中国Xiaomi雷軍が語るAI戦略 NPC「代表通路」で示した次の一手 video poster
中国のテクノロジー企業大手Xiaomi(シャオミ)の創業者でCEOの雷軍(レイ・ジュン)氏が、中国の最高立法機関である全国人民代表大会(全人代)の「代表通路」で、人工知能(AI)をあらゆる製品に組み込む方針を明らかにしました。スマートフォンから電気自動車まで事業を拡大してきた同社の発言は、中国テック産業の方向性を映す動きとして注目されています。
全人代「代表通路」で示したAI重視のメッセージ
雷軍氏は、第14期全人代第3回会議の開幕前に設けられた「代表通路」でメディアの取材に応じ、自社のAI戦略について語りました。同氏は全人代の代表でもあります。
発言のポイントは次の3つに整理できます。
- 科学技術イノベーションと質の高い発展の道を歩み続けること
- 最新のAI技術をさまざまなエンドプロダクト(最終製品)に組み込むこと
- その結果として、新たな質の高い生産力を育て、消費者にテクノロジーがもたらす豊かな生活を体験してもらうこと
雷軍氏は、AIを単なる流行のキーワードではなく、「新たな質の高い生産力」を生み出す中核技術として位置づけていることを強調しました。全人代という場でこうした方針を明言したことは、企業戦略にとどまらず、中国の産業政策とも呼応するメッセージと受け止められます。
スマホからEVへ 15年で急成長したXiaomi
雷軍氏によると、Xiaomiは創業から15年で世界有数のスマートフォンメーカーへと成長しました。2024年にはスマートフォンを世界で1億7,000万台販売したとしています。
その同社がさらに踏み出したのが、自動車分野です。Xiaomiは前年から自動車製造事業に本格参入し、電気自動車(EV)「SU7」を投入しました。雷軍氏は、このSU7について、世界のトップクラスのレーシングカーの一部を上回る性能を持ちながら、価格はおよそ3分の1に抑えているとアピールしています。
スマホで培ったハードウェア開発力やソフトウェアのノウハウを、自動車という大型のエンドプロダクトに広げることで、新しい事業の柱を築こうとしている姿が浮かび上がります。
話題を集めたSU7 Ultraとポルシェの評価
Xiaomiは、SU7の高性能モデルとして「SU7 Ultra」も展開しています。このモデルは、上海サーキットでラップレコード(周回タイム)を更新したことで注目を集めました。
SU7 Ultraの正式な発表を前に、自動車メーカーのポルシェが中国のソーシャルメディアで、この記録を讃えるコメントを出したことも報じられています。既存の高級スポーツカーの象徴ともいえるブランドが、XiaomiのEVの走りを公に評価したことは、同社の技術力が国際的にも意識され始めていることを示していると言えます。
「エンドプロダクト×AI」が目指す新しい生産力
雷軍氏が強調したのは、AIをクラウドやサービスだけでなく、スマートフォンや自動車といったエンドプロダクトそのものに深く組み込んでいくという方向性です。これは利用者の日常に直結する領域でAIを活用するという意味を持ちます。
具体的には、次のような変化が想定されます。
- スマートフォンや家電などが、より高度にユーザーの行動を学習し、最適な設定や提案を行う
- EVなどのモビリティで、走行性能や安全性、快適性をAIがリアルタイムに最適化する
- こうした高度な機能が、比較的手に届きやすい価格帯の製品にも広がっていく
雷軍氏の言う「新たな質の高い生産力」とは、単に生産量を増やすことではなく、AIを組み込んだ高付加価値の製品を通じて、付加価値と生活の質を同時に高めていく方向性を指していると見ることができます。
民間企業シンポジウムにも参加 政策議論の一端担う存在に
雷軍氏は、民営企業(民間企業)をテーマにしたシンポジウムにも代表として参加したことが伝えられています。中国の民間企業をめぐる議論の場に、Xiaomiのようなテック企業のリーダーが参加していることは、AIやEVといった分野が、今後の経済成長を支える重要なテーマと認識されていることを示しています。
全人代の「代表通路」での発言と合わせて見ると、XiaomiのAI戦略は、単独の企業戦略という枠を超えて、中国の産業構造やイノベーション政策のなかでも位置づけられていることがうかがえます。
日本の読者にとっての意味 ハードウェア企業の次の一手
日本の読者にとって、このニュースが示唆するのは「ハードウェア企業が、どこまでAIを取り込み、ビジネスモデルを再構築できるか」という問いです。Xiaomiは、スマートフォンで成長し、EVへと事業を広げるなかで、「エンドプロダクト×AI」を次の軸に据えようとしています。
これは、日本企業にとっても他人事ではありません。高品質なハードウェアを持つ企業ほど、AIをどう組み合わせるかによって、提供できる価値が大きく変わっていくからです。
全人代の場で示された雷軍氏のメッセージは、2025年以降の国際テック競争を考えるうえで、ひとつの重要なサインと言えます。今後、Xiaomiが実際にどのような形でAIをエンドプロダクトに組み込み、消費者の体験を変えていくのか。スマートフォンや自動車のニュースを見る時に、少し視点を変えて追いかけたくなるテーマです。
Reference(s):
NPC Deputies' Corridor: Xiaomi's Lei Jun committed to tech innovation
cgtn.com








