ラオス・ルアンパバーンのボートレース祭り 川とともに生きる町の熱狂 video poster
ラオス北部の古都ルアンパバーンで毎年盛夏に開かれるボートレース祭りは、川とともに生きる人びとの祈りと熱気が凝縮された伝統行事です。2025年の夏も、メコン川とナムカーン川の合流点に各地のドラゴンボートチームが集まりました。
「ボートレース祭り」とはどんな行事か
ルアンパバーンのボートレース祭りは、ラオスの中でも特に大きな伝統行事のひとつとされています。川の水かさが増す盛夏のころ、周辺の村々からドラゴンボートチームが集まり、速さとチームワークを競い合います。
会場となるのは、メコン川とナムカーン川が合流するポイントです。地元の人びとは、長年受け継がれてきたこの競漕を通じて、自然への敬意を示し、これからの天候に恵まれるよう祈ります。単なるスポーツイベントではなく、川と共に暮らしてきた地域社会の世界観が表れる場だと言えます。
川が満ちる盛夏が「合図」
この祭りが毎年盛夏に行われるのは、川の流れが一年の中でも最も力強くなる時期だからです。水位が上がり、川幅が広がることで、細長いボートが力強く進むための舞台が整います。
水量が増す川に向き合いながら、住民は「今年もまたこの季節が来た」と実感します。ボートレースは、自然のリズムを確かめる儀式のような役割も果たしていると言えるでしょう。
強豪・シエンロム村チームとリーダーのア・ロン
数あるチームの中でも、ルアンパバーンで強豪として知られているのがシエンロム村のドラゴンボートチームです。毎年のように上位に食い込む実力があり、観客からの注目も集めます。
このチームを率いるのがリーダーのア・ロンです。ア・ロンは、村の仲間たちをまとめあげ、年ごとにメンバー構成が変わっても安定した力を発揮できるよう、日々の練習や戦略づくりを担っています。
ア・ロンに率いられたシエンロム村チームは、これまで何度も見事な勝利を収めてきたことで知られています。2025年の祭りでも、彼らは情熱と勇気を胸に、優勝を追いかけました。
勝ち負けを超えた「村の誇り」
シエンロム村の人びとにとって、ドラゴンボートは単なる競技ではありません。村の名前を背負って川を進むことは、自分たちの歴史や暮らしを象徴的に示す行為でもあります。
もちろん優勝を目指す気持ちは強くありますが、同時に村の結束を確かめる場としての意味も大きいと考えられます。スタート前の緊張感、ゴールに向かってオールを漕ぎ続ける一体感は、村の人びとにとって一年に一度の大きな共有体験になっているでしょう。
レース当日の風景:音、色、熱気が交差する
ボートレース祭りの当日は、川辺が一気に祝祭空間に変わります。細長いドラゴンボートが整列し、太鼓のリズムに合わせてオールが一斉に水をかく光景は、見る人の胸にも強い高揚感を生みます。
この祭りの魅力は、次のような要素に分けて考えることもできます。
- 太鼓や掛け声がつくり出すリズムが、観客をも巻き込む一体感
- 村ごとに色や意匠の異なるボートや衣装が見せるローカル・アイデンティティ
- 世代を超えて人びとが集まり、伝統と現在の暮らしが交差する場になっていること
川面のきらめき、ボートの水しぶき、岸辺から響く声援。そのひとつひとつが、ルアンパバーンという町が今も川と共に生きていることを実感させます。
地域の祭りから見える、グローバルな問い
一見すると、ラオス北部のローカルな祭りに見えるボートレースですが、その背景には現代の私たちにも共通するテーマが浮かび上がります。たとえば、次のような問いです。
- 自然と共に生きるとはどういうことか
- 競争と協力をどう両立させるのか
- 伝統行事を次の世代にどう受け継いでいくのか
アジア各地で暮らす人びとが、川や海とどのように向き合い、コミュニティのつながりを守ろうとしているのかを考えるうえで、ルアンパバーンのボートレース祭りはひとつの具体的な手がかりになります。
私たちの身近な祭りとつなげて考える
日本でも各地で夏祭りや川祭りが行われています。ラオス・ルアンパバーンのボートレース祭りを知ることは、自分たちの暮らす地域の祭りの意味をあらためて見直すきっかけになるかもしれません。
ルアンパバーンでドラゴンボートを漕ぐ人びとの姿を思い浮かべるとき、そこには国や言語を超えて共有できる感情があります。仲間と力を合わせてひとつの目標に向かう喜び、自然に対する畏敬の念、そしてコミュニティへの静かな誇りです。
2025年の夏も、ルアンパバーンの人びとはメコン川とナムカーン川の合流点でオールを握り、自然とともにある暮らしを祝いました。その物語に耳を傾けることは、私たち自身の暮らし方を見つめ直すことにもつながっていきます。
Reference(s):
cgtn.com








