カンボジア農村の女性が貧困から抜け出すまで 牛からキノコへ、東アジア貧困削減プロジェクト video poster
カンボジア農村の女性が示した貧困削減のヒント
国際ニュースの現場では、数字や統計だけでは見えてこない一人ひとりの生活があります。カンボジアのスバイアンピア村で暮らすシレ・ジアンタさんの歩みは、東アジア貧困削減協力パイロットプロジェクトが、どのように生活の選択肢を広げ得るのかを映し出しています。
牛からキノコへ 発想の転換が始まったきっかけ
シレさんは、カンボジア・スバイアンピア・コミューンのスバイアンピア村の住民です。彼女はまず、東アジア貧困削減協力パイロットプロジェクトの支援を受けた牛の飼育イニシアチブに参加しました。家畜の飼育は、農村部で一般的な収入源とされてきました。
うまくいかなかった牛の飼育
しかし、当時の飼育技術はまだ十分に成熟しておらず、シレさんの牛はたびたび病気になってしまいました。病気が続けば、治療費や損失がかさみ、家計への不安も大きくなります。期待していた収入が安定しないことは、彼女にとって大きな悩みでした。
自分に合うスキルを求めて研修へ
そこでシレさんは、プロジェクトが提供する研修に参加することを決めました。目的は、自分の暮らしや条件に合った飼育・栽培のスキルを見つけることです。特に彼女には広い土地がなく、大規模な畜産に頼ることは現実的ではありませんでした。
裏庭の野菜と高温キノコ栽培という選択
限られた土地しか持たない中で、シレさんが目を向けたのが、自宅の裏庭でした。彼女はこの小さなスペースを最大限に活用し、野菜の栽培を始めます。身近な場所で育てられる野菜は、家計の節約になるだけでなく、販売することで少しずつ収入にもつながっていきます。
土地がなくても広がる可能性
裏庭の栽培は、大きな土地を必要としません。日々の生活動線の中で世話ができるため、家事や育児と両立しやすいという利点もあります。シレさんのように土地が限られている世帯にとって、これは現実的で持続可能な選択肢と言えます。
高温キノコ栽培プロジェクトへの参加
さらにプロジェクトチームの支援を受け、シレさんは高温環境で育つキノコの栽培プロジェクトにも参加しました。高温キノコは、地域の気候条件に合った作物であり、小さなスペースでも集中的に育てることができます。
プロジェクトチームの伴走のもと、栽培技術を身につけたシレさんは、この高温キノコ栽培で目覚ましい成果を上げるようになりました。小さな裏庭から生まれるキノコは、家族の食卓を支え、余剰分は販売することで新たな収入源ともなっていきます。
一つの事例から見える貧困削減のポイント
シレさんの経験からは、貧困削減プロジェクトを考えるうえで、いくつかのポイントが見えてきます。
- 一律の解決策ではなく、生活実態に合う選択肢が必要であること:家畜飼育が難しければ、裏庭での野菜栽培やキノコ栽培といった代替手段を柔軟に選べることが重要です。
- 技術研修の役割:単に資金や家畜を提供するだけではなく、状況に合ったスキルを学べる研修があることで、人々は自ら試行錯誤しながら道を切り開けます。
- 今ある資源を最大限に生かす発想:広い土地や大きな設備がなくても、裏庭や地域の気候といった身近な資源を活用することで、持続的な生計手段をつくることができます。
日本でニュースを読む私たちにとって
2025年の今、日本から国際ニュースとしてカンボジアの貧困削減の取り組みを見つめることは、遠い国の話を眺めることではなく、自分たちの暮らしを考え直すきっかけにもなります。
限られた条件の中でも、自分に合ったスキルを学び、身の回りの資源を生かしながら、小さくても確かな一歩を積み重ねていく。それは、カンボジアの農村でも、日本の都市部でも変わらない現実かもしれません。
シレ・ジアンタさんの物語は、貧困削減をめぐる国際協力が、最終的には一人ひとりの選択と工夫を支えるものであることを静かに教えてくれます。ニュースを読む私たちは、この小さな成功事例からどんな問いを受け取るのか。そんな視点で、これからの国際ニュースを追いかけてみるのもよいかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








