、モノだけでなくサービスや人の移動も含めた、より広い意味での開放を志向した内容になっていることが分かります。
サービス貿易へのネガティブリスト全面適用
政府活動報告は、中国が越境的なサービス貿易に対し、ネガティブリストを全面的に適用したと伝えています。
ネガティブリストとは、禁止・制限される分野だけをリスト化し、それ以外は原則として参入や取引を認める制度です。逆に、認められる分野を列挙する方式はポジティブリストと呼ばれます。
サービス貿易には、金融、情報通信、教育、観光、医療など、多様なサービスの国境を越えた提供が含まれます。ネガティブリストを全面適用することで、企業側からは「何ができ、何ができないのか」が明確になり、市場参入の予見可能性が高まるとみられます。
国際ニュースとして見ると、サービス分野の開放は、モノの関税引き下げよりも制度設計が難しい領域ですが、そのぶん経済構造の変化につながりやすいテーマでもあります。
通信・バイオ・病院まで開放試行
報告はまた、次の分野で対外開放の試行を始めたとしています。
- 付加価値通信サービス
- バイオテクノロジー分野
- 外資が単独で運営する病院
付加価値通信サービスとは、通信ネットワークを土台にして提供される多様なサービスを指し、メッセージングやクラウドサービス、オンラインプラットフォームなどが含まれる領域です。デジタル経済の中核に位置づけられる分野での開放試行は、国内外のIT企業やスタートアップにとって新たな機会となる可能性があります。
バイオテクノロジーや病院分野への開放試行は、医療・ヘルスケア分野での連携を視野に入れた動きです。高度な医療技術や研究開発、人材交流を伴う分野での協力は、長期的には人々の健康や生活の質にも関わるテーマといえます。
日本や海外の企業にとっての意味
具体的な制度設計や条件は今後の詰めが必要ですが、今回の方針は次のような意味合いを持ち得ます。
- デジタルサービスや医療技術など、成長分野での市場機会の拡大
- 現地規制やデータ保護など、新たなルールへの対応力がより重視されること
- 研究開発や共同プロジェクトを通じた、長期的な信頼関係構築の重要性
単なる輸出入ではなく、サービスや技術を介した協力が深まることで、企業に求められる視点も変わっていきそうです。
最貧国への全品目ゼロ関税
政府活動報告によると、中国は一方的な市場開放を進める中で、外交関係を有する全ての最貧国からの輸入品について、全ての税目で関税ゼロを実施したとしています。
最も開発が遅れている国々に対し、あらゆる品目でゼロ関税を適用することは、輸出拡大の支援や雇用創出につながる可能性があります。こうした措置は、開発協力と貿易政策を組み合わせるアプローチの一つと位置づけられます。
国際ニュースとして見ると、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国との連携を重視する流れの中で、貿易面からの支援を打ち出している点に注目が集まりそうです。
トランジット滞在を最大240時間に延長
報告はさらに、第三の国や地域へ向かう途中で中国を経由する、一定の条件を満たした旅行者について、滞在可能時間を240時間まで延長したと明らかにしています。
240時間は10日間に相当し、乗り継ぎのために短時間滞在するだけだった都市で、観光や商談、イベント参加などを行いやすくなります。出入境手続きの制度が整えば、ビジネスや観光を含む人の往来の活性化が期待されます。
航空ネットワークの要衝となる都市では、トランジット滞在の緩和が経済効果や国際的な交流の拡大につながる例もあり、中国の今回の措置も、そうした流れの一環として位置づけられます。
一帯一路協力の「高品質」化と生活向上
政府活動報告は、「高品質の一帯一路協力」が顕著な成果を上げ、多くの生活向上プロジェクトが着実に実施されていると評価しています。
一帯一路は、インフラや物流、エネルギーなどを軸に、各国や地域との連結性を高める広域協力構想です。今回の報告では、特に人々の暮らしに直結する大型プロジェクトが進んでいる点が強調されています。
生活向上プロジェクトには、交通網の整備や発電・給水インフラの改善、教育や医療に関わる設備整備など、日常生活の質を高める取り組みが含まれます。こうした分野での協力は、単なる経済指標の改善だけでなく、現地の人々が実感できる変化として現れやすいのが特徴です。
2025年の国際経済の中でどう位置づけるか
2025年現在、世界経済は地政学リスクやサプライチェーン再構築などによって不確実性が高まっています。その中で、中国が改革開放を包括的に進める方針を政府活動報告で明確にしたことは、国際貿易や投資、人の往来に少なからぬ影響を与えます。
今回の報告から読み取れるポイントを整理すると、次のようになります。
- サービス貿易の開放がデジタル経済や医療など、今後の成長分野を含む領域で進んでいること
- 最貧国へのゼロ関税など、一方的な市場開放の措置を通じて、パートナー国との関係強化を図っていること
- トランジット滞在の延長など、人の移動を促す制度面の改善にも取り組んでいること
- 一帯一路協力で、生活向上につながるプロジェクトの実施を重視していること
これらは、モノ・サービス・人の流れを一体としてとらえ、開放の範囲を広げていく方向性を示していると言えます。
これからの注目点
今後、国際ニュースとして注目したいのは、次のようなポイントです。
- ネガティブリストを含む各種ルールが、どのような運用や透明性のもとで実施されるか
- 通信やバイオ、医療といった分野での開放試行が、具体的なプロジェクトやパートナーシップとしてどう形になるか
- 最貧国へのゼロ関税や一帯一路の生活向上プロジェクトが、現地の経済や暮らしにどのような効果をもたらすか
- トランジット滞在の延長が、観光・ビジネス・人的交流の広がりにつながるか
今回の政府活動報告は、中国が改革開放の次の段階に踏み出そうとしている姿を示したものとみられます。読者のみなさんにとっても、国際経済やアジアの動きを考えるうえで、押さえておきたいトピックの一つと言えるでしょう。
newstomo.com では、こうした中国の動きや一帯一路協力の最新動向を、日本語で分かりやすくフォローしていきます。スキマ時間で読めるニュースから、じっくり考えたい解説まで、自分の視点をアップデートするヒントとして活用してみてください。
Reference(s):
cgtn.com








